文献情報
文献番号
201604003A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能性と科学的根拠に基づく保健関連ポストミレニアム開発目標の指標決定のプロセス分析と評価枠組みに関する研究
課題番号
H27-地球規模-一般-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
- 欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 石川 みどり(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 冨田 奈穂子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 下ヶ橋 雅樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、持続可能な開発目標(SDGs)における保健関連のモニタリング指標の今後の動向について、量的ならびに質的分析を行うことによって可視化を図ることである。SDGsで取り扱う領域は広範であるため、本研究班では領域を絞り込み、持続可能性の見地から重要性がさらに高まっている「水衛生」と「栄養・食料」に加え、新たな健康課題である「非感染性疾患(NCDs)」と、健康格差の縮小に有効な手段である「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」ならびに未だ解決されていない課題である「母子保健」に焦点をあて分析を行った。
研究方法
WHOならびにユニセフ等の公的機関のデータベースや2次資料を活用したデータ分析を行うとともに、関連の学術知見のレビューを行った。
結果と考察
現時点までのSDGsのモニタリング枠組みの流れを体系的に整理することができた。国連での作業における指標の階層化を踏まえると、未だ検討中の指標は三分の一に達しており、今後の指標開発が急務である。UHCについては、日本の国民皆保険の知見が活用できる分野と言われているが、現時点でのSDGsモニタリング指標案について、日本においても数値算出が困難であることが分かった。また、現時点での日本のSDGsへの対策と、各ターゲットとの対応を調べたところ、母子保健に関する施策の記載が不足していることが明らかになった。母子保健については、日本では既に目標を達成しているところであるが、日本の経験を途上国に役立てる視点での取り組みがさらに求められる。
また、「栄養・食料」、「水衛生」の各研究領域においては、様々なデータベースから該当するデータを収集し、解析用のデータベースを作成したうえで、多面的な解析を行うことによって可視化を図ることができた。「栄養」領域においては、日本の地域診断で用いられている推定偏差値を用いた分析法が、国家間レベルでの相対的状況の把握にも活用できることを明らかにした。また、「水衛生」についても、各種データを用いてシミュレーション解析をしたところ、水衛生管理の安全性を評価するうえでは、残留塩素濃度が非常に重要な評価項目であることが確認。また、「たばこ対策」においては、これまでの文献レビューから、多くの国々において学歴が喫煙率に大きな影響を与え、健康格差の観点からのアプローチが必要なことが示唆された。
また、「栄養・食料」、「水衛生」の各研究領域においては、様々なデータベースから該当するデータを収集し、解析用のデータベースを作成したうえで、多面的な解析を行うことによって可視化を図ることができた。「栄養」領域においては、日本の地域診断で用いられている推定偏差値を用いた分析法が、国家間レベルでの相対的状況の把握にも活用できることを明らかにした。また、「水衛生」についても、各種データを用いてシミュレーション解析をしたところ、水衛生管理の安全性を評価するうえでは、残留塩素濃度が非常に重要な評価項目であることが確認。また、「たばこ対策」においては、これまでの文献レビューから、多くの国々において学歴が喫煙率に大きな影響を与え、健康格差の観点からのアプローチが必要なことが示唆された。
結論
本研究の結果、現時点までのSDGsのモニタリング枠組みの流れを体系的に整理することができた。Tier分類による指標の階層化を踏まえて、今後の指標開発が急務であり、かつ日本の知見が活用できるターゲットが明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2017-05-23
更新日
-