周産期関連の医療データベースのリンケージの研究

文献情報

文献番号
201603005A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期関連の医療データベースのリンケージの研究
課題番号
H28-ICT-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
森 臨太郎(国立研究開発法人・国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
  • 掛江 直子(国立成育医療研究センター 生命倫理研究室)
  • 溝口 史剛(前橋赤十字病院 小児科)
  • 永田 知映(横尾 知映)(国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター臨床研究教育部)
  • 大田 えりか(伊東 えりか)(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
  • 森崎 菜穂(国立成育医療研究センター データ管理部データ統合室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児医療および周産期医療は、医療計画の「5疾病5事業」に含まれ、その医療体制整備は極めて重要である。本分野では関連学会が積極的にレジストリを作成し、政府統計も豊富に行われてきた。しかし、政府統計の多くは医学的情報に欠け、学会レジストリはカバレージに問題があり、有用なエビデンスを算出するには、いずれも一長一短であった。
申請者らは、成育医療分野における各種統計や医学団体所有データベースを連結・解析し、臨床的・医療政策的に有用なエビデンスを産出してきた。また、リンケージ手法の倫理的妥当性に関する研究等を通して、研究基盤作成に貢献してきた。
そこで、本研究では、これらの経験を踏まえ、成育医療分野のデータベースを連結することで拡充し、さらに多くの臨床研究に活用する、また、公的統計の妥当性検証やデータベース同士の自動連結手法を確立することで今後の研究基盤を作成する、ことが目的である。
研究方法
本年度は、
①日本の現状と照らし合わせることで今後の日本でのデータ・リンケージのあり方についてまとめた。
②日本産科婦人科学会周産期委員会登録データベース、新生児医療ネットワーク登録データベース、人口動態統計出生票・死産票・死亡票を、全て連結したデータベースを様々な角度から解析し、妊婦および児の予後に関係する医学的・社会的因子について、複数のエビデンスを発表した。
③本データベースに経済産業省・厚生労働省・日本妊娠糖尿病学会が所有するデータベースを連結し、新たな解析を開始した。
④DPCデータベース、小児慢性特定疾患登録、日本小児科学会小児死亡登録レジストリ、等の他の各種データベースを連結するための整備、を行った。
本研究は、複数のデータベースを相互に利活用しながら研究を行っていくという性質上、各分担研究班の分担研究者および研究協力者同士がお互いの研究を補助するという緻密な連携を取りながら行った。
結果と考察
「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(平成29年5月12日公布)の成立を受けて、日本でも医療データを他のデータベースと連結し活用することが促進されることが期待される。一方で、連結を通して個人の様々な情報が繋がり個人特定に繋がってしまう場合も想定されるために、個人情報を適切に庇護しながら研究を行うように、研究者向けのガイドラインの作成等も必要となることが考えられる。このためには、海外におけるガイドラインや研究マニュアルが参考になると思われる。
本年度は、妊娠中の体重増加量の推奨値の提唱、身長と妊娠合併症の関係、糖尿病合併妊娠と出生児の合併症の関係、早産統計に死産統計が与える影響、等、即座に臨床現場に還元される知見が得られるのみならず、医療データベースのリンケージ研究を実施するにあたる各手法の検討結果やその倫理的・法的側面の検討結果が得られた。
また、各分担班同士の情報共有を促し、各種データのリンケージ及び利活用の推進を行った。各分担班でも研究が進んでいるとともに、本分担報告書に記載されているように、他分野のデータベースとの連結可能性についても模索が行われている。今後も、データ・リンケージにより質の高いエビデンスが産出できるようなシステム作りが活用できる分野を開拓していく予定である。
結論
研究初年度である本年度は、日本におけるデータ・リンケージのあり方を検討するための情報を収集し、また各分担班同士の情報共有を促し、各種データのリンケージ及び利活用の推進を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201603005Z