自家用水道の災害時の活用および管理水準の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201525011A
報告書区分
総括
研究課題名
自家用水道の災害時の活用および管理水準の向上に関する研究
課題番号
H26-健危-一般-005
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
早川 哲夫(一般社団法人 全国給水衛生検査協会)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤武(一般財団法人 東京顕微鏡院)
  • 奥村明雄(一般社団法人 全国給水衛生検査協会 )
  • 柳橋泰生( 独立行政法人 国立環境研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,822,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、貯水槽水道の適切な管理を図るため、貯水槽水道データの一元的な把握、設置者、管理者の管理へのインセンティブを高める手法、適切な管理項目の拡大に関し研究を行うとともに、大震災時の暫定的な対応としての貯水槽水道及び飲用井戸の施設管理基準等を設定し、民間施設を個別に利用することを可能とするシステムを構築することを目的とする。
研究方法
本研究は、一般社団法人全国給水衛生検査協会参与の早川哲夫を主任研究者とし、一般財団法人 東京顕微鏡院理事 伊藤武、一般社団法人全国給水衛生検査協会会長の奥村明雄を分担研究者として実施し、これら研究者のもとに、専門家による委員会を設置して研究を行っている。委員会は特に東日本大震災において被災地での貯水槽の被害と貯水槽水の活用状況について現地で調査を行った、日本給水タンク工業会、一般社団法人全国給水衛生検査協会の専門家に加え、(独立行政法人)国立環境研究所、(公益社団法人)全国建築物飲料水管理協会、東京都衛生局、東京都水道局からの専門家により構成している。
結果と考察
水道事業者や衛生行政当局に対し、管理レベル向上方策や地震時の対応についてヒアリング調査を実施。
(横浜市)
簡易給水水道及び小規模貯水槽水道に関する条例により規制(平成3年)。水道局と衛生部局の共同事業で、小規模を含む全数調査を行い(衛生サイドで予算化)、所在を把握、台帳を整備。協定検査機関とは、定期的に受水槽の所在地情報を提供。関係機関による共同広報も大事。
・災害時の貯水槽の活用について
受水槽の設置時の保健所への事前相談制度、図面を見て事前指導。六面点検、材質、耐震性などがポイント。蛇口の設置も啓発対象。福祉施設は、市街化調整区域に設置される場合もあり、自己水源が重要
(東京都)
平成15年に東京都給水条例を改正。設置者に対する指導助言、設置者の管理責任、利用者に対する情報提供などを規定。平成16年から全施設を対象に点検調査を実施。当初は、平成16年から21年までの5年で一巡。現在、25~29年までの計画で継続実施中。実施率は3割程度。実施は、水道事業サービス会社や管工事業者に委託。水道は福祉保健局並びに都内保健所と定期的に連絡協議会を開催、情報の共有化。水道局に提出される設置変更廃止届は各保健所に提供。
(宮崎市)
南海トラフ地震に備え宮崎市が作成した防災対策マニュアルに従い体制、関係部署との連携など基本理念が定められている。災害時の応急給水のとりまとめは本部の総務部危機管理局防災部が担当。
3日間の必要備蓄水量は断水人口より算出し、3,411,000Lと推定。協定事業所の提供飲料・ 家庭内備蓄(自助) ・行政備蓄 各1日分、不足分は水道局との連携により供給を図る計画水道局としては大河川(大淀川)があり、水道水の供給には十分
(地域を区切ってのシミュレーション)
1 横浜市内で以下の考え方をもとに2キロメートル四方の調査区を5箇所設定。
(1) 郊外部住宅地のうち配水池が無い調査区(#1) (2) 元禄型関東地震における地震被害想定(以下、「地震被害想定」とする)のうち、 断水率が高いと予想されている市中心部の住宅地(#2)
(3) 郊外部住宅地のうち配水池の有る調査区(#3) (4) 地震被害想定において、断水率が高いと予想されている市中心部の商業地(#4) (5) 地震被害想定において、断水率が高いと予想されている南部沿岸地域の住宅地 (#5)
今回の5つの調査区において発災後3日以内の水確保量を推定、既に現状の体制で目標の水量(9L/人/3日間)が確保されていると推定される地域も存在、 多くの地域では、確保水量が目標水量より不足、受水槽水を活用することで、 地域の飲料水確保に大きく寄与することが判明。
今回の5つの調査区において発災後3日以内の水確保量を推定、既に現状の体制で目標の水量(9L/人/3日間)が確保されていると推定される地域も存在、 多くの地域では、確保水量が目標水量より不足、受水槽水を活用することで、 地域の飲料水確保に大きく寄与することが判明。
結論
・管理レベル向上に関しては、水道局と衛生部局の連携が重要。協定検査機関や清掃事業者など関連事業者間での定期的な情報交換や、関係機関による共同広報も大事。
・震災時においては受水槽の有効活用により、震災時の有効な水源となることが期待される。また商業地域では、帰宅困難者対策等において、発災後3日以内は、郊外住宅地以上の水の需要が想定されることから、受水槽水の活用は有効であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2016-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201525011Z