無承認無許可医薬品の調査・分析及び量的概念を含む専ら医薬品の規制に関する研究

文献情報

文献番号
201523016A
報告書区分
総括
研究課題名
無承認無許可医薬品の調査・分析及び量的概念を含む専ら医薬品の規制に関する研究
課題番号
H27-医薬-指定-010
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 丸山 卓郎(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部 )
  • 大塚 英昭(安田女子大学 薬学部)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
  • 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,086,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
無承認無許可医薬品は,医薬品としての承認や許可がないにもかかわらず,医薬品としての目的性を持たせた製品である.本研究では,通常のルートを通じて新規に申請のあった成分本質(原材料)について,また,市場で流通するグレーゾーンの植物体及び化合物について,専ら医薬品に分類するべきであるか検討する.一方,食経験の延長線上で議論することが困難な濃度まで原材料を濃縮して製造される健康食品に関して,その食薬区分の判定に,成分本質そのものの判断に加えて,量的な概念に基づく判定基準を導入し得るか検討する.また,現行の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト(専ら医薬品リスト)」及び「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト(非医薬品リスト)」について見直しを行う.
研究方法
食薬区分判定の申請を受けた成分本質に関する検討では,主に,①名称,他名等,部位等,備考,②学名,基原植物和名等,生薬名,英名等,③医薬品としての使用実態,④毒性データ,⑤アルカロイド,毒性タンパク,毒薬劇薬指定成分等の含有を中心として調査した.また,各地で採集したオオイタドリについて,使用部位として若芽部を選び, 精製水あるいはアセトンで抽出し,LC-MS分析によりemodin含量を調査した.さらに,Sida 属植物の組織形態学的研究では,キンゴジカSida rhombifolia L.について必要な観察部位の表皮を得て,光学顕微鏡で観察した.また,Pueraria mirifica (PM) の含有が表示されている健康食品について,分光蛍光光度計により測定した3次元分光蛍光スペクトル (蛍光指紋)より主成分分析を行った.さらに,タイ王国で採集したバンレイシ(A. squamosa)の葉をメタノールで抽出し,EtOAcと1-BuOHで分配して,その1-BuOH可溶画分から含有成分を単離し,構造決定した.また,量的概念を含む専ら医薬品の規制に関する研究として,検討班会議を2回開催し,問題点の整理と基礎的な議論を行った.さらに,現行の「専ら医薬品リスト」と「非医薬品リスト」について,原材料の基原や使用部位,名称,別名等の項目を中心にチェックを行った.
結果と考察
新規に調査依頼があった化学物質では,ATP,ED治療薬関連化合物は,医療用医薬品としての使用実態等から専ら医薬品に指定すべきと考察した.N-アセチルノイラミン酸及び植物由来物質5品目は,非医となりうると考察した.各地で採集したオオイタドリにおけるemodin含量の調査では,北海道産と本州産ではemodin含量に大きな違いがあることが分かった.Sida 属植物の組織形態学的研究では,キンゴジカS. rhombifolia について,とっくり状腺毛が鑑別の指標として利用可能であることが示唆された.PM含有健康食品の品質評価において,3次元蛍光スペクトルデータを主成分分析した結果,正しく PM を含有する製品と偽品とを区別することが可能であった.バンレイシの葉のメタノール抽出液の1-BuOH可溶画分より11種類の成分を単離同定し,そのうち1つは新規であった.量的概念を含む専ら医薬品の規制に関する研究では,成分本質自体に量的概念を導入することは困難が予想されることから,特定の化合物(群)を判定基準の検討対象とする必要性が指摘された.現行の「専ら医薬品リスト」について重大な問題点はほとんど見出されなかったが,「非医薬品リスト」については,1)名称と他名等の不整合,2)重複,3) 不適切な使用部位,4) 誤記,等のケースが見付かった.
結論
新規に「専ら医薬品」であるかどうか判断が求められた品目について,医薬食品局監視指導・麻薬対策課長が招集する「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」のための調査を遂行するとともに,既存の専ら医薬品リスト並びに,非医薬品リストの様々な項目について,同課の依頼に基づき検討を行った.食薬区分のグレーゾーンに位置するオオイタドリ,Sida属植物,PM及びバンレイシについて,食薬区分の判断に資する基礎的データを得ることができた.量的な概念を含めた食薬区分の規制が可能であるか議論され,具体的にどのような方策が可能であるか次年度以降に検討することとされた.現行の「専ら医薬品リスト」と「非医薬品リスト」について,原材料の基原や使用部位,名称,別名等の項目を中心にチェックを行ったところ,「非医薬品リスト」については,再検討するべき品目が見付かった.

公開日・更新日

公開日
2016-06-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201523016Z