一般用医薬品における、化学合成品等のリスク区分の見直しと生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究

文献情報

文献番号
201523015A
報告書区分
総括
研究課題名
一般用医薬品における、化学合成品等のリスク区分の見直しと生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究
課題番号
H27-医薬-指定-009
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 政田 さやか(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部 )
  • 能勢 充彦(名城大学 薬学部)
  • 望月 眞弓(慶応義塾大学 薬学部)
  • 橋口 正行(慶応義塾大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,化学合成品等のリスク区分の見直しのための評価手法に関する研究であり,販売制度施行以降に得られた,一般用医薬品の副作用報告,添付文書の使用上の注意の改訂内容,購入方法による副作用報告の違い等について情報を収集し,過去のリスク分類の概念に照らし,分類の考え方を整理する.また,平成26年6月の一般用医薬品の販売制度の改正(要指導医薬品の新設,一般用医薬品のインターネット販売の解禁)等を踏まえ,一般用医薬品の安全性を評価し,リスク分類の妥当性を検討する.さらに,生薬・漢方製剤の安全使用に関して,従前の厚労科学研究において作成した「安全に使うための漢方処方の確認票(以下,確認票)」及び「安全に使うための一般用漢方処方の鑑別シート(以下,鑑別シート)」を基礎として,インターネット販売に対応したwebコンテンツの作成を行う.さらに,甘草配合処方におけるグリチルリチン酸の移行率について,使用上の注意における甘草の記載事項を意識しながら定量的解析を行う.
研究方法
化学合成品等のリスク区分の見直しのための評価手法に関する研究では,1) 一般用医薬品副作用報告の整理,2) 医療用医薬品添付文書の改訂,3) 平成26年以降にリスク分類の見直しが行われた製品の検討,4) 要指導医薬品一覧のリスク分類の検討,を基礎として議論した.また,一般用医薬品の化学合成品等のリスク区分の見直しにおいて量的制限の考え方を化学薬品に導入する必要性と適否に関する研究では,消炎鎮痛薬として3成分6製剤,抗アレルギー薬とし6成分12製剤を対象として,曝露量の推定を行うための血中濃度下面積(AUC)および副作用項目別発現頻度の把握が可能となる情報の有無,入手可能性の調査を行った.さらに,生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究では,従前の厚労科学研究において副作用回避を支援する目的で作成した「確認票」39処方と,39処方の使い分けの目安となる「鑑別シート」について,ダウンロード可能なPDFファイルとして公開するとともに,web上で簡便に安全使用を確認できるコンテンツへの移植を試みた.また,漢方製剤の安全性確保に関する研究では,カンゾウ配合漢方処方より24処方を選別し,これらの水煎出液を HPLC分析に供し,グリチルリチン酸(GL)の含量を測定した.
結果と考察
医療用医薬品の添付文書の改訂の根拠となった,集積した副作用症例の情報については,同成分の一般用医薬品に係る過去のリスク分類を検討した際には考慮されていない情報であるため,リスク分類の見直しに向けた検討材料の一つとすべきであると考えられた.また,消炎鎮痛薬及び抗アレルギー薬について,同一成分毎の副作用発現頻度および推定曝露量(推定AUC)について検討し,同一成分の高曝露製剤に対する低曝露製剤の推定AUCの比と副作用発現率の比の関係を検討し,先行研究と同様に,AUCが常用量群の3~20%程度であれば全身性副作用は減少するものの完全には消失せず,20%以上では全身性副作用は無視できない傾向が認められた.さらに,「確認票」及び「鑑別シート」を基礎として,消費者が家庭や店頭において自分の体質・症状に合った処方を選択し,適正に漢方製剤を服用するための手引きとなる使い方を想定してインターネット販売に対応した情報提供サイトの作成を行った.また,「確認票」及び「鑑別シート」をPDF化し,ダウンロード可能な電子ファイル版として公開した.甘草配合漢方処方24品目の凍結乾燥エキスにおいて,エキス一日量中に含有されるGLは概して甘草の配合量に応じた量を示した.一方,小青竜湯では想定されるGL含量を大きく下回ったが,この原因は主に五味子にあることが判明した.
結論
化学合成品等のリスク区分の見直しのための評価手法として,改訂された医療用医薬品添付文書について検討することが有用との結論が出された.また,一般用医薬品の化学合成品等のリスク区分に量的制限の考え方を導入できるか検討し,AUCと常用量の比が目安になる可能性が示された.さらに,生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究においては,「確認票」及び「鑑別シート」のPDFファイル公開により,薬局やドラッグストアの関係者がこれらを店頭で簡便に活用できる環境の整備に貢献する基盤が構築された.また,漢方製剤の安全性確保に関する研究において,甘草配合漢方方剤のGL含量について,一部の例外はあるものの,処方によらず甘草の配合量に対して概ね直線性を示すことが明らかとなった.

公開日・更新日

公開日
2016-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201523015Z