遺伝毒性・発がん性短・中期包括的試験法の確立と香料の安全性評価への応用に関する研究

文献情報

文献番号
201522025A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝毒性・発がん性短・中期包括的試験法の確立と香料の安全性評価への応用に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター病理部)
  • 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝毒性・発がん性情報が議論されている香料の安全性評価研究のため、フラン誘導体およびelemicinの遺伝毒性及び発がん性をそれぞれ肝中期遺伝毒性・発がん性試験法(GPGモデル)あるいは遺伝毒性・発がん性短期包括的試験にて評価することを目的とした。
研究方法
本年度は、gpt deltaラットを用いた肝中期遺伝毒性・発がん性試験法(GPGモデル)を用いて、複数のフラン誘導体について遺伝毒性及び発がん性の検索を行った。被験物質には、側鎖にアルキル基を有する2-pentylfuran、側鎖にアルデヒド基を有する3-(2-furyl)acrolein、側鎖にケトン基を有する2-furyl methyl ketone及び側鎖にエステルを有するethyl 3-(2-furyl)propanoateを用いた。用量設定のための予備試験として、これら被験物質をそれぞれ3用量でF344ラットに4週間投与した。その結果から、2-pentylfuran、3-(2-furyl)acrolein、2-furyl methyl ketone及びethyl 3-(2-furyl)propanoateの投与量をそれぞれ100 mg/kg、400 mg/kg、25 mg/kg及び1000 mg/kgとし、本試験を実施した。また、gpt deltaラットを用いたelemicinの遺伝毒性・発がん性短期包括的試験を実施した。用量設定のための予備試験として、雄性6週齢のF344系ラットに100、200および400 mg/kgの用量で4週間強制経口投与した。
結果と考察
2-pentylfuran及び2-furyl methyl ketone投与群の最終解剖時の残余肝組織においてGST-P陽性巣の数及び面積の増加を認め、これらのフラン誘導体が発がん性を有する可能性が示唆された。投与開始6週目の部分肝切除により得られた切除肝組織を用いてgpt saayを実施し、これらの被験物質の遺伝毒性についても評価を行い、発がん性と合わせて考察する。また、100 mg/kg投与群以上から肝重量の有意な増加が認められ、200 mg/kg投与群以上で血清中のALTの有意な上昇とび漫性の肝細胞肥大が認められた。以上より、本試験の用量を25、100および400 mg/kgに決定した。本試験では上記用量のelemicinを用いて雄性6週齢のF344系gpt deltaラットに強制経口投与を開始し、現在、12週間が経過した。現在まで、動物の一般状態に変化は認められず、死亡例も認められていない。13週間の投与後、一般毒性ならびに遺伝毒性、発がん性の検索を実施する。
結論
GPGモデルを用いることにより、異なる側鎖を有するフラン誘導体の肝発がん性の有無を峻別できた。また、elemicinの安全性評価に関する適切な投与用量が判断された。

公開日・更新日

公開日
2018-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201522025Z