歯科診療情報に関わる電子用語集構築とその有効性検証に関する研究

文献情報

文献番号
201520024A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科診療情報に関わる電子用語集構築とその有効性検証に関する研究
課題番号
H27-医療-一般-010
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
玉川 裕夫(大阪大学 歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 孝文(東北大学大学院 情報科学研究科)
  • 齊藤 孝親(日本大学 松戸歯学部)
  • 鈴木 一郎(新潟大学 医歯学総合病院)
  • 末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,915,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科診療で使われる用語を網羅的に収集して電子用語集とし,身元確認や在宅診療の場でそれらを用いた診療情報共有が過不足なく行えることを検証すること.
研究方法
現在,歯科・口腔外科領域で使われている用語を網羅的に収集し,それらを歯の状態,軟組織の状態などとして体系づけた.用語には口腔状態を過不足なく表現できるような粒度(抽象度)を与え,階層構造を持たせた.これを口腔状態のスナップショットと呼ぶこととし,全体像を厚生労働省の”歯科診療情報の標準化に関する検討会”に報告した(参考資料:口腔情報のスナップショットについて).
実際の歯科診療の現場で使われているソフトウエアを作成しているコンピュータメーカに対し、初診時の口腔状態がどのように記録されているかを確かめることを目的にアンケート調査を行い,それらを整理した。(参考資料:歯科ベンダ各社の初診情報実装内容)
・歯科技工装置に関する用語
日本歯科技工士会,大阪歯科大学附属病院,大阪大学歯学部附属病院の病院情報システムで実際に使われている用語を収集し,それらを整理した(参考資料:歯科技工士会のコード集).
・既存の歯式コードの拡張
 歯の状態と診療行為との相互関係を過不足なく表現するためには,現在社会保険診療報酬支払基金で電子的に標準歯式コードにない項目を追加する必要があった.たとえば,歯根や根管の表現あるいはなど追加した.その結果,1つの歯の情報を、Ⅰ.レコード識別情報パート、Ⅱ.部位パート、Ⅲ.現在歯の有無パート、Ⅳ.現在歯の内容パート、Ⅴ.欠損歯の内容パート、Ⅵ.その他パートの6つのパート、計32項目を1レコードとして CSV 形式で記録することとした(参考資料:拡張歯式コード仕様V0.9).
さらに,これまで身元確認のために法歯学的領域で使われてきた用語の分類と,今回定義しようとしているスナップショットの関係を整理するため両者の関連づけを行った(参考資料:歯式拡張マスタと災害時データの互換性テーブル).
結果と考察
・用語への階層構造付与
研究協力者の青木とともに,災害時の身元確認を視野に入れた歯科情報の整理を行い,平成 27 年 11 月 25 日に厚生労働省で開かれた”歯科診療情報の標準化に関する検討会”に用語集の一部を資料として提出した.これは”身元確認に資する歯科情報(標準データセット)”として承認された(参考資料:口腔状態の標準データセット).
・口腔の状態変化の用語整理
研究協力者の齊藤らとともに,歯科診療行為のうち歯の状態を変化させる内容について収集し,歯の状態と診療行為との相互関係を整理,明示できた(参考資料:拡張歯式コード仕様V0.9の処置対応表).これによって,歯科になじみのないエンジニアでも,歯の状態とそれを変化させる行為,そしてその結果の関係を理解できるようになった.

・歯科用ソフトウエアメーカの実装内容
各メーカが販売している歯科用ソフトウエアで登録されている初診時の状態には,大きなばらつきがあった.そこで,それらを整理し階層構造付けが終了した用語集とどのように対応するかを表にまとめた(参考資料:歯科ベンダ各社の初診情報実装内容と標準データセットの関係)。
・医療情報学連合大会での共同企画
2015 年 11 月に開催された第 36 回医療情報学連合大会での共同企画セッション
では,口腔状態のスナップショットと口腔の各種画像との連携について議論がなされた(参考資料:連合大会共同企画の内容).
・DICOM WG22での提案
連合大会での共同企画ををうけて,12月3日にシカゴの北米放射線学会(RSNA)で開催されDICOM ワーキンググループ22(dentistry)のミーティングで,朝日大学の勝又明敏教授が,口腔状態のスナップショットのコード体系を DICOMタグとして収載することを提案した(参考資料: DICOM(WG22)での発表内容).
・歯科放射線学会のシンポジュウム
2016年3月に開催された日本歯科放射線学会のワークショップ(歯科医学会プロジェクト研究「画像データを中心とした歯科医療情報標準化(歯科におけるDICOMの整備と展開)」に関するワークショップ)で歯科画像情報に連携について検討し, DICOMの拡張仕様を視野にいれて進めることとなった.
結論
歯科・口腔外科領域で使われている用語を網羅的に収集しそれらを本系づけ,口腔状態を過不足なく表現できる階層構造付の標準用語集構築を目的に,今年度は用語を整理し現場で実装されている内容を含めて体系つけた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-09
更新日
2021-11-10

収支報告書

文献番号
201520024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,489,000円
(2)補助金確定額
2,416,442円
差引額 [(1)-(2)]
72,558円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,103,502円
人件費・謝金 35,000円
旅費 658,940円
その他 45,000円
間接経費 574,000円
合計 2,416,442円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
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