歯科技工業の業務形態の実態把握に関する研究

文献情報

文献番号
201520020A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科技工業の業務形態の実態把握に関する研究
課題番号
H27-医療-一般-006
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 博信(福岡歯科大学 咬合修復学講座 冠橋義歯学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 秀夫(新潟大学 大学院 予防歯科学)
  • 末瀬 一彦(大阪歯科大学  歯科審美学)
  • 大久保 力廣(鶴見大学歯学部 有床義歯補綴学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,CAD/CAM装置の導入等によって,歯科技工の業務形態の変化が起こってきており,歯科技工士の就労状況の変化が起こってきて理状況を把握すること,また今後の歯科技工士あり方のモデルを考察することである。
研究方法
第一の調査対象は,公益社団法人日本歯科技工士会に所属する会員9, 906名の中から,無作為抽出した1,000名の歯科技工士に対し,アンケート形式により,勤務先の業務形態,作製物の担当状況,納品までの期間,補綴物の製作課程などについて調査をし,分析をした。第二の調査対象はアメリカ合衆国大学歯学部附属病院3校,歯科技工所5カ所で歯科技工に豊富な知識を有している担当者に対し,就労の時間,男女比,CAD/CAM装置の導入前後で歯科技工士の就労状況に変化があったかなどについて意見を求めるとともにフリーなコメントも聴取し,第一の調査分析とも比較検討し,分析を行った。
結果と考察
第一の調査での解答率は392名(39.2%)であり,男女比は「男性」が92.9%,「女性」が6.9%であり,「男性」の割合が高った。一日あたりの勤務時間は全体の約8割が「8時間以上」の労働をしているのが現状で,5人以上の技工所でも64.3%が10時間以上であった。歯科技工物の作製状況を見ると「保険診療分」のうち,CAD/CAM冠では,「1人で製作」が10.0%,「複数人で分担して製作」が9.6%,「実績なし」が77.2%であり,有床義歯系では,「1人で製作」が40.9%,「複数人で分担して製作」が25.3%,「実績なし」が30.6%であり,製作課程を分担して担当している実情が明らかになった。また,歯科補綴物等の受注から納品までの期間を見るといずれの製作物でも従業員数が2名以上ので納品期間が短い傾向が見られた。第二の調査ではアメリカ合衆国の3歯学部附属病院ならびに5歯科技工所を訪問し,オピニオンリーダーから意見を得た。今回訪問したすべての歯科技工所でCAD/CAM導入の前後で,就労状況の変化が明らかに認められるとの意見でえるなど、歯科技工士の就労に変化がうかがえた。
結論
CAD/CAM利用による補綴装置(補綴物)の普及が,今のところ我が国では大幅な残業の短縮につながったとの結果は得られなかったが,歯科技工業の業務形態とくに歯科技工士の就労にかなりの影響を及ぼしている現状を明らかにすることができた。また,CAD/CAM利用による補綴装置(補綴物)以外でも多様な分業,分担が進んでいることが推察された。これをもとに,更なる調査・研究を加え,今後の歯科技工所(歯科技工士)のあり方(モデル)を提言できるものと考える。 
 今回は限られた時間の中で分析を行ったが,次年度も引き続き,歯科技工所の規模と労働環境との関係については更に分析を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2017-09-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201520020Z