医療機関の全職員に対応した効果的・効率的医療安全教育の研究

文献情報

文献番号
201520013A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関の全職員に対応した効果的・効率的医療安全教育の研究
課題番号
H26-医療-一般-018
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
石川 雅彦(公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所 地域医療安全推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 一人(中京大学 法科大学院)
  • 越永 守道(信愛病院)
  • 斉藤 奈緒美(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所 地域医療安全推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,301,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 越永守道 練馬光が丘病院(平成27年4月1日~平成27年12月31日)→信愛病院(平成28年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
職員が医療安全教育を受ける時間を十分確保できない現状で、全職員対応の効果的・効率的な医療安全教育を実施することは医療安全管理で残された大きな課題である。本研究の目的は全国調査結果を勘案し全職員対応の医療安全教育内容・方法・評価法開発、及び医療安全管理者、医療対話推進者の課題等の現状評価に基づく、医療安全教育システム構築の提言である。
研究方法
本年度は、2年間の研究期間の2年目にあたり、医療機関の全職員に対応した医療安全教育内容・方法・評価法を決定して実施・評価するにあたり、医療安全教育に関する現状評価について調査を実施した。医療機関の部署リスクマネジャーを対象とした医療安全教育に関する現状評価を実施し、教育内容、方法、評価に関して検討した。医療安全教育の内容を作成するにあたり、Australian Council for Safety and Quality in Health Careの、National Patient Safety Education Frameworkと、WHO Patient Safety Curriculum Guide、他、医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針(厚生労働省)、医療対話推進者の業務指針及び養成のための研修プログラム作成指針(厚生労働省)、日本医療機能評価機構 医療事故情報等収集事業における年報・報告書、関連書籍、文献、ウェブサイト等を参考にして、「医療安全教育に関する現状評価」を行うために問題(30問)を作成し、医療安全対策加算を申請している2施設に協力を依頼し、部署リスクマネジャーに回答を依頼した。
結果と考察
結果は両施設合わせて35名から回答を得た。正解率の高かった問題としては、自己決定権、インフォームドコンセント、個人情報保護、薬剤の保管、インスリン製剤、インシデントレポート、患者誤認防止などに関する問題であり、正解率の低かった問題としては、安全文化の醸成、診療報酬上の基準(入院基本料の施設基準等)、医療事故調査制度、診療録、医療対話推進者、などに関する問題であった。
結論
今回、医療安全教育に関する現状評価の一環として、医療機関の部署リスクマネジャーを対象として、5者択一という比較的簡便な方法を用いて回答を促し、内容も対象である部署のリスクマネジャーに知っておいてもらいたい医療安全管理上のさまざまなポイントを網羅した検討を行った。効果的・効率的な医療安全教育を実施には、全職員に知っておいてもらいたい問題を作成し、回答しやすい形式として、期限を決めて実施し、回収後に現状評価を行い、それらの結果を反映した医療安全教育を実施するプロセスが重要と考える。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201520013B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関の全職員に対応した効果的・効率的医療安全教育の研究
課題番号
H26-医療-一般-018
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
石川 雅彦(公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所 地域医療安全推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 一人(中京大学 法科大学院)
  • 越永 守道(信愛病院)
  • 斉藤 奈緒美(公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所 地域医療安全推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 越永守道 練馬光が丘病院(平成26年4月1日~平成27年12月31日)→信愛病院(平成28年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
職員が医療安全教育を受ける時間を十分確保できない現状で、全職員対応の効果的・効率的な医療安全教育を実施することは医療安全管理で残された大きな課題である。本研究の目的は全国調査結果を勘案し全職員対応の医療安全教育内容・方法・評価法開発、及び医療安全管理者、医療対話推進者の課題等の現状評価に基づく、医療安全教育システム構築の提言である。
研究方法
平成26年度の研究では、全職員対応の医療安全教育の実施状況、及び実施主体の医療安全管理者や医療対話推進者の配置・課題の調査をした。医療安全教育に関する情報収集と、医療安全管理者、医療対話推進者の配置と課題、及び医療安全教育の実施状況を勘案した調査票で、全国調査を実施して結果を解析した。医療安全教育に関する情報収集、医療安全管理者、医療対話推進者の配置と課題、及び医療安全教育の実施状況に関連する調査票作成、予備調査後に、本調査を実施した。対象施設は、申請時には全病院(約8,500施設)としたが、医療安全管理体制の整備されている施設への調査が、研究目的達成に最適と判断し、医療安全対策加算1、2を取得している病院(3,479施設)を対象とした。平成27年度の研究では、前年度の研究成果を踏まえて、医療機関の全職員に対応した医療安全教育の全職員対応の医療安全教育内容・方法・評価法を決定して実施・評価するにあたり、医療安全教育に関する現状評価について調査を実施した。医療機関の部署リスクマネジャーを対象とした医療安全教育に関する現状評価を実施し、教育内容、方法、評価に関して検討した。部署リスクマネジャーを対象として、「医療安全教育に関する現状評価」を行うために問題(30問)を作成し、医療安全対策加算を申請している2施設に協力を依頼し、部署リスクマネジャーに回答を依頼した。
結果と考察
平成26年度の研究結果として、医療安全対策加算1(495施設)、加算2(443施設)取得の施設で、計976施設(無回答、不明回答38)の回答あり集計を実施した(回収率28.1%)。全職員対象の医療安全教育は、99.5%が実施しており、平均参加率は61%以上の参加が38.1%、トップマネジメントの常時参加が40.5%だった。医療安全教育の課題は「職種による参加率の差がある」「全職員が関心を持てるテーマ選定が困難」が60%以上、「参加型研修の企画が困難」30.7%であった。医療安全管理者配置の効果としては、医療安全に関する情報の一元集約(90.0%)、医療安全対策の責任の明確化(83.0%)、インシデント・医療事故発生時の職員への精神的ケア(53.2%)などであった。患者サポート体制充実加算申請施設は566(58.0%)、医療対話推進者配置の効果としては、患者・家族からの相談の適切な対応(79.6%)、相談事例の収集・フィードバックなど(41.3%)、患者・家族との対話推進に関する職員の意識向上(42.8%)、などであった。 平成27年度の研究結果として、両施設合わせて35名から回答を得た。正解率の高かった問題としては、自己決定権、インフォームドコンセント、個人情報保護、薬剤の保管、インスリン製剤、インシデントレポート、患者誤認防止などに関する問題であり、正解率の低かった問題としては、安全文化の醸成、診療報酬上の基準(入院基本料の施設基準等)、医療事故調査制度、診療録、医療対話推進者、などに関する問題であった。
結論
職員への医療安全教育は大多数の施設で実施されているが、平均の参加率やトップマネジメントが常時参加する割合は低く、本研究目的の「全職員に対応した効果的・効率的医療安全教育」の必要性が再確認された。効果的な医療安全教育を実施するためには、参加率の改善や全職員が関心の持てるテーマの選定、および教材開発についても検討する必要性がある。医療安全管理者や医療対話推進者の配置は一定の効果ありと示唆される結果だが、効果が低い項目もあり、医療安全教育実施に関連する今後の課題である。全国調査結果から、全職員に対応した医療安全教育の課題が判明した。今後、効果的・効率的な医療安全教育の内容、方法、評価法の決定とその実施が必要であり、特に新たな医療安全教育方法の開発が求められる。医療機関の全職員に対応した効果的・効率的医療安全教育の実施には、全職員に知ってもらいたい医療安全管理上の課題の問題作成を実施し、医療機関の状況に合わせて現状評価を実施して、その評価結果を反映した医療安全教育を継続することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201520013C

収支報告書

文献番号
201520013Z