医療安全支援センターの業務及び運営の改善のための研究

文献情報

文献番号
201520009A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全支援センターの業務及び運営の改善のための研究
課題番号
H26-医療-一般-014
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 安司(東京大学 大学院医学系研究科医療安全管理学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2年間の厚労科研から更なる仮説を設け、支援センターの業務改善のための方策を講ずる
(1)各センターの対応状況の調査等
相談員の相談対応の評価が必要であるが、それ以前に、相談対応には各自治体の中でのセンターの位置づけや体制の影響を受けることが分かってきた。そこで体系的なインタビューガイドを用い、自治体の体制や位置づけを把握すると共に、センター毎の具体的な相談対応の実例を調べる。
(2)詳細な事例の検討(及び事例集の作成)
相談事例の利活用の観点から、医療機関において共有すべき事例に関する事例集の作成を検討する。
研究方法
(1)支援センターへのインタビューをまとめ、現場の方からの経験談を含めた、支援センターの設置、運用についての様々な取り組みを紹介する「支援センターの作り方(案)」の冊子にまとめる。
(2)医療機関へのフィードバックのための事例集案を支援センターや医療機関関係者と検討する。
結果と考察
(1)「支援センターの作り方(案)」の原稿作成依頼等を支援センターの有志に依頼し着手した。約20か所のヒアリングの結果で支援センターの6類型で整理したものについて、支援センターの標準化として目指す類型に関して検討が残っている。
①位置づけ(歴史、理念、どのようなセンターを何のために作るのか)②設置編(センターの機能、設置場所、予算の確保、幹部の理解)③苦情相談への対応(相談員の確保、相談員の研修、必要物品)
④地域での連携編(相談事例の収集、分析及び情報提供、医療機関へのフィードバック、医療安全推
進協議会、医療機関向け研修、関連団体とのつながり、住民への情報提供)⑤業務委託、運営のロー
ドマップとし、5月に現場の協力者に原稿を依頼し、内容についてやりとりを行った。協力者の協力
を得られる部分と得られない部分が生じるなど、原稿の回収に至らない部分もあった。
(2)医療機関への事例提供用の事例集試作。作成、検証、追加修正と三段階で試作を作成した。
まず、相談体験者から医療機関に提供する意味のある事例を選択し、教育的な枠組みで解説を加えた。その枠組みについて全国の相談員10名に使用所感調査を行った。次に、レイアウト、事例内容に加筆修正を加え全国の医療関係者25名に使用所感調査を実施。最後に、相談事例集のテンプレートを確立し、医療機関に情報提供する内容について重点的に作製。センター職員10名、医療関係者10名、有識者5名に、使用所感と有効性の評価について調査を行った。



結論
喫緊の課題解決にむけて、支援センターの運営の改善をはかるための、教育ツールや参考事例集を作成した。今後の課題としては支援センターの機能の明確化と人材養成のあり方を検討していく。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201520009B
報告書区分
総合
研究課題名
医療安全支援センターの業務及び運営の改善のための研究
課題番号
H26-医療-一般-014
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 安司(東京大学 大学院医学系研究科医療安全管理学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去2年間の厚労科研の知見から更なる仮説を設け、支援センターの業務改善のための方策を講ずる。
(1)各センターの対応状況の調査等
相談対応の評価が必要であるが、それ以前に、相談対応には各自治体の中でのセンターの位置づけや体制の影響を受けることが分かってきた。そこで体系的なインタビューガイドを用い、自治体の体制や位置づけを把握すると共に、センター毎の具体的な相談対応の実例を調べる。
(2)詳細な事例の検討(及び事例集の作成)
相談対応の評価は、相談対応の結果を評価する調査票だけでは不十分で、実際にどのような相談対応がなされているか、相談プロセスの評価も重要である。そこで、相談プロセスに着眼したプロセスレコードの分析を行う。また、相談事例の利活用の観点から、医療機関において共有すべき事例に関する事例集の作成を検討する。
(3)新しい調査票での「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」の実施援助
平成24年~25年度に行われた本研究事業にて作成した、運営調査票を用いて、全国の支援センターに調査協力を行う。
研究方法
(1)各センターを訪問し、インタビューガイドに添ってヒアリングを行い、その結果をマニュアルにまとめる。①位置づけ(歴史、理念、どのようなセンターを何のために作るのか)②設置状況(センターの機能、設置場所、予算の確保、幹部の理解)③苦情相談への対応(相談員の確保、相談員の研修、必要物品)④地域での連携状況(相談事例の収集、分析及び情報提供、医療機関へのフィードバック、医療安全推進協議会、医療機関向け研修、関連団体とのつながり、住民への情報提供)
(2)相談事例を用い、模擬患者と支援センター相談員の応答を記録、プロセスレコードを作成し、解説をつけて相談対応時の参考資料とする。また次年度は医療機関への事例提供用の事例集案を作成する。
(3)「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」が実施できるよう、周知徹底を行う。
結果と考察
本研究は、センターの業務と運営の向上を資する提案を行うことを目的として進めた。2年間で以下の3つの課題に取り組んだ。また、班会議等では、センター運営の向上のためという観点からだけでなく、高齢化に伴う相談支援のニーズ増大等を踏まえ医療と介護・福祉の連携や地域における相談活動の展望についてディスカッションを行った。
(1)各センターの対応状況の調査等
各センターの対応状況の調査により、「各自治体の裁量」にゆだねられているセンターの実態は、取り組みレベルに地域差があることがわかった。この結果をうけて支援センターの役割が明確になるよう、マニュアル案を作成した。「支援センターの役割は何か」「行政が相談窓口を運営する意義」を明確にした参考資料として、現場で活用されることを想定している。
(2)詳細な事例の検討(及び事例集の作成)
プロセスレコードを元に作成した、詳細な事例の検討を加えた事例集は、対応の詳細や相談員や相談者の心理的動揺等も書かれており、相談がパターン化しがちな相談員への教材として現場で活用されている。また、医療機関との情報共有の必要な事例集案は試作までできた。医療機関への情報提供に資する事例の収集、分析、情報提供の一連の流れをシステム化していくことを検討し、より利活用の可能な状態での配信を考えている。
(3)「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」の実施援助と解析
「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」は、ある程度定義を明確にしたデーターとして収集分析が可能になった。センター運営に関する基礎資料としての役割を持てる調査となった.一方で自治体はより詳細なデーターを取っており、今後必要に応じて詳細な調査項目を追加していく必要も出てくる。運営調査の基盤をつくり、安定的に調査が実施できるような体制を検討する必要がある。
結論
センター業務と運営の向上に関して、現場と連携し必要な参考資料の作成を行うとともに、センター業務の役割の明確化、地域の相談支援機能への寄与という新たな課題を発見することができた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-12-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201520009C

収支報告書

文献番号
201520009Z