発生動向を理解するためのHIV感染者数の推定手法の開発

文献情報

文献番号
201518017A
報告書区分
総括
研究課題名
発生動向を理解するためのHIV感染者数の推定手法の開発
課題番号
H26-エイズ-若手-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
西浦 博(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
845,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、日本におけるHIV感染者数の推定手法を開発し、複数の推定手法の妥当性や推定値
の不確実性を比較・評価し推定値をエイズ発生動向の理解に役立てることである。日本におけるHIV
感染症の発生動向を理解するための数理モデルを利用した推定研究の第1段目のモデル化と推定を実
施した。日本全国で約3万人相当の日本人感染者がいるものと推定され、感染経路別での感染者数およ
び診断率が推定された。3年度目以降、同モデルの原著論文出版に続いて、モデルコードの社会実装
およびエイズ専門家への紹介に加え、妥当性の検証を着実に進めていく所存である。
研究方法
最低限の目標としていた2つ目のモデル(競合リスクモデル)による推定研究が完了した。HIV専
門家や公衆衛生専門家に紹介してフィードバックを得る機会を設けられたことに加え、エイズ動向
委員会に年度途中から委員として出席し、研究成果をご紹介する機会をいただいた。今後、ハイイ
ンパクトの国際誌に同成果を発表し、続く研究も展開するための良い経過を送っている。
結果と考察
2年度に2つ目のモデル(競合リスクモデル)を活用した研究を完了するまで到達できた。インパクト
ファクターを有する海外専門誌に掲載し,国内でも説明する予定である。今後も国際的批判に耐える
論文として報告を続けていく所存である。国連エイズ基金(UNAIDS)など国連機関等にも参照
いただける推定値の提供を実現する。日本エイズ学会で同研究を報告し、発生動向委員会の情報だけ
でなく、推定に基づく全感染規模を知ることの重要性を共有できた。また、罹患率など動的な推定に
加え、感染経路別の診断率の検討が予防に直結することを強調した。今後も、推定研究の重要性と
位置づけ、問題点を非専門家とも共有し、社会に発信していきたい。
結論
基本となる数理モデルを1つ構築し、その妥当性を検討する段階と位置づけた。推定には多状態モデル
(multi-state model)を利用し、HIV感染の進行を数理的に記述したコンパートメント型モデルを用
いた。これは、より単純な数理的メカニズムで記述される逆計算法(backcalculation)というAIDSの
潜伏期間を利用した畳み込み式によるHIV感染者数の推定に加えて、さらにHIV診断者のデータも利用
し、新規感染率と診断率を同時推定するモデルである。同モデルの使用により、全感染者数および感
染経路別の感染者数、更に、それぞれの診断率について同時推定を行った。推定には最尤推定法を使
用した。また、短期予測を行ったが、統計学的推定に最尤推定法を利用しているため、分散-共分散行
列を用いて正規近似の仮定の下でパラメータ不確実性を加味した予測区間の計算を実施した。

公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201518017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,097,000円
(2)補助金確定額
1,097,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,085円
人件費・謝金 829,575円
旅費 340円
その他 10,000円
間接経費 252,000円
合計 1,097,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
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