エビデンスに基づくバイオリスク管理の強化と国際標準化及び事故・ヒヤリハット事例の共有データベース構築に関する研究

文献情報

文献番号
201517009A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づくバイオリスク管理の強化と国際標準化及び事故・ヒヤリハット事例の共有データベース構築に関する研究
課題番号
H26-新興行政-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐多 徹太郎(富山県衛生研究所)
  • 藤本 秀士(九州大学大学院 医学研究院)
  • 清水 博之(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 御手洗 聡(結核研究所 抗酸菌部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
13,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、国内外の事故・事件・ヒヤリハット事例を収集分析し、実証実験データを参考に効果的なリスク緩和対策の提案をつけた匿名化シナリオ事例の登録データベースの構築を図る。バイオリスクの管理(BM)強化の課題である人材養成とバイオセーフティ普及の教育研修資材として活用し、事前に現実の事例をシミュレーションすることで、病原体等取扱い時の事故・事件例の削減とIHRコア・キャパシティとしての診断力強化への支援を併せて行う。加えて、国際標準のBMの導入を促進、効果について検討すると共に、BMシステムの国際規格化を含む最新国際情勢について情報提供する。特に、データベースの事例デボジトリの活用を通じ、実験室でのギャップとニーズを明らかにし、研修構築の支援材料及び、人材重視の施設の運用改善や事故減少のための情報を提供する。研究診断機関の国際的な研究協力と人材交流の促進に繋がる国際規格認定取得や、安全性と国際信頼性向上の支援を目的としている。
研究方法
実際に発生している実験室内の事故・事件・ヒヤリハットの事例の収集と、匿名でその概要分析から危険な状態を身近に感じる「シナリオ例」として教育、研修、訓練シナリオへ活用できるアウトプットへ変換する検索可能なデータベース案のデザインを以下の手順で行う。1)研究分担者全員が協力し、分担者本人の経験した、あるいは既知の事例から、事例のパターンを分析し、収集フィールドを決定。2)費用対効果も考慮して、プラットフォームの比較検討と選定。3)ユーザー画面表示および収集情報フィールドの検討。4)初版データベースを作成し、収集事例の搭載。5)プラットフォームの選定、フィールド選定の妥当性、ユーザー利便性当の検討。6)二年次はベータ版実装試行の準備を行た。病原体等輸送容器の安全性、滅菌・消毒の効果等の検証データ収集の為の実験及び、国際的なバイオリスク管理(BM)基準に準じた実験室デザインの安全性への寄与の検討を実施し、事故およびヒヤリハット事例の予防策へ反映する。教育訓練効果の検討、封じ込め対象病原体施設での原状調査の結果等の機会において、各研究分担者の専門領域の事例収集を行い、匿名化して初版データベースへ登録する。国際バイオセーフティ学会連合の専門家認証の仕組み構築及び、国際標準化機構のBMシステムのISO規格の確立への協力や学会発行のBMの文書やポリオウイルス取扱いの世界的行動計画文書の翻訳を行った。
結果と考察
初年度に続き1)実験室内事故の現象等を含む国際基準の導入効果について、報告および論文発表等の調査チェックリストの検討。結核菌を主な取扱い施設を対象としたバイオリスク管理(BM)と精度保証の実態把握調査、米国微生物学会による大学BSL1およびBSL2教育施設に関する文書翻訳とポリオウイルス取扱いの世界的行動計画文書の翻訳の実施、2)病原体輸送容器の強度に関する追加実験及び、臨床検査にかかわる大学院生を対象としたBM教育の効果分析の論文作成、地方衛生研究所におけるBMの経時的な状況変化について学会発表、ヒヤリハット事例を基にした追加研修用資料の作成、運用を開始したIFBA バイオセーフティ専門家認証のBM基礎および、廃棄物の安全取扱い基礎についての実施運用評価および、新規3分野の設計方針の決定等へ技術的貢献、3)事故・事件・ヒヤリハット事例の共有化に資する連結不可能匿名化したデータベースのデザイン、構成の検討、基本プラットフォーム選定と試行版へ搭載する事例の収集編纂ベータ版について検討している。搭載事例の収集への協力を得ることが、研究成果達成の鍵となる。
結論
実験施設のバイオリスク管理(BM)強化は、国際保健規則でも安全かつ効果的な健康危機対策に必要な要件として、コア・キャパシティの一端として加盟国に求められている。バイオリスク評価基づいたBMシステムの導入の課題は、安全に関する法整備の遅れ、維持費の必要性、専門家および管理者の人材不足にあるとされている。本研究班は、バイオセーフティの実態を示す数値を提供し、人材教育と研修を支援し、施設管理者、行政担当者等にBMシステム導入のインセンティブを与えるデータベースを構築し、共有する。

公開日・更新日

公開日
2016-06-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201517009Z