精神障害者の就労移行を促進するための研究

文献情報

文献番号
201516025A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の就労移行を促進するための研究
課題番号
H26-精神-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 剛(NTT東日本関東病院 精神神経科)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 良雄(メディカルケア虎ノ門)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科精神医学)
  • 酒井 佳永(跡見学園女子大学文学部臨床心理学科)
  • 堀 輝(産業医科大学医学部精神医学)
  • 山口 創生(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会復帰研究部)
  • 山内 慶太(慶應義塾大学看護医療学部 ・ 大学院健康マネジメント研究科)
  • 後藤 隆(日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科   社会調査法  )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.中小企業との連携強化方法の提示
2.地域における諸機関との連携の標準化
3.疾病・服薬の運転技能への影響の検討
4.文献レビュー
5.再休職状況の把握
6.短期間のリワークプログラムモデルの開発
7.リワークプログラムの費用と効果に関する医療経済的研究
8.リワーク指導マニュアルのRCT
9.リワーク施設職員の研修体制および評価に関する研究
10.リワークプログラムの多様化に対応したプログラムのモデル化
11.発達障害の特徴を有する対人関係障害者へのリワーク支援の系統化
12.医療機関から精神保健福祉士等がアウトリーチを行うことの有効性についての検討
研究方法
1-1 中小企業において、社員研修会で使用できる一次予防資料の出版
1-2 復職後のフォローアップツールの改訂
1-3 社会保険労務士を対象とする包括的メンタルヘルス対応に関する講演会の有効性確認
2-1 治療機関と他院主治医との連携
2-2 治療機関と企業との連携 に関する実態調査
2-3 連携時のモデル文書の作成
3 社会復帰準備期にあるうつ病患者の運転技能の検討および健常者との比較
4-1 復職支援プログラムに関する論文の検討
4-2 介入内容や効果についてのエビデンスの統合
4-3 介入の有効性への関与要因の検討
5 昨年度作成された資料の改訂
6-1 短期型リワークプログラムと既存型リワークプログラムのアウトカムの比較
6-2 医療経済的な評価
6-3 復職後の職場におけるフォローアップ体制の検討
7-1 復職後の労働生産性の経時的変化の明確化
7-2 労働生産性に関わる要因の検討
8-1 リワークマニュアルを用いた指導の有効性のRCT
8-2 通常治療下における復職継続に関連する要因の検討
9-1 実地研修を組み込んだ研修プログラムの作成
9-2 リワーク施設の内部評価、外部評価のあり方の検討
10 モデルプログラムを実施しているリワーク施設への実地調査
11 能力発達のばらつきへのリワーク支援の手引きの作成
12-1 援助付き雇用型支援におけるESとCMerのサービス提供量とサービス内容の検証
12-2 就職や就職継続に影響する個人要因の検証
12-3 コストの検証
結果と考察
1.一次予防研修資料による書籍が刊行された。復職後のフォローアップツールが改訂された。社会保険労務士を対象とするセミナーの有効性が確認された。
2.書面作成、診察・面談・ケース会議による連携に多くの時間を費やしているが、無報酬で行っている割合が非常に高い。
3. 社会復帰準備期のうつ病患者の運転技能は、健常者と比し低下していなかった。運転適性判断では、認知機能や症状評価は十分な予測指標とはならない。複合的要因に配慮した総合的な判断が必要である。
4. 復職支援に関する介入研究は数が少なく、また研究が行われている地域が、限局、偏在している。対象が男性、精神科施設での介入、24カ月以上の追跡調査が介入の有効性に関連している可能がある。
5. 業務内外ストレスシート、上司や職場の対応調査シートの改訂案が作成された。業務内外ストレスシートについては、項目を集約できる可能性について検討する必要がある。
6.短期型リワークマニュアルの効果を検討するための前向きコホート研究を実施している。来年度解析を行い、公表する。
7.労働生産性については、復職時点でabsenteeismは比較的安定し1年を通して変化は見られなかった。presenteeismについては、有意に改善が見られていた。
8. リワークマニュアルの有効性に関しては次年度検討する。復職決定時における活動性の維持は、復職継続率を高める可能性がある。リワークマニュアルにおいても活動性の評価及び介入があり有効である。
9.「基礎コース」と「専門コース」を開催し、「専門コース」を受講した参加者に対して、研修認定が導入されたときに使用することができる「受講証」を発行した。
10. 独自に工夫されたプログラムが誕生した背景などが明らかになった。実地調査からは、経済面、人材面、研究面、医療面での問題や課題が明らかになった。
11. 「能力発達のばらつきへのリワーク支援の手引き」第20版が作成され、次年度に有用性の検証を行うことが可能になった。
12. 来年度の検証過程で、就労に関連する個人要因を実証できると推測される。また、サービスコード票データの分析から、サービス種別(例:アウトリーチサービス、集団プログラム等)ごとのサービス提供量(全体および月別)が把握可能となり、効果的な支援要素や就労者の多い事業所のサービス提供量とその内容等が証可能となる。
結論
各課題とも順調に進捗し、最終年度に所定の成果を生み出せると予測している。

公開日・更新日

公開日
2016-08-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201516025Z