文献情報
文献番号
201516009A
報告書区分
総括
研究課題名
常時介護を要する障害者等の状態像並びに支援体制の在り方に関する研究
課題番号
H27-身体・知的-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
細渕 富夫(埼玉大学 教育学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
5,805,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しにおいて、「常時介護を要する障害者等への支援の在り方」について検討を加え、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとするとされていることから、「常時介護を要する障害者等」の多様な状態像を踏まえ、障害の状態に応じて必要な介護の内容と量について調査し整理するとともに、常時介護を要する障害者等が必要とする介護及び見守り等が過不足なく提供される体制について検討し、政策提言を行うことを目的とした。
研究方法
在宅において長時間介護が必要な者の状態像とサービスの内容や量について具体的に把握するために、現在在宅で長時間の介護を受けている障害児者、施設入所者及びグループホーム入居者等18名を訪問し、24 時間タイムスタディ調査を行った。「常時介護を要する」という研究テーマから、研究では、特に夜間の介護や支援の在り方に注目した。
さらに、現行の重度訪問介護の対象に該当しない知的障害者及び精神障害者に対する「見守り」を中心とする支援、親亡き後に自宅での生活を継続するための支援に関し、今後のより効果的な支援のあり方に向けた提案を行うことを目的にヒアリング調査を行った。
<倫理面への配慮>
個人情報に関わる研究については「個人情報保護に関する法律」を遵守している。特に対象者の個人情報保護のためには、対象者の匿名性の確保に努めている。また、フィールド調査に際しては対象者に調査の目的と方法を明確に伝え、協力意思の有無を確認した後に実施している。(インフォームド・コンセント)また、調査によって対象者の処遇に不利益を生じさせないように配慮している。加えて、データと個人を特定する情報との連結可能性を低くするために、可能な限り、協力機関において既に匿名化されたデータを収集している。
さらに、現行の重度訪問介護の対象に該当しない知的障害者及び精神障害者に対する「見守り」を中心とする支援、親亡き後に自宅での生活を継続するための支援に関し、今後のより効果的な支援のあり方に向けた提案を行うことを目的にヒアリング調査を行った。
<倫理面への配慮>
個人情報に関わる研究については「個人情報保護に関する法律」を遵守している。特に対象者の個人情報保護のためには、対象者の匿名性の確保に努めている。また、フィールド調査に際しては対象者に調査の目的と方法を明確に伝え、協力意思の有無を確認した後に実施している。(インフォームド・コンセント)また、調査によって対象者の処遇に不利益を生じさせないように配慮している。加えて、データと個人を特定する情報との連結可能性を低くするために、可能な限り、協力機関において既に匿名化されたデータを収集している。
結果と考察
調査対象者18名のうち、重度訪問介護利用者は9名である。医療型Aでは、住まい方の形態に関わらず対象4名全員が利用しているが、家族同居の場合、同居の両親が介護していることもあり、介護利用時間数が格段に少なくなっている。
対象者を「特別な医療の必要」「四肢麻痺」「SOSの感知・発信困難」から整理すると、生活支援型Bを除き、すべての対象者がいずれか1つ以上に該当していた。
医療とのかかわりを見ると、医療型A・Bのタイプでも医療サービスの利用状況には差が見られた。また、生活支援型Bの場合、今回対象者4名のうち3名は、医療系サービスのみの利用であった(うち2名は、グループホーム居住)。
夜間の居宅介護或いは巡回型サービス利用者以外、就寝時の介護の大半は、「待機」に充てられていることが明らかとなった。
タイムスタディ結果は、本人意向や地域特性が組み合わさった上で組み立てられた、現実の介護実態である。したがって、類似の状態像であっても、サービスの組み立てには個別性がみられた一方で類型に応じた一定の特性もみられたため、常時介護が必要な状態像の障害者に必要な介護の質や量のグラデーションを下図に整理をした。
①「常時介護」の必要性の軸を、緊急性・即応性(=生命・身体のリスクの高低)と介護量・頻度の2軸に設定した。
②本人状態像からみて、緊急性・即応性が高く、かつ介護量や頻度も大きくなることが想定される要件として、以下の5点があげられる。「特別な医療が必要」「四肢麻痺である」「発語・発信困難」「危機判断が困難」「突発的な行動によるリスクが高い」。
夜間の付き添い・支援の目的を本人の類型毎に整理した。従来「見守り・待機」として一括りにしていたものを2段階に分類し、介護密度の高い順に、①直接支援、②間接支援1(observe相当(観察・注視))、③間接支援2(see、wait相当(待機))の3段階に区分できるのではないかと考えた。
対象者を「特別な医療の必要」「四肢麻痺」「SOSの感知・発信困難」から整理すると、生活支援型Bを除き、すべての対象者がいずれか1つ以上に該当していた。
医療とのかかわりを見ると、医療型A・Bのタイプでも医療サービスの利用状況には差が見られた。また、生活支援型Bの場合、今回対象者4名のうち3名は、医療系サービスのみの利用であった(うち2名は、グループホーム居住)。
夜間の居宅介護或いは巡回型サービス利用者以外、就寝時の介護の大半は、「待機」に充てられていることが明らかとなった。
タイムスタディ結果は、本人意向や地域特性が組み合わさった上で組み立てられた、現実の介護実態である。したがって、類似の状態像であっても、サービスの組み立てには個別性がみられた一方で類型に応じた一定の特性もみられたため、常時介護が必要な状態像の障害者に必要な介護の質や量のグラデーションを下図に整理をした。
①「常時介護」の必要性の軸を、緊急性・即応性(=生命・身体のリスクの高低)と介護量・頻度の2軸に設定した。
②本人状態像からみて、緊急性・即応性が高く、かつ介護量や頻度も大きくなることが想定される要件として、以下の5点があげられる。「特別な医療が必要」「四肢麻痺である」「発語・発信困難」「危機判断が困難」「突発的な行動によるリスクが高い」。
夜間の付き添い・支援の目的を本人の類型毎に整理した。従来「見守り・待機」として一括りにしていたものを2段階に分類し、介護密度の高い順に、①直接支援、②間接支援1(observe相当(観察・注視))、③間接支援2(see、wait相当(待機))の3段階に区分できるのではないかと考えた。
結論
今回調査は18ケースについてのケーススタディではあるものの、調査からは、類似の状態像であっても本人意向や自治体の支給決定のあり方、地域の社会資源等によって、提供されているサービスメニューや支給時間数には差があることが明らかとなった。「常時介護が必要」の内容や実現方法を多角的に検討する必要がある。タイムスタディ調査及びヒアリング調査から以下の結論が得られた。
①より多くの常時介護が必要な状態の人に、必要なサービスを提供していくためには、提供に際しての一定の共通した考え方やプロセスが共有されていくことが望ましい。②個別性の高いニーズに対応するため、状態像に応じた新たなサービスを開拓していく必要性を含め検討していく必要がある。③多様なニーズに対応するために医療と福祉の役割分担と連携がよりいっそう求められる。
①より多くの常時介護が必要な状態の人に、必要なサービスを提供していくためには、提供に際しての一定の共通した考え方やプロセスが共有されていくことが望ましい。②個別性の高いニーズに対応するため、状態像に応じた新たなサービスを開拓していく必要性を含め検討していく必要がある。③多様なニーズに対応するために医療と福祉の役割分担と連携がよりいっそう求められる。
公開日・更新日
公開日
2016-08-08
更新日
-