重症多形滲出性紅斑に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510062A
報告書区分
総括
研究課題名
重症多形滲出性紅斑に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-081
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
塩原 哲夫(杏林大学 医学部 皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐山浩二(愛媛大学医学部皮膚科学)
  • 相原道子(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 末木博彦(昭和大学医学部皮膚科学)
  • 森田栄伸(島根大学医学部皮膚科学)
  • 浅田秀夫(奈良県立医科大学医学部 皮膚科学)
  • 椛島健治(京都大学大学院医学系研究科 皮膚科学)
  • 小豆澤宏明(大阪大学大学院医学系研究科 皮膚科学)
  • 橋爪秀夫(市立島田市民病院皮膚科)
  • 阿部理一郎(新潟大学医歯学総合研究科 皮膚科)
  • 高橋勇人(慶應義塾大学医学部 皮膚科学)
  • 青山裕美(川崎医科大学附属川崎病院  皮膚科 )
  • 黒沢美智子(順天堂大学医学部衛生学)
  • 莚田泰誠(立行政法人理化学研究所 統合生命医科学研究センター薬理ゲノム学)
  • 外園千恵(京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学)
  • 井川健(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学)
  • 佐藤貴浩(防衛医科大学校医学教育部 医科学進学課程皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
16,726,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者 塩原哲夫(平成23年4月1日~平成28年3月31日)→森田栄伸(平成28年4月1日)

研究報告書(概要版)

研究目的
Stevens-Johnson症候群 (SJS)、及び中毒性表皮壊死症 (TEN)の診断基準は2005年に策定され、初期診断・早期治療に貢献してきたが、臨床的な運用において診断特異性が低いことが指摘されていた。また、治療指針においては新規治療薬が承認され、この使用について情報を提示する必要があった。さらに、難治性疾患への適切な医療を広く発信するためSJS/TENの診療ガイドラインの作成が切望されていた。このような状況の下、本年度の研究では、①SJS及びTENの診断基準を改訂する、②SJS/TENの治療指針を改訂する、③改訂した診断基準・治療指針を含めた包括的な診療ガイドラインを作成する、などを主目的とした。加えて、分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬剤により生じる皮膚病変への適切な対処法の提示、SJS/TENへのステロイドパルス療法の国際的臨床治験のためのプロトコール・倫理指針の作成、難病登録個人調査票案の作成なども目的とした。
研究方法
SJS及びTENの診断基準の改訂にワーキンググループを設置し、既存の診断基準の問題点の選出、追加項目の検討、従来の基準の表現の適切さの評価、皮膚組織所見の解析、海外の診断基準との比較検討などを各施設で蓄積されていた症例データを用いて行った。SJS/TENの治療指針の改訂のため従来の治療指針の問題点を整理するとともに、大量免疫グロブリン製剤(IVIg)を用いた新規治療法を追加すること、その位置づけをアルゴリズムの形で提示すること、使用に際しての注意事項などを記載することを決定して作成を進めた
診療ガイドライン作成のため、3回にわたる会議を開催して討議を重ねた。ガイドラインはclinical question(CQ)を設定して回答する形式と決定した。すなわち、CQに対して推奨度を入れた短文の推奨文を記載し、さらに、文献を含めた解説を付記し、そこで引用した文献にエビデンスレベル分類を記載する様式である。また、近年増加傾向にある、分子標的薬・生物学的製剤・免疫チェックポイント阻害薬などの新規治療薬の皮膚病変について各施設が現在経験している症例をpreliminaryに集積した。ステロイドパルス療法の国際臨床治験を計画し、SJS/TENへのステロイドパルス療法の国際的臨床評価の必要性を数回の国際会議で主張し、再度にわたりプロトコールを検討し作成した。

結果と考察
TENの診断基準の主要項目(必須)を修正し、国際的な診断基準と整合性が得られるように改訂した。SJS/TEN改訂治療指針では、現行の指針に新規治療法であるIVIg療法を有用な選択肢としてとらえ、その治療法・投与のタイミングなどを追記し、加えて治療アルゴリズムを作成した。診療ガイドラインの作成では、改訂した診断基準、治療指針を踏まえて、約60個のCQを集積した上で整備し、それぞれのCQへの推奨文、解説、文献から構成されるSJS/TENの診療ガイドラインを作成した。
新規治療薬の皮膚病変調査のため、調査する皮膚病変などの項目を決定し、その転帰を重視する調査票を作成した。
ステロイドパルス療法の国際臨床治験に関して、本療法の臨床治験の準備は確実に進行し、治験プロトコールの完成に至った。疫学・遺伝的背景・病態に関して、重症薬疹マウスモデルを用いた表皮細胞の壊死、小胞体ストレスと表皮細胞の壊死の関係、好塩基球活性化試験の有用性、薬剤特異的T細胞の解析研究などで臨床的に有用な成果が得られた。また、DIHSについてはヘルペスウイルスの研究を進め、 急性期にHHV-6受容体(CD134)の発現が亢進することを見いだした。この他、βラクタム系抗菌薬による薬疹と関連する遺伝的背景(HLA-DRB1*:13:02)の同定結果も報告された。診断基準の項目に皮膚病理組織所見も取り入れたことで、SJS診断の特異性を飛躍的に高める事が出来ると考えられる。治療指針では特に新規治療法であるIVIgを加え、診療アルゴニズムを作成して臨床的にどのような時にIVIgを投与するかが容易に把握できるようにした。
結論
診療ガイドラインはSJS及びTENの早期回復、後遺症の回避を促進させ、最終的に医療の向上に貢献すると考えられる。今後はこの診断基準、治療指針、診療ガイドラインを広く普及・啓蒙させることが大切である。また、今後の実際の運用で顕在化してくる不備を把握し、さらに有用な診療ガイドラインへ育んでいくことが必要となる。ステロイドパルス療法の国際的臨床治験が開始され、その成果が得られれば、本邦から海外へSJS/TENの治療手段を発信することになり、本邦の医療水準を国際的に認識させる点で大きな意義を有している。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-12-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510062Z