希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究

文献情報

文献番号
201510041A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-051
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
井上 有史(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大槻 泰介(国立精神・神経医療研究センター)
  • 須貝 研司(国立精神・神経医療研究センター)
  • 小国 弘量(東京女子医大小児科)
  • 廣瀬 伸一(福岡大学医学部小児科)
  • 柿田 明美(新潟大学脳研究所神経病理学)
  • 白石 秀明(北海道大学医学部小児科)
  • 中里 信和(東北大院医学部てんかん学分野)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学小児科)
  • 白水 洋史(独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院)
  • 高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部 )
  • 永井 利三郎(プール学院大学教育学部)
  • 小林 勝弘(岡山大学病院小児神経科)
  • 本田 涼子(長崎医療センター小児科)
  • 池田 昭夫(京都大学大学院てんかん学)
  • 小黒 恵司(自治医科大学大学院脳外科)
  • 奥村 彰久(愛知医大小児科)
  • 浜野晋一郎(埼玉県立小児医療センター神経科)
  • 加藤 光広(山形大学医学部小児科)
  • 菅野 秀宣(順天堂大学医学部脳神経外科)
  • 川合 謙介(東京医療保健大医療保健学部)
  • 林 雅晴(東京都医学総合研究所神経病理学)
  • 松石 豊次郎(久留米大学医学部小児科)
  • 今井 克美(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部 )
  • 酒井 規夫(大阪大学大学院小児科)
  • 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター遺伝診療科)
  • 齋藤 明子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター臨床疫学研究室)
  • 嘉田 晃子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター生物統計学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
13,685,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 希少難治性てんかんの多くは乳幼児・小児期にてんかん性脳症を来たし発達を重度に障害するため、適切な診療体制の普及と有効な治療法の開発および予防が喫緊の課題である。本研究では、希少難治性てんかん症候群およびその原因疾患につきレジストリを構築し、全国規模で症例を集積し、さらに追跡調査を行って、我が国における希少難治性てんかんの病態、発達・併存障害、治療反応、社会生活状態に関する疫学的な根拠を得ること、さらにこれらの疾患の疾患概要、重症度分類を作成し、厚生労働省の指定難病制度に貢献することを目的とした。
研究方法
 希少難治性てんかん症候群(21症候群+α)およびその原因疾患(24)につき、名古屋医療センター臨床研究センターと協議し、電子的データ収集(Electronic Data Capture, EDC)システムを用いた、疾患登録、横断研究、前向き観察研究の3つのレジストリを構築した。さらに、円滑に登録をすすめるために、各ブロック担当、各学会担当、既存のネットワークや患者団体等との連携担当のコーディネータを設けた。
 疾患登録は全体及び疾患分類別の患者数の把握と死亡率の推定を、横断研究は患者の病態の現状把握および罹病期間と病態の関係の検討を、縦断研究は2年間の病態、障害の程度、社会生活状況の推移を把握する。研究期間は、疾患登録は2017年3月まで、横断研究は2015年11月まで、縦断研究では2015年11月までに登録された新規症例/診断移行症例を登録後2年間追跡する。
結果と考察
 疾患登録は継続中であり、2016年3月現在、1362例が登録されている。横断研究の登録は2015年11月末に終了し、1316例の結果を解析中である。疾患登録・横断研究において、症候群に分類できないてんかん(その他のてんかん)が非常に多く(約50%)、同様に原因分類にあてはまらないものや不明のものも多い(半数以上)。新たな症候群あるいは原因群として包括できるものが多数含まれているのではないかと予想され、詳細な分析が今後の課題である。
 横断研究では、登録症例の発症年齢は中央値2歳と非常に早期であった。側頭葉てんかんやその他の焦点てんかんを除くともっと早いと思われる。また発作頻度が非常に多い。発作型ではスパスムや強直発作が多く、脳波異常、画像異常ともに頻度が高い。治療では薬物以外にホルモン治療や食事治療が行われており、また外科治療も多い(26.8%)。併存症では知的障害、特に重度の知的障害の多さが目立ち、自閉症スペクトルム障害や身体障害も多かった。障害の重篤さは生活状況にも影響していた。総じて重度のてんかん、重度の併存障害のある症例が多いことがわかった。
 てんかん症候群では、側頭葉てんかんや焦点てんかんを除くと、 West 症候群、Dravet 症候群、Lennox-Gastaut 症候群の3 症候群が多い。逆にこの 3 症候群以外は専門施設でも症例数が少なすぎて分析も困難であり、全国規模の本レジストリにより症例が蓄積して臨床分析が進むことが期待できる。
 レジストリへのアクセスはインターネットを使用していることにより利便性がよく、入力は比較的スムーズに行われ、重複などのトラブルはほとんどなく、研究班が構築した登録システムは優れていることが実証された。ただ、同意取得にタイミングと時間を要すること、患者側の動機付け、医療連携システムの欠如による登録範囲の限定などの点が指摘され、登録法や患者リクルートを工夫する必要がある。
 さらに、厚生労働省の指定難病制度に貢献するため、22の稀少てんかんの疾患概要、重症度分類、臨床調査個人票を作成した。さらに4疾患を指定難病に追加することを提案した。難病情報センターに掲載する医療従事者向けおよび一般利用者向けの難病解説文書を作成した。 
結論
 希少難治性てんかんのレジストリ/データベースを構築し、EDCシステムのWEB方式で登録を開始した。疾患登録は継続しており、13ヶ月の横断研究のデータ(1316例)を解析中である。縦断研究には65例を登録した。
 今後さらに登録疾患をすすめ、横断研究の詳細データ解析、縦断研究の成果を得て、疫学的な根拠を求め、診療・治療ガイドラインの作成・改訂・普及(学会と連携)、ケアに関する指針を作成・改善し、医療支援・福祉政策への提言を行う。さらにデータベースを活用した臨床研究の推進、遺伝子キーステーションや病理診断レジストリとリンクした診断精度の向上、基礎・臨床の橋渡しへの協力を目指す。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,790,000円
(2)補助金確定額
17,876,829円
差引額 [(1)-(2)]
-86,829円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,278,722円
人件費・謝金 465,493円
旅費 1,581,158円
その他 8,446,456円
間接経費 4,105,000円
合計 17,876,829円

備考

備考
利息が922円、自己資金が86,207円です。自己資金は、研究に関わる事項の情報収集および成果の発表をおこなうための外国旅費における予算超過による自己負担です。

公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
-