特発性心筋症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510034A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-043
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田功(山形大学 医学部内科学第一講座)
  • 下川宏明(東北大学 大学院医学研究科)
  • 永井良三(自治医科大学)
  • 小室一成(東京大学 大学院医学研究科)
  • 福田恵一(慶應義塾大学 医学部)
  • 磯部光章(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 後藤雄一(国立精神・神経医療研究センター)
  • 室原豊明(名古屋大学 大学院医学研究科)
  • 山岸正和(金沢大学医薬保健研究域医学系)
  • 木村剛(京都大学 大学院医学研究科)
  • 坂田泰史(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 北風政史(国立循環器病研究センター)
  • 中谷武嗣(国立循環器病研究センター)
  • 斎藤能彦(奈良県立医科大学)
  • 矢野雅文(山口大学 医学部付属病院)
  • 井手友美(九州大学 大学院医学研究院)
  • 赤澤宏(東京大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
16,067,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として、特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後約40年間継続して本領域での進歩・発展に大きく貢献してきた。1980年にWHO/ISFC合同委員会が特発性心筋症の分類定義をし、1995年に改訂され、現在広く用いられている。分子生物学や遺伝子解析の進歩による特発性心筋症の病因・病態が明らかにされるにつれ、2000年にESCやAHAで新たな分類定義が提唱された。しかしながら、我が国独自の新たなエビデンスを収集、分析、評価し、診療に応用することが必要である。現在までに、我々は心不全患者を対象とした全国規模のレジストリー研究を行い、心筋症患者の特徴、予後規定因子を明らかにした(Circ J 2012, 2011など多数)。特に、拡張相肥大型心筋症の特徴や予後を明らかにした(J Cardiol 2013)。この様な状況で、本研究は心筋症の実態を把握し、日本循環器学会、日本心不全学会と連携し、診断基準や診療ガイドラインの確立を目指し、研究成果を広く診療へ普及し、医療水準の向上を図ることを目的とする。さらに、研究成果の社会への還元を行うことも本研究の重要な目的の一つである。
研究方法
これまで研究班で行ってきた研究の継続と新たなエビデンスを創出する新規の研究の2つを大きな柱とし、全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層で研究を進め、最終的に日本循環器学会や日本心不全学会と連携し、エビデンスに基づいた診療ガイドラインの確立・改訂を目指す。本年度は以下の研究に取り組んだ。
I.全体研究
心筋症症例登録研究の継続、特定疾患登録システムを用いた調査研究システムの構築に取り組んだ。
II.サブグループ研究
①わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究(27年度途中よりAMED難治性疾患実用化研究で継続)、②心筋症を基礎とする重症心不全患者の予後を推定する予測式の構築、③心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発の3テーマに取り組んだ。
III.個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究に取り組んだ。
IV.診療への普及と患者・社会への還元
特発性心筋症の診断、治療の現状および研究開発の状況を、患者およびその家族に広く伝えるため疾患概要等の詳細な情報を「難病情報センターのホームページ」などにおいて印刷可能な電子媒体として無料公開する。
結果と考察
本年度はそれぞれの研究を継続、推進、準備した。拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症の指定難病個人調査票の最終改訂を行いWeb登録の準備を行った。Web登録による心筋症調査研究が推進可能となった。
サブグループ研究
①わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究
本年度は他施設における自主臨床試験倫理審査委員会での承認後、登録が開始され、40症例登録された。
②心筋症を基礎とする重症心不全患者の予後を推定する予測式の構築
国立循環器病センターを中心に複数の施設で登録が進み、150症例が登録され、現在解析中である。
③心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発
登録症例は156例に上り、1年後の予後調査が行われた。その結果を解析中である。
個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究を行い、班会議(第1回日本心筋症研究会)で報告された。
診療への普及と患者・社会への還元
特発性心筋症の重症度分類を作成し、特発性心筋症の認定基準として用いられている。さらに、難病情報センターのホームページを適宜改訂し、特発性心筋症の詳細な情報公開を行った。

研究班全体で全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層の研究に取り組んできた。全体研究では症例登録数の増加や解析システムの構築などが来年度の課題である。サブグループ研究は計画通り順調に進んでおり、患者登録数も伸びている。心筋症患者の栄養状態・運動能力の調査研究は解析中である。これらの研究を通して、最終的には本研究期間内に多くのガイドラインの改訂を目指す。
難病指定制度が変更されたが、それに併せて特発性心筋症の重症度を作成した。現在、難病認定に用いられており、診療への普及という点で役割を果たしていると考えるが、今後作成した重症度分類の評価が必要である。
結論
全体研究、サブグループ研究、個別研究をそれぞれ推進した。また、研究結果を診療や社会へ普及させる取り組みを行った。
研究協力者:絹川真太郎、横田卓、松島将士

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,886,000円
(2)補助金確定額
20,885,989円
差引額 [(1)-(2)]
11円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,167,000円
人件費・謝金 4,200,000円
旅費 3,000,000円
その他 5,700,000円
間接経費 4,819,000円
合計 20,886,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
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