文献情報
文献番号
201507030A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策における進捗管理指標の策定と計測システムの確立に関する研究
課題番号
H27-がん政策-指定-008
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
若尾 文彦(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
- 高山智子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
- 早川雅代(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
- 八巻知香子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、先行研究である平成25年度及び平成26年度に実施された厚生労働科学研究事業「がん対策における進捗管理指標の策定と計測システムの確立に関する研究」に関して、測定が実施されなかった項目の測定を行うとともに、詳細な解析を行い、がん対策の進捗状況を計測・把握することで、次期がん対策推進基本計画の検討に必要な基礎データを提供することを目標としている。
研究方法
平成26年度に実施した患者体験調査について、指標ごとの詳細な説明、留意点等を記載するとともに、患者体験調査の都道府県別データ等を掲載した報告書「指標に見るわが国のがん対策」を作成し、研究協力者、都道府県、がん診療連携拠点病院に送付した。
がん相談支援センター利用者調査票を作成するとともに、1月中旬~3月中旬までの調査期間にすべての面談による相談者に調査票を配布し(最大100名)、郵送回収するという方法を構築した。
相談記入シート登録システムについては、を直接入力用ファイルから集計用ファイルを作成し、送信用CSVファイルを作成する相談件数登録システムを構築した。
利用者調査および件数カウントシステムのパイロット参加を都道府県がん診療連携拠点病院に地域拠点を合わせた形での参加を募集し、8都道県の都道府県拠点と地域がん診療連携拠点病院16施設を選定し、パイロット実施を行った。
がん相談支援センター利用者調査票を作成するとともに、1月中旬~3月中旬までの調査期間にすべての面談による相談者に調査票を配布し(最大100名)、郵送回収するという方法を構築した。
相談記入シート登録システムについては、を直接入力用ファイルから集計用ファイルを作成し、送信用CSVファイルを作成する相談件数登録システムを構築した。
利用者調査および件数カウントシステムのパイロット参加を都道府県がん診療連携拠点病院に地域拠点を合わせた形での参加を募集し、8都道県の都道府県拠点と地域がん診療連携拠点病院16施設を選定し、パイロット実施を行った。
結果と考察
利用者調査について2016年1月18日から4月15日の間に1090名(平均68名、最小19名、最大100名)に配布された。配布率は約38%と推計された。4月中旬時点での回収数は683名であった。
多くの利用者にとって相談が役に立ったという傾向がみられ、調査結果については、実務者・相談支援センターの質向上、客観的評価としてのベンチマーク、業務評価、院内へのアピール、問題提起、周知などに還元できるという意見があった。実施方法では、郵送費などのコストをかけてでも、中央で収集、分析を行う形として、施設側の負担を少なくすることが必要という意見が多かった。今後については、全国的に展開し、1~2年毎に行うことが望ましいとした割合が高かった。
相談件数カウント調査では、2016年1月18日から3月23日に、連続稼働20日間の登録を行い、総数3077件、施設平均197件(最大672件、最小21件)。施設1日平均12.8件であった。
実施施設に対し、「利用者調査実施アンケート」「相談件数カウント調査実施アンケート」を行ったうえ、3月16日調査参加機関による班会議を開催し、意見交換を行い、意見の取りまとめを行った。
今回、施設間の「1回の相談」の解釈のずれを最小化し、統一した方法で測定を行うことができた。
その中で、電話相談/対面相談の比や担当医の紹介がきっかけとなっている割合、他施設など自施設以外からの相談の占める割合など、病院間にばらつきがあることが確認され、施設の状況の把握につながるものと思われた。
一方、20日に限った入力であったが、二重入力を余儀なくされたこともあり、半数の施設で負担を感じており、継続して入力を続けるのは難しいとの意見が多かった。今後の展開については、大半の施設で全国的に展開することが望ましいとした意見であったが、全件を継続的に調査していくか、一定期間とするかについては意見が分かれた。
多くの利用者にとって相談が役に立ったという傾向がみられ、調査結果については、実務者・相談支援センターの質向上、客観的評価としてのベンチマーク、業務評価、院内へのアピール、問題提起、周知などに還元できるという意見があった。実施方法では、郵送費などのコストをかけてでも、中央で収集、分析を行う形として、施設側の負担を少なくすることが必要という意見が多かった。今後については、全国的に展開し、1~2年毎に行うことが望ましいとした割合が高かった。
相談件数カウント調査では、2016年1月18日から3月23日に、連続稼働20日間の登録を行い、総数3077件、施設平均197件(最大672件、最小21件)。施設1日平均12.8件であった。
実施施設に対し、「利用者調査実施アンケート」「相談件数カウント調査実施アンケート」を行ったうえ、3月16日調査参加機関による班会議を開催し、意見交換を行い、意見の取りまとめを行った。
今回、施設間の「1回の相談」の解釈のずれを最小化し、統一した方法で測定を行うことができた。
その中で、電話相談/対面相談の比や担当医の紹介がきっかけとなっている割合、他施設など自施設以外からの相談の占める割合など、病院間にばらつきがあることが確認され、施設の状況の把握につながるものと思われた。
一方、20日に限った入力であったが、二重入力を余儀なくされたこともあり、半数の施設で負担を感じており、継続して入力を続けるのは難しいとの意見が多かった。今後の展開については、大半の施設で全国的に展開することが望ましいとした意見であったが、全件を継続的に調査していくか、一定期間とするかについては意見が分かれた。
結論
先行研究である平成25年度及び平成26年度の「がん対策における進捗管理指標の策定と計測システムの確立に関する研究」において、計測された指標について、詳細な解析を行い、報告書「指標に見るわが国のがん対策」としてまとめることで、がん対策の進捗状況を計測・把握することとともに、患者への情報の提供、不安の軽減において、重要な役割を担うがん相談支援センターの利用者調査を行い、がん相談支援の効果、相談支援センター利用の促進因子・阻害因子について評価することで、相談支援のPDCAサイクルを回すための重要なデータを得た。さらに、従来、施設による体制の相違により、統一的なカウントの実施が困難であったがん相談件数について、新たな相談記入シート登録システムを用いることで、がん相談支援の施設間での比較が可能するなど、次期がん対策推進基本計画の検討に必要な基礎データを提供した。
公開日・更新日
公開日
2024-05-28
更新日
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