総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201507025A
報告書区分
総括
研究課題名
総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-005
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 千佳子(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 古井 辰郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 大園 誠一郎(浜松医科大学 医学部)
  • 中塚 幹也(岡山大学大学院 保健学研究科)
  • 北島 道夫(長崎大学病院 産婦人科)
  • 木村 文則(滋賀医科大学 医学部)
  • 高井 泰(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 森重 健一郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 晃和(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 清水 研(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 鈴木 礼子(東京医療保険大学 医療保健学部)
  • 川井 章(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 丸 光惠(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 高橋 都(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 小澤 美和(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 小原 明(東邦大学 医学部)
  • 山本 一仁(愛知県がんセンター中央病院)
  • 松本 公一(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター 緩和医療科)
  • 新平 鎮博(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の思春期・若年成人(AYA)世代のがん医療の実態調査および患者・サバイバーのニーズ調査を行い、その結果をもとにこの世代の特徴に配慮したAYA世代がん対策のあるべき姿を具体的に政策提言する。診療・支援のツールや評価法の開発、ガイドラインの作成、および、妊孕性温存のための生殖医療提供体制の構築を行い、AYA世代のがん患者の包括医療の向上を図る。さらに、これらを広く医療関係者、国民に周知して普及啓発を図る。
研究方法
患者・サバイバー、医療機関、医療者を対象とした調査について、効率化と対象者の負担軽減のため包括的な研究計画書を作成して実施する。治療中患者・サバイバーとその家族、および健常者(対照)に対してアンケート調査を実施し、医療・支援のニーズを把握する。がん診療連携拠点病院および小児がん拠点病院のがん登録部門、相談部門、緩和ケアチームに対して、診療体制と実績、相談体制と実績、相談員の意識、緩和ケア体制と実績、緩和ケア担当者の意識について調査し、診療実態を把握する。がん薬物療法専門医等がん医療に携わる各領域の専門医の意識調査による実態把握およびAYA世代がん対策の啓発。各学会専門医に対して、アンケート調査を実施してAYA世代がん医療に関する意識を把握する。がん診療連携拠点病院および小児がん拠点病院の看護師を対象に、実態および意識調査を行い、看護実態および看護上の課題を把握する。その他、医療コミュニケーションに関する面接調査、食生活に関するアンケート調査、高等学校を管轄している都道府県と指定都市教育委員会の特別支援教育の担当部署および国立大学の教務部等を対象とした教育支援の実態調査、そして、就労問題に関するシステマティックレビューを行う。AYA世代のがん患者の妊孕性に関する支援のため、啓発活動、人材育成、資料作成を行い、地域完結型がん・生殖医療連携の全国展開を目指す。また、骨軟部腫瘍患者の身体機能・QOLの評価法の開発も行う。
結果と考察
本年度、患者・サバイバー、医療機関、医療者を対象とした大規模調査について研究計画書および質問紙を作成し、倫理審査承認を得て実施準備を完了した。また、個別調査研究として、医療コミュニケーションに関する面接調査、食生活に関するアンケート調査、教育支援の実態調査、就労問題に関するシステマティックレビューを実施した。さらに、妊孕性温存のための生殖医療連携ネットワークの整備を全国各地で開始した。これらの調査・研究により患者ニーズおよび医療提供や支援の体制の問題点が明確になり、AYA世代がん医療および支援のあり方への提言に繋がることが期待される。
本研究班の第一の課題は、AYA世代がん患者・サバイバーのニーズを把握し、医療体制や支援のあり方を含む総合的な対策を考案し、次期がん対策推進基本計画の策定に向けた政策提言を行うことである。今年度は、わが国のAYA世代の医療及び支援の実態を把握するために大規模調査を計画し、その実施準備を完了した。同時に、医療コミュニケーション、栄養、就労、高等教育、情報ニーズについて個別に調査・研究を実施し、大規模調査と合わせて総合的に分析することで、AYA世代がん医療および支援のあり方への提言に繋がることが期待される。また、医師をはじめ医療関係者に直接アンケートすることで、AYA世代がん患者が抱える問題に対して認識を高める機会となり、普及啓発の一助になると思われる。第2の課題は、AYA世代がん医療・患者支援の改善に資するツール開発や資材作成である。具体的には、ニーズアセスメントツールの開発や、医療コミュニケーション、緩和ケア、妊孕性温存、教育、就労、相談支援、療養環境などAYA世代に特化した実用的な包括医療のガイドラインの作成、そして、患者・家族向け情報冊子やITを活用した情報提供ツールの開発である。これらにより、AYA世代がん患者と医療者の相互理解が進み、診断時からのスムーズな緩和医療・包括医療の実現に繋がることが期待される。第3の課題は、医療連携体制の整備であり、特に、妊孕性温存のための生殖医療の普及を目指して、岐阜モデルを軸に地域完結型の医療連携ネットワークを全国に展開させることで、がん治療医と生殖医療医のスムーズな連携が期待される。
結論
AYA世代のがん医療の実態把握のため、患者・サバイバー調査、医療機関調査、医師調査、看護師調査の大規模調査を計画し、研究計画書、質問紙の作成準備を行った。また、種個別調査研究を実施した。また、妊孕性温存のための生殖医療連携ネットワークの整備を全国各地で開始した。これらの調査・研究により患者ニーズおよび医療提供や支援の体制の問題点が明確になり、AYA世代がん医療および支援のあり方への提言に繋がることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201507025Z