持続可能かつ公平なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現と我が国の国際貢献に関する研究

文献情報

文献番号
201503006A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能かつ公平なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現と我が国の国際貢献に関する研究
課題番号
H27-地球規模-指定-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学大学院医学研究科 国際保健政策学)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学)
  • 明石 秀親(国立開発研究法人国立国際医療研究センター国際医療協力局)
  • 小塩 隆士(一橋大学経済学研究所)
  • 勝間 靖(早稲田大学国際学術院(アジア太平洋研究科))
  • 熊川 寿郎(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
  • 康永 秀生(東京大学 臨床疫学・経済学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:「全ての人が基礎的な保健医療サービスを必要なときに経済的な不安なく受けられる状態」と定義)を、国際保健政策において最も重要なアジェンダとして推進してきた。UHCをはじめとする人間の健康と安全を確保する取り組みは国連総会において採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の中にも盛り込まれており、2016年5月に日本で開催される主要7カ国首脳会議は、グローバルヘルスのアジェンダを前進させる重要な機会となる。
本研究は、この主要7カ国首脳会議およびその後の関係会合に向けてグローバルヘルスにおける課題を検討し、取るべき行動を提言したものである。
研究方法
本研究 では、①UHCの持続性に関する総括マクロビジョン、②UHCの社会経済的インパクトと政策的意義(政治経済分析含む)、③我が国のUHCの3Es(equity, effectiveness and efficiency)、④UHCの実践的手法と教訓、⑤途上国の現場における事例とUHCに関わる人材育成、⑥UHC達成のためのグローバルヘルス・ガバナンス分析、⑦グローバルヘルス・イノベーションを促進する制度構築のあり方をテーマに7班を組織し、研究を進めた。海外における調査・意見交換も積極的に行った。7月:ニューヨーク、ワシントンDCでの調査実施(勝間、松尾)、10月:国連世界統計デー・サイドイベントに参加し関係者機関・専門家と協議(林)、同じく10月:第47回アジア太平洋公衆衛生学術コンソーシアム会議にて発表(熊川)、2016年1月:マヒドン王子賞会議サイドミーティングにて、各班研究成果・G7提言ドラフトを発表、2月:ミュンヘン安全保障国際会議出席(城山、松尾)、3月:2030年持続可能なアジェンダに対する日独の貢献国際会議にて発表(勝間)
結果と考察
本研究班では、各班により研究会を進め、議論や国内外識者との懇談・調査を行い、2015年12月には「新しい開発目標とUHC」国際会議(東京)にて、2016年1月にはマヒドン王子賞会議サイドミーティングにて、提言ドラフトを発表し、国内外有識者からフィードバックを得た。最終的にはG7伊勢志摩サミットへの提言となる総括論文を「ランセット誌」に寄稿した(2016年5月21日号)。各班による論文は国内査読者による査読を経て、研究班としての論文として完成。ガバナンス班においては、東京大学政策ビジョン研究センターにて、政策提言を発表した。
 
結論
 本研究成果を踏まえ、エボラ危機後のグローバルヘルス・ガバナンスのあり方を緊急対応から保健システムやコミュニティの強靭性を高める活動まで、切れ目なく支援するメカニズムのあり方を検討し、それら提言がG7伊勢志摩サミットの保健課題として議論された。
 日本のUHCを検討する班については、統計データを用いて、日本から提供できる知見のエビデンスを固め、関係各位への日本の強み、他国への適用可能性を明示的に示した。これら研究成果もまた、G7サミットとして初めてUHCの推進を主要テーマとして議論される。さらに、UHCを推進する政策人材について研究している班については、日本の制度分析結果も踏まえ、国内外の政策人材育成戦略・計画に活用される予定である。

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-23
更新日
2016-08-19

行政効果報告

文献番号
201503006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究 では、①UHCの持続性に関する総括マクロビジョン、②UHCの社会経済的インパクトと政策的意義(政治経済分析含む)、③我が国のUHCの3Es(equity, effectiveness and efficiency)、④UHCの実践的手法と教訓、⑤途上国の現場における事例とUHCに関わる人材育成、⑥UHC達成のためのグローバルヘルス・ガバナンス分析、⑦グローバルヘルス・イノベーションを促進する制度構築のあり方をテーマに研究を進めた。
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
本研究の成果は2016年に開催された2016年G7伊勢志摩サミットおよびG7神戸保健大臣会合において主要議題として位置づけられたGlobal Health SecurityならびにUniversal Health Coverageに関する議論における背景資料として活用された。
その他のインパクト
2015年10月:国連世界統計デー・サイドイベントに参加し関係者機関・専門家と協議、同じく10月:第47回アジア太平洋公衆衛生学術コンソーシアム会議にて発表、2月:ミュンヘン安全保障国際会議出席、3月:2030年持続可能なアジェンダに対する日独の貢献国際会議にて発表を行った。「新しい開発目標とUHC」国際会議にて、2016年1月にはマヒドン王子賞会議サイドミーティングにて、提言ドラフトを発表し、国内外有識者からフィードバックを得た。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
Protecting Human Security:Proposals for the G7 Ise-Shima Summit in Japan
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
「新しい開発目標とUHC」国際会議
学会発表(国際学会等)
3件
第47回アジア太平洋公衆衛生学術コンソーシアム会議/マヒドン王子賞会議サイドミーティング/2030年持続可能なアジェンダに対する日独の貢献国際会議
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
G7伊勢志摩サミットの保健課題
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Shibuya,K, Nomura, S, Okayasu, H et al.
Protecting Human Security:Proposals for the G7 Ise-Shima Summit in Japan
The Lancet , 387 (10033) , 2155-2162  (2016)

公開日・更新日

公開日
2018-07-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201503006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
11,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 185,310円
人件費・謝金 455,050円
旅費 3,574,114円
その他 4,247,526円
間接経費 2,538,000円
合計 11,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-