社会保障制度の制度改正の政策効果及び人口減少と世帯の多様性に対応した社会保障制度・地域のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201501018A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障制度の制度改正の政策効果及び人口減少と世帯の多様性に対応した社会保障制度・地域のあり方に関する研究
課題番号
H27-政策-一般-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
菅原 琢磨(法政大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小椋 正立(法政大学 経済学部)
  • 酒井 正(法政大学 経済学部)
  • 稲垣 誠一(国際医療福祉大学 総合教育センター)
  • 濱秋 純哉(法政大学 経済学部)
  • 小黒 一正(法政大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,900,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 稲垣誠一 東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科( 平成25年4月1日~28年3月31日)→ 国際医療福祉大学総合教育センター:(平成28年4月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
「社会保障制度の制度改正の政策効果及び人口減少と世帯の多様性に対応した社会保障制度・地域のあり方」をテーマに、地方の変化や世帯の多様化に対応した年金・医療・介護のほか、子育て支援及び就労の両立支援に係る制度改正が経済主体に及ぼす影響に関する定量的な分析等を行い、地域包括ケアシステム提供体制のあり方を含め、今後の厚生労働政策に対する総合的な政策提言を行うことを目的とする。
研究方法
 1)個別課題に関する実証分析
 マイクロシミュレーションモデル、時系列データ及び大規模な個票データに基づく実証分析等の手法を用いて、主として以下の3つの研究を柱として推進する。
・年金・医療・介護の制度改正及び地域包括ケアシステムに関する研究
・社会保障財源・子育て支援の制度改正と雇用・賃金に関する研究
・後発医薬品利用促進策と後発品利用状況の地域格差の研究

 2)活発な意見交換、情報発信と包括的かつ総合的な政策提言
 本研究班メンバー以外の有識者や政策担当者とも定期的に意見交換等を行い上記の実証分析で得られた結果の解釈、含意を踏まえて、総合的な課題解決手法の提案と政策提言をおこなうものとする。
結果と考察
全体として各研究分野において事業初年度はデータ入力、データセットの作成、先行研究のレビュー並びに予備的推定作業に多くの時間を割いた。
年金制度に関する研究では、マイクロシミュレーションモデルを活用し、マクロ経済スライドの本格的な実施や支給開始年齢の引上げ、非正規雇用者の厚生年金適用の拡大等の制度改革が行われた場合、それが将来の高齢者の所得状況、貧困率に及ぼす影響等を検証した。
医療・介護分野では、在宅医療や地域包括ケアシステムの推進が及ぼす影響等につき、地理情報システム(GIS)を用いた医療・介護施設の最適配置の検討などの定量的分析を実施した。
また要介護認定の改正が認定率に与えた影響や要介護認定取得の有無が家族介護者の健康状態に与えた影響について検討するとともに、要介護認定の地域格差とそれに伴う家計負担に関する検証を実施するため、今年度は、家族介護の負担感を規定する諸要因の分析と、要介護者の「うつ」に関わる要因の基礎的な分析を行った。
また子育て期の女性の教育水準と賃金・雇用形態との関係についての研究の予備的推定では男女雇用機会均等法によって大卒女子の婚姻率の低下が確認された。
さらに公表データに基づき、都道府県レベルで後発医薬品利用率の地域格差の検証をおこない後発品利用率に有意な影響を及ぼす社会経済的要因を探った。
結論
・非正規雇用者の厚生年金適用の拡大を行った時の高齢者の貧困率に及ぼす影響の推計を行った。その結果、220万人拡大ケースではほとんど効果はなく、1200万人拡大ケースでも、超長期的にはかなりの効果があるものの、中長期的な効果はほとんどないことが明らかとなった。
・特定地域の介護施設情報の空間配置についてのデータ入力を行いつつ、段階的に分析を実施した。65歳以上人口密度と一人当たり老人福祉費の関係性等に対する簡易分析を実施、公表した。
・要介護認定取得の有無が家族介護者の健康状態に与えた影響について検討するとともに、要介護認定の地域格差とそれに伴う家計負担に関する検証を実施する予定であり、事業初年度は、家族介護の負担感を規定する諸要因の分析と、要介護者の「うつ」に関わる要因の基礎的な分析を行った。
・子育て支援策が女性の就業に及ぼす影響について、近年の実証研究を中心にサーベイを行った。女性が子育てと仕事を両立させたとしてもその仕事が低賃金であれば、男女間の賃金格差は縮まらない。このことの影響がどの程度であるか検証を進行中である。
・社会保険料の事業主負担が賃金にどれほど転嫁されているかを,健康保険組合連合会『健康保険組合事業年報』の組合別パネルデータを用いて分析するための準備を実施した。具体的には,説明変数の一つに事業主保険料率を含む賃金関数を推定することになるが,保険料率の内生性に対処するために,保険料率が外生的に変化するような「自然実験」と見なせる状況を探索した。
・厚生労働省や総務省、自治体等の公表データをデータセット化し、都道府県レベルの後発医薬品利用率の差を説明するクロスセクション分析をおこなった。高齢化率や県民所得、都道府県の財政状況等、各地域特性を説明変数として導入し、概ね先験的に予想した仮説が妥当することを確認した。

公開日・更新日

公開日
2016-11-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-11-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201501018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,185,000円
(2)補助金確定額
2,185,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,713,697円
人件費・謝金 33,411円
旅費 0円
その他 153,140円
間接経費 285,000円
合計 2,185,248円

備考

備考
補助金確定額と支出合計額の差額248円は預金利息である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-15
更新日
-