文献情報
文献番号
201501011A
報告書区分
総括
研究課題名
こども虐待ボーダーライン事例に対する保健師の支援実践-ネグレクト事例に対する支援スキルの開発-
課題番号
H26-政策-一般-007
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
小笹 美子(国立大学法人島根大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 長弘 千恵(国際医療福祉大学 福岡看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,953,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
行政機関の保健師が行っているこども虐待ボーダーライン事例に対する支援の現状を公衆衛生看護学の視点から明らかにし、母親に対する支援の過程を「見える化」することに取り組む。特に保健師が支援する機会が多いネグレクト事例の支援実践事例を収集し支援過程について明らかにする。
平成27年度は、前年度の調査結果を踏まえて、ネグレクト事例の母親に対する支援内容と支援提供時の支援技術を明らかにした。
平成27年度は、前年度の調査結果を踏まえて、ネグレクト事例の母親に対する支援内容と支援提供時の支援技術を明らかにした。
研究方法
平成27年度のネグレクト事例の支援経験のある保健師等への半構成的面接調査は、沖縄県、福岡県、佐賀県の3県に保健師活動を活発に行っている島根県、北海道を加えた5県とし、倫理委員会の承認後に調査を開始した。
調査は研究代表者(小笹)、分担研究者(長弘)、研究協力者(外間)が保健師経験5年以上でこども虐待支援経験5事例以上の保健師31名に半構成面接調査を実施した。調査の内容は、事例の概要(関わった期間、家族構成、支援契機、生活状況、育児状況、等)、支援の経過、行った支援、事例提供者の基本属性等であった。分析方法は逐語録を作成し質的帰納的分析を実施した。
調査は研究代表者(小笹)、分担研究者(長弘)、研究協力者(外間)が保健師経験5年以上でこども虐待支援経験5事例以上の保健師31名に半構成面接調査を実施した。調査の内容は、事例の概要(関わった期間、家族構成、支援契機、生活状況、育児状況、等)、支援の経過、行った支援、事例提供者の基本属性等であった。分析方法は逐語録を作成し質的帰納的分析を実施した。
結果と考察
保健師等の支援プロセス、特に、転出入、一人親世帯、精神疾患や知的障害を持つ母親による育児と生活の特徴が明らかになった。保健師は母子手帳交付時、乳幼児健診時に気にかかる母子として把握するとともに福祉事務所、医療機関等からの依頼によって支援を開始していた。福祉事務所からの依頼は生活保護受給中世帯の母親が妊娠したことによるものが多かった。妊娠中に医療機関から支援を依頼される事例は若年妊娠、未入籍妊婦、など特定妊婦であった。飛び込み出産、知的レベルが低い母親は出産後に支援を依頼されていた。これらの調査から、こども虐待ボーダーライン事例への支援は「生活」「家族」「医学的判断」「地域」の公衆衛生看護の視点が必要であることが明らかになった。また、保健師は生活状況が改善しない事例の支援終了の判断に困難を感じていた。
結論
平成27年度の調査から、保健師が支援をしているこども虐待ボーダーライン事例には親の側、特に母親の健康、生活にかかわる問題を持つ事例が多く、保健師は保育園や学校などの関係機関と協力し母親の子育てを補う支援を行っていた。支援経験が豊かな保健師は支援のタイミング、関係機関の巻き込みなど母親の育児・生活能力を高める支援を実践していた。
これらの結果から保健師等の支援がこども虐待の予防及び重症化予防に有効であると考えられる。子供の成長にそって長期間地域で支援を継続するためには保健師の個人的な努力だけでは不十分であることも明らかになった。
平成28年度は、助産師の支援に対する半構成的面接調査を研究代表者(小笹)が5名程度実施し、保健師の支援方法との比較分析を行う。
これらの結果から保健師等の支援がこども虐待の予防及び重症化予防に有効であると考えられる。子供の成長にそって長期間地域で支援を継続するためには保健師の個人的な努力だけでは不十分であることも明らかになった。
平成28年度は、助産師の支援に対する半構成的面接調査を研究代表者(小笹)が5名程度実施し、保健師の支援方法との比較分析を行う。
公開日・更新日
公開日
2016-11-11
更新日
-