文献情報
文献番号
201451012A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療実用化加速のための幹細胞等由来製品評価に最低限必須・共通の技術要件・基準に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
- 青井 貴之(神戸大学大学院 医学研究科 iPS細胞応用医学分野)
- 梅澤 明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター 生殖・細胞医療研究部)
- 小澤 敬也(東京大学医科学研究所 附属病院先端医療研究センター)
- 佐藤 陽治(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
- 澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座)
- 松山 晃文(独立行政法人・健康・栄養研究所 難病・疾患資源研究部)
- 大和 雅之(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
再生医療実用化推進と安全性確保には研究開発の推進と規制環境の整備が車の両輪である。これまで、旧薬事法及び医療法下のヒト細胞加工製品の品質・安全性確保に関しては、それぞれ関連指針が通知されてきた。これらの指針は、多種多様な製品で想定しうるあらゆる可能性を網羅できるよう作成されたものである。ところで、個別製品の研究開発や承認審査にあたっては、その品質及び安全性を的確にかつ合理的に確保するために、各製品の種類や特性、臨床適用法などをふまえた製品のリスクに基づく適切な試験の実施やデータの評価がなされるべきであり、過剰な試験やデータが求められるべきではない。しかし、現行の指針等で示されている網羅的事項の中から、個別製品の品質及び安全性を確保するために必要かつ十分な項目の選択及びデータの評価を開発者自身で判断することは容易ではなく、開発の隘路となっている。そこで本研究では、あらゆる製品に最低限必須・共通の要件や基準・評価技術( ミニマム・ コンセンサス・ パッケージ: MCP)を提言し、現行指針と合わせて活用することにより、より合理的、効率的、効果的な製品開発を促進し、再生医療実用化の推進に寄与することを目的とする。
研究方法
あらゆる製品に最低限必須・共通の要件や基準・評価技術(MCP)を提言し、これに各製品の特性や臨床適用法をふまえたケース別の上乗せをする方策により、各再生医療等製品の品質及び安全性を的確かつ合理的に確保し、再生医療実用化加速を図る。方策は、各種製品の開発状況、知見の蓄積、科学・技術の進歩、国際動向等を勘案しながら策定する。プロジェクトを総合的に推進すべく、研究代表者が業務分担者を統括しながら実施する。得られた成果は、適宜公表し、PMDA、関連学会、関連企業団体などからのコメントを受けて、検討を重ねる。こうした検討は年度を越えて継続的に行い、最終年度に結果を統合し、行政的な措置を講ずることが出来るよう資料として指針案等を作成する。
結果と考察
① あらゆる製品の試験や評価の際に適用すべき共通の一般的留意事項について検討した。その結果、a) 共通基本要件・基準の適用に関する留意事項、b) 臨床適用開始時の評価ポイント、c) 臨床適用すべきか否かの判断、d) 資料の範囲及び程度、e) 試験事項、試験方法、基準その他の技術要件などに関する一般原則について試案を策定した。
② 平成26年11月に施行された医薬品医療機器等法下(改正薬事法)及び再生医療安全性確保法下における細胞・組織を取り扱う上での最低限必須・共通の技術的・倫理的留意事項や技術要件(GTP(Good Cell/Tissue Practice)のMCP)について検討した。その結果、a) 目的・基本原則、b) 用語の定義、c) 研究の体制、 研究機関の基準、d) ヒト細胞等の採取、e)ヒト幹細胞等の調製段階における安全対策等、f) ヒト細胞等の移植又は投与、g) 見直し規定などについて試案を策定した。
③ 製品の製造方法及び品質試験・評価・管理におけるMCPについて検討した。その結果、a) 各段階の細胞(原材料、中間製品、最終製品)の特性解析、特性指標の把握、適格性(自己と同種の違いなど)、b) その他の原材料、製造関連物質の適格性と品質管理(特に生物由来物質、複合製品の非細胞・組織成分等)、c) 微生物、とくにウイルス安全性、d) 製造工程の妥当性、一定性、e) 最終製品(目的細胞)の純度/均質性/力価等の恒常的確保、f) 安定性(貯法・有効期限設定、凍結/解凍、運搬する場合等)、g) 製品レベルと製法レベルでの適切な組合せによる品質管理などについて試案を策定した。
④ 非臨床安全性試験におけるMCPについて:製品の種類、投与法、対象疾患などにより評価すべき内容が異なり、ケース・バイ・ケースの原則で臨むのが最も合理的なアプローチとされたが、こうした状況の中でも、関係者が概念としても技術要件としても認識を共有して、可能な限り不合理、不都合に陥らず、合理的、効率的に開発を進める方策について検討し、見解をまとめた。
⑤ 非臨床有効性(POC)試験におけるMCPについて:製品の種類、投与法、対象疾患などによりケース・バイ・ケースのアプローチになることはむしろ必然とさえいえるが、このような中で、あえて共通基本要件・基準を挙げられるか否か検討し、見解をまとめた。
② 平成26年11月に施行された医薬品医療機器等法下(改正薬事法)及び再生医療安全性確保法下における細胞・組織を取り扱う上での最低限必須・共通の技術的・倫理的留意事項や技術要件(GTP(Good Cell/Tissue Practice)のMCP)について検討した。その結果、a) 目的・基本原則、b) 用語の定義、c) 研究の体制、 研究機関の基準、d) ヒト細胞等の採取、e)ヒト幹細胞等の調製段階における安全対策等、f) ヒト細胞等の移植又は投与、g) 見直し規定などについて試案を策定した。
③ 製品の製造方法及び品質試験・評価・管理におけるMCPについて検討した。その結果、a) 各段階の細胞(原材料、中間製品、最終製品)の特性解析、特性指標の把握、適格性(自己と同種の違いなど)、b) その他の原材料、製造関連物質の適格性と品質管理(特に生物由来物質、複合製品の非細胞・組織成分等)、c) 微生物、とくにウイルス安全性、d) 製造工程の妥当性、一定性、e) 最終製品(目的細胞)の純度/均質性/力価等の恒常的確保、f) 安定性(貯法・有効期限設定、凍結/解凍、運搬する場合等)、g) 製品レベルと製法レベルでの適切な組合せによる品質管理などについて試案を策定した。
④ 非臨床安全性試験におけるMCPについて:製品の種類、投与法、対象疾患などにより評価すべき内容が異なり、ケース・バイ・ケースの原則で臨むのが最も合理的なアプローチとされたが、こうした状況の中でも、関係者が概念としても技術要件としても認識を共有して、可能な限り不合理、不都合に陥らず、合理的、効率的に開発を進める方策について検討し、見解をまとめた。
⑤ 非臨床有効性(POC)試験におけるMCPについて:製品の種類、投与法、対象疾患などによりケース・バイ・ケースのアプローチになることはむしろ必然とさえいえるが、このような中で、あえて共通基本要件・基準を挙げられるか否か検討し、見解をまとめた。
結論
本研究で策定したMCPは再生医療安全性確保法および改正薬事法下双方の細胞加工製品に共通して適用できるよう考慮しており、今後の再生医療実用化の水先案内、牽引力、推進力となるものである。
公開日・更新日
公開日
2018-06-21
更新日
-