医薬品品質システムにおける医薬品・製造・品質管理手法の系統化及び国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
201451010A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品品質システムにおける医薬品・製造・品質管理手法の系統化及び国際調和に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 小出 達夫(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品製造をめぐる環境は一定ではなく、常に変化している。規制面では、品質管理指針の国際化や医薬品製造におけるGMP のグローバル化などがある。ICH Qカルテット(Q8,9,10,11)の概念と具体的な医薬品製造管理・品質管理との有機的なリンクを達成するために、製剤開発段階から製造管理・品質管理までを包括する医薬品品質特性の解析・評価技術の導入が望まれる。本研究班では、医薬品の製剤開発段階から製造管理・品質管理段階までを包括する、医薬品製造・品質管理手法の系統化及び国際調和について研究を行うと共に、高度分析技術を横断的に適用することによって、分光学的な観点から分子レベルでの製剤の品質特性を解析し、品質システムの構築及びその運用において科学的根拠を与えるためのアプローチを提案することを目的としている。
研究方法
 「医薬品品質システムの国内実践に関する研究」では、ICH Q10ガイドラインの実践のため、特にGMP査察の国際整合性確保および公定法の国際整合性確保に焦点を当て、PIC/S加盟後の状況変化について調査を行った。また、海外におけるシンポジウム等への参加を通じて医薬品品質システムの運用状況に関する情報収集を行った。公定法の国際整合性確保では、第17改正日本薬局方の通則、参考情報等の文案作成を行った。
 「高度品質分析・評価技術に関する研究」では、ICH Q8に関わる最先端の分析技術の応用化研究として、遠赤外/テラヘルツ領域の電磁波を用いて医薬品製造工程中の有効成分の擬似結晶転移現象、結合剤の有無による水和医薬品の錠剤中の非晶質化主成分及び水の分布の経時変化等について調べた。
「品質システムの実践・導入に関する研究」では同じくICH Q8に関わる研究テーマとして、製造プロセスの稼働性能及び製品品質の変動原因を特定するための新たな評価技術として、近赤外ケミカルイメージングシステムを取り上げ、機器の測定条件およびデータ解析手法の最適化について検討を行い、その品質システムへの導入を検討した。
結果と考察
H26年度は、「医薬品品質システムの国内実践に関する研究」としてGMP国際化の状況を調査し、PIC/S加盟後の状況変化について各分野からの意見を聴取した。この成果に基づき、2015年2月には各界からの演者を招きGMP国際化に関するシンポジウム(第17回医薬品品質フォーラム)を開催した。また第17改正日本薬局方に、GMPに関連した品質保証の諸概念の取り込みが予定されているが、通則、参考情報等の文案(品質リスクマネジメント、包装・容器)作成に協力した。
「高度品質分析・評価技術に関する研究」では、遠赤外、テラヘルツ領域の電磁波を用い、レーザ分光技術を用いた医薬品の品質特性の可視化及び高速In-line定量分析技術の開発、振動分光技術を用いた擬似結晶形転移及び脱水のメカニズム解明、また、近赤外領域の分子振動解析データによる市場流通医薬品の工程情報を得ることができた。今後、このようなアプローチを活用することで、製剤開発における品質特性や工程管理項目の設定、問題発生時の原因究明が容易になるものと期待できる。
「品質システムの実践・導入に関する研究」では、製造プロセスの稼働性能及び製品品質の変動原因を特定するための新たな評価技術として、近赤外ケミカルイメージングシステムを取り上げ、その品質システムへの導入およびその課題を検討した。異なる粒子径の化合物を原料に用いてモデル製剤の近赤外ケミカルイメージング測定を行い、主成分分析による含有成分の分布特性を解析した。その結果、近赤外イメージングシステムにおいて、主成分分析による製剤の品質評価を行う際には、含有成分の物性及び含量も考慮に入れて解析する必要があるとの結果が得られた。
結論
 医薬品品質システムの国内実践に関する研究としてPIC/S加盟後の状況変化について、医薬品製造企業、受託企業、規制当局からの意見を元に、2015年2月にGMP国際化に関するシンポジウムを企画した。また、GMPに関連した品質保証の諸概念について、第17改正日本薬局方の通則、参考情報等の文案(品質リスクマネジメント、包装・容器)作成に協力した。
 高度品質分析・評価技術に関する研究では、テラヘルツ、近赤外及び中赤外領域において得られる多角的分光情報を活用することにより、結合剤などの添加剤が主薬成分の擬似結晶形転移や脱水過程などにどのような影響を与えるかどうか評価することができた。
 品質システムの実践・導入に関する研究では近赤外ケミカルイメージングシステムによりモデル製剤の測定を行い、製剤のイメージングシステムを医薬品品質管理に導入するための適切な手法の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201451010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医薬品製造をめぐる環境は一定ではなく、常に変化している。規制面では、品質管理指針の国際化や医薬品製造におけるGMP のグローバル化、ICH Qカルテット(Q8,9,10,11)ガイドラインの概念の導入が望まれる。本研究班では、GMPおよび公定法の国際整合性確保に焦点を当て調査を行うと共に、ICH Q8に関わる最先端の分析技術の応用化研究として、遠赤外/テラヘルツおよび近赤外ケミカルイメージングシステムを品質確保のための新たな評価技術として検討した。
臨床的観点からの成果
本研究は直接的な臨床研究には該当しない。
ガイドライン等の開発
昨年度までの成果として「GMP調査要領の制定について」、薬食監麻発0216第7号、平成24年、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて」(GMP施行通知 改訂)、薬食監麻発0830第1号、平成25年、「GMP事例集(2013年版)について」、事務連絡,平成25年の発出に貢献してきたが、今年度はGMPに関連した品質保証の諸概念について、第17改正日本薬局方の通則、参考情報等の文案(品質リスクマネジメント、包装・容器)作成に協力した。
その他行政的観点からの成果
日本薬局方の製法問題小委員会ではICH Q9、すなわちQRMについて日本薬局方への取り込みを決め、当研究班ではこれらの文案の作成を行うと共に、取り込み後の医薬品申請へ与える影響について考察し、成果を発表した。
また、製剤・包装についても、品質保証の観点から日本薬局方の改訂が検討された。検討の結果の成果物として製剤包装通則案を作成し、第17改正日本薬局方に「製剤包装通則」として導入することとした。また、製剤包装通則と同時に「医薬品包装における基本的要件と用語」と題した参考情報を収載予定である。
その他のインパクト
GMPの国際機関PIC/S加盟後の我が国の状況変化について各分野からの意見を聴取し、これらの意見に基づき、2015年2月には各界からの演者を招きGMP国際化に関するシンポジウム、第17回 医薬品品質フォーラム討論会「日本のPIC/S加盟によるインパクト - 企業および規制当局に求められる変化」、平成27年2月9日を企画し開催した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201451010Z