文献情報
文献番号
201450001A
報告書区分
総括
研究課題名
海外諸国の各医療制度の中での「統合医療」の使用実態・健康被害・エビデンスの調査および日本の医療機関での使用実態調査
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
津谷 喜一郎(東京大学 大学院薬学系研究科・医薬政策学)
研究分担者(所属機関)
- 新井 一郎(東邦大学 薬学部 )
- 袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 鶴岡 浩樹(日本社会事業大学 大学院福祉マメント研究科)
- 東郷 俊宏(東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科)
- 元雄 良治(金沢医科大学 医学部腫瘍内科学)
- 山崎 喜比古(日本福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
内外の医療制度の違いを踏まえた上での日本の医療制度への「統合医療」 (integrative medicine: IM) の組み入れ方に関する政策提言のインフラを作ることをゴールとし、海外の統合医療の使用実態・健康被害・エビデンスの使用状況について、また日本の医療機関における使用実態調査、それぞれのレビューを行い、将来の1次研究としての国民の使用状況調査と医療機関での使用状況調査の基礎資料を得ることを目的とした。
研究方法
[1] 海外の「統合医療」の実態調査と医療制度に関するレビュー:文献情報の収集・整理、統合医療研究の世界的学会への参加と関係者へのインタビューによるフォーカスとなる地域・国の絞り込み、統合医療研究の世界的権威者招聘による欧州の状況把握。
[2]「統合医療」の健康被害収集方法とその内容の調査: Product系では、多様な生薬や漢方薬などのハーブ系(herbal medicine)に関連した有害事象の海外のデータベースについて主たるものの概要把握。Practice系では、中国で生まれ長い歴史を持ち、世界的に使われる医療技術としての鍼灸について、日本における有害事象文献と、有害事象そのもののデータベースを同定し、その内容の多角的な分析。
[3] 国内医療機関に対する「統合医療」実態調査: Product系では、少人数の研究者からなる2回の講演会を開催する。講師として1回目はアーユルベーダを主とした診療を行っている医師。2回目はゲノム診断と食事指導による診療を行なっている医師。Pracice系では、鍼灸の日本の医療関における使用実態調査で論文化されたもののレビューと質評価。
[2]「統合医療」の健康被害収集方法とその内容の調査: Product系では、多様な生薬や漢方薬などのハーブ系(herbal medicine)に関連した有害事象の海外のデータベースについて主たるものの概要把握。Practice系では、中国で生まれ長い歴史を持ち、世界的に使われる医療技術としての鍼灸について、日本における有害事象文献と、有害事象そのもののデータベースを同定し、その内容の多角的な分析。
[3] 国内医療機関に対する「統合医療」実態調査: Product系では、少人数の研究者からなる2回の講演会を開催する。講師として1回目はアーユルベーダを主とした診療を行っている医師。2回目はゲノム診断と食事指導による診療を行なっている医師。Pracice系では、鍼灸の日本の医療関における使用実態調査で論文化されたもののレビューと質評価。
結果と考察
[1] 海外の「統合医療」の実態調査と医療制度に関するレビュー:日本と医療体制が似たEUにフォーカスを絞り、そこで実施されたCAMbrella project (2010-2012)についての文献収集分析と、英国のGeorge Lewithを日本に招き研究班のメンバーとの討議(2014.10.3)と公開講演会(2014.10.4)を開催した。これにより、EUでの1)相補代替医療(complementary and alternative medicine: CAM)の用語と定義、2) 各国の法規制、3) 市民のニーズと態度、4) 使用実態調査のレビュー、5) CAMの提供などについての詳細情報を得、また翻訳・整理すべき文献を明らかとした。
[2]「統合医療」の健康被害収集方法とその内容の調査: Product系としては、ハーブ系(herbal medicine)を主とし、米国FDAのMedWatch、EMAのEPAs、カナダHealth CanadaのAdvisories, Warning, Recalls、豪州TGAのAustralian Adverse Drug Reaction Bulletin、のデータベース存在が明らかとなり、それらを概説した。Ppractice系はまず日本における鍼灸を主とすることとし、医中誌Webからは2009-2013にかけて鍼灸関連の有害事象の全30件の文献があり、折鍼・伏鍼・埋没鍼、臓器損傷、感染症、などの公表情報が得られた。一方「事故情報データバンクシステム」(2009.9-)では鍼灸に関連した事故が2013年までで198件得られた。そのうち鍼灸師の関与または関与が示唆されるものが160件(80.8%)、被害者が購入した治療器に関する有害事故は34件(17.2%)であった。
[3] 国内医療機関に対する「統合医療」実態調査: Product系は、統合医療を実践する医師による少人数の講演会と質疑応答から、医療機関でのアーユルベーダの使用や、遺伝子診断に基づき食事指導をする「遺伝子ダイエット」、さらに医師がサプリメントの使用を勧める「メディカルサプリ」などの現状が一定程度明らかとなった。Practice系は、医療機関内の鍼灸使用の現状調査研究の6つのスタディを同定し、その Extraction table を作成し将来の質評価の基礎とした。
[2]「統合医療」の健康被害収集方法とその内容の調査: Product系としては、ハーブ系(herbal medicine)を主とし、米国FDAのMedWatch、EMAのEPAs、カナダHealth CanadaのAdvisories, Warning, Recalls、豪州TGAのAustralian Adverse Drug Reaction Bulletin、のデータベース存在が明らかとなり、それらを概説した。Ppractice系はまず日本における鍼灸を主とすることとし、医中誌Webからは2009-2013にかけて鍼灸関連の有害事象の全30件の文献があり、折鍼・伏鍼・埋没鍼、臓器損傷、感染症、などの公表情報が得られた。一方「事故情報データバンクシステム」(2009.9-)では鍼灸に関連した事故が2013年までで198件得られた。そのうち鍼灸師の関与または関与が示唆されるものが160件(80.8%)、被害者が購入した治療器に関する有害事故は34件(17.2%)であった。
[3] 国内医療機関に対する「統合医療」実態調査: Product系は、統合医療を実践する医師による少人数の講演会と質疑応答から、医療機関でのアーユルベーダの使用や、遺伝子診断に基づき食事指導をする「遺伝子ダイエット」、さらに医師がサプリメントの使用を勧める「メディカルサプリ」などの現状が一定程度明らかとなった。Practice系は、医療機関内の鍼灸使用の現状調査研究の6つのスタディを同定し、その Extraction table を作成し将来の質評価の基礎とした。
結論
今後の統合医療の1次研究としての利用実態調査と医療機関の提供実態調査の実施に向けた各種基礎的資料が一定程度揃った。
公開日・更新日
公開日
2019-06-11
更新日
-