文献情報
文献番号
201449005A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性ウイルス性肝炎の病態把握(重症度・治療介入時期・治療効果判定・予後予測)のための非侵襲的病態診断アルゴリズムの確立
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 正俊(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 矢田 典久(近畿大学 医学部 )
- 椎名 毅(京都大学大学院医学研究科)
- 大崎 往夫(大阪赤十字病院)
- 野尻 俊輔(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- 孝田 雅彦(鳥取大学 医学部)
- 佐藤 秀一(島根大学医学部附属病院)
- 三好 久昭(香川大学 医学部)
- 坂元 亨宇(慶應義塾大学 医学部)
- 鹿毛 政義(久留米大学病院)
- 中島 収(久留米大学病院)
- 吉村 健一(金沢大学附属病院先端医療開発センター)
- 村上 卓道(近畿大学 医学部)
- 今中 和穗(大阪府立成人病センター)
- 國土 典宏(東京大学医学部大学院医学系研究科)
- 河田 則文(大阪市立大学大学院医学研究科)
- 竹山 宜典(近畿大学 医学部)
- 日高 央(北里大学東病院)
- 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院)
- 熊田 卓(大垣市民病院)
- 玉井 秀幸(和歌山県立医科大学附属病院)
- 相方 浩(広島大学病院)
- 小川 力(高松赤十字病院 )
- 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科)
- 高口 浩一(香川県立中央病院)
- 大段 秀樹(広島大学)
- 飯島 尋子(兵庫医科大学)
- 藤元 治朗(兵庫医科大学)
- 小林 省吾(大阪府立成人病センター)
- 高山 忠利(日本大学 医学部)
- 金子 弘真(東邦大学医療センター大森病院)
- 久保 正二(大阪市立大学大学院医学研究科 )
- 具 英成(神戸大学 医学部)
- 田浦 康二朗(京都大学大学院医学研究科)
- 吉田 寛(日本医科大学多摩永山病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 肝炎等克服実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
茶山一彰(平成26年4月1日~平成26年8月8日)→相方浩(平成26年8月9日以降)
上本伸二(平成26年4月1日~平成26年12月24日)→田浦康二朗(平成26年12月25日以降)
所属機関異動
吉村健一
神戸大学医学部附属病院臨床研究推進センター(平成26年4月1日~平成26年7月31日)→金沢大学附属病院 先端医療開発センター(平成26年8月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性ウイルス性肝疾患においては肝線維化が強くなるほど発癌・胃食道静脈瘤などの門脈圧亢進症状・肝不全のリスクなどが上昇する。肝線維化の評価は、肝生検で行うことが多いがサンプリング・ポイントの違いによるvariabilityは約30%存在するとされている(Bedossa P. Hepatology 2003)。しかし、肝病態の重症度(線維化の程度)の判定、治療介入時期の決定、抗ウイルス療法後の病態改善の評価および肝発癌予測や肝臓関連死の予測などに利用されている。従って肝生検に代わる非侵襲的肝病態診断法を確立することが望まれている。これまでは超音波エラストグラフィを用いた肝硬度の診断法のほとんど全ての報告が実際にはGold standardとして肝生検病理組織を用いているため、必ずしも正確な肝病態診断法とは言えず実際の切除標本との比較では乖離が生じていた。
そこで我々は真のGold standardである切除標本とReal-time Tissue Elastography (RTE)、FibroScan、Virtual Touch Quantification (VTQ)、ShearWave Elastography (SWE)、MR Elastography (MRE)などの各種エラストグラフィの検査結果を対比することにより、肝生検診断よりもより正確に、肝線維化や肝炎の病態を反映する手法を開発することを目的として研究を行う(目標症例300例)。さらにはデータマイニング解析を行いてdecision treeを作成し、装置を保有する施設であれば、そのまま適用できるいわゆる「エラストグラフィを用いた非侵襲的肝病態診断指標」の確立を最終目標とする。
そこで我々は真のGold standardである切除標本とReal-time Tissue Elastography (RTE)、FibroScan、Virtual Touch Quantification (VTQ)、ShearWave Elastography (SWE)、MR Elastography (MRE)などの各種エラストグラフィの検査結果を対比することにより、肝生検診断よりもより正確に、肝線維化や肝炎の病態を反映する手法を開発することを目的として研究を行う(目標症例300例)。さらにはデータマイニング解析を行いてdecision treeを作成し、装置を保有する施設であれば、そのまま適用できるいわゆる「エラストグラフィを用いた非侵襲的肝病態診断指標」の確立を最終目標とする。
研究方法
(1)「エラストグラフィを用いた非侵襲的肝病態診断指標」の確立
多施設共同横断研究として下記を行う
①切除予定症例に対するエラストグラフィ検査の施行
②エラストグラフィを行った症例の肝切除検体の提供
③切除標本・病理所見の線維化ステージ・線維化率のバーチャルスライドを用いた質的検討
④統計学的解析
⑤過去にエラストグラフィを肝切除前に施行されている症例についても、本人の承諾下で同様の解析を行えるよう倫理委員会の承認を得た。
(2)「非侵襲的肝癌リスク評価アルゴリズム」「非侵襲的門脈圧亢進症発言リスク評価アルゴリズム」の確立
多施設共同前向き研究として、対象症例に対するエラストグラフィの施行およびフォローを行い、リスク評価アルゴリズムを算出する。
(3) リアルタイムエラストグラフィによる線維化診断ソフトに関わる技術開発
多施設共同横断研究として下記を行う
①切除予定症例に対するエラストグラフィ検査の施行
②エラストグラフィを行った症例の肝切除検体の提供
③切除標本・病理所見の線維化ステージ・線維化率のバーチャルスライドを用いた質的検討
④統計学的解析
⑤過去にエラストグラフィを肝切除前に施行されている症例についても、本人の承諾下で同様の解析を行えるよう倫理委員会の承認を得た。
(2)「非侵襲的肝癌リスク評価アルゴリズム」「非侵襲的門脈圧亢進症発言リスク評価アルゴリズム」の確立
多施設共同前向き研究として、対象症例に対するエラストグラフィの施行およびフォローを行い、リスク評価アルゴリズムを算出する。
(3) リアルタイムエラストグラフィによる線維化診断ソフトに関わる技術開発
結果と考察
(1) Preliminaryな結果ではあるが、肝切除標本を下記(2)に示すような方法でEVG染色下に膠原線維と弾性線維の割合を算出し、各種エラストグラフィの測定結果と比較したところ、一部のエラストグラフィあるいは、RTEの一部の特徴量(画像解析パラメータ)と有意な相関性がることを確認した。
(2) 4μmで薄切された標本をEVG染色し、スキャナ装置によって撮影することで、標本切片全領域に対する高解像度デジタル画像として保存した。次に、色補正処理後、色分類処理を実施することで、デジタル画像の全画素を4つの組織クラス(膠原・弾性線維、核、細胞質)とガラスクラスへ適切に割り当てた。両者の比較で、適切に色分類されていることが確認された。本工程で得た色分類画像から、膠原(赤)・弾性(黒)線維の占有率をそれぞれの画素数と組織クラスの画素数から算出可能であることを示した。
(2) 4μmで薄切された標本をEVG染色し、スキャナ装置によって撮影することで、標本切片全領域に対する高解像度デジタル画像として保存した。次に、色補正処理後、色分類処理を実施することで、デジタル画像の全画素を4つの組織クラス(膠原・弾性線維、核、細胞質)とガラスクラスへ適切に割り当てた。両者の比較で、適切に色分類されていることが確認された。本工程で得た色分類画像から、膠原(赤)・弾性(黒)線維の占有率をそれぞれの画素数と組織クラスの画素数から算出可能であることを示した。
結論
EVG染色を用いた解析の結果、エラストグラフィの測定値は膠原線維や弾性線維の割合と強い相関があることを見出した。
公開日・更新日
公開日
2015-08-17
更新日
-