地域における結核対策に関する研究

文献情報

文献番号
201447001A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における結核対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
石川 信克(公益財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 御手洗 聡(公益財団法人結核予防会結核研究所 )
  • 阿彦 忠之(山形県健康福祉部(兼)山形県衛生研究所)
  • 内村 和広(公益財団法人結核予防会結核研究所 )
  • 大角 晃弘(公益財団法人結核予防会結核研究所 )
  • 吉山  崇(公益財団法人結核予防会複十字病院(兼)公益財団法人結核予防会結核研究所)
  • 伊藤 邦彦(公益財団法人結核予防会結核研究所 )
  • 松本 健二(大阪市保健所)
  • 加藤 誠也(公益財団法人結核予防会結核研究所 )
  • 徳永 修(独立行政法人国立病院機構南京都病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の結核罹患率は漸減しつつあるが、罹患状況は複雑化・偏在化してきており、結結核対策を地域の実情に応じた地域毎の結核対策へ移行することが重要である。しかし結核罹患率の低下により地域によっては当該地域での能力が弱体化し外部からの適切な支援が必要となっている。本研究は各地域が「(現行の)結核に関する特定感染症予防指針」に沿って、各地域独自の予防計画の策定と実施を行うための、多角的モデル、基礎的指針、基礎的資料を提供することを目的とする。さらに研究成果を総合して今後の上記予防指針の改定のための資料を提供する。
研究方法
研究は大きく、地域の結核疫学状況のより的確な把握のための「疫学および病原体のサーベイランス分野」の研究と、これら状況分析を踏まえて計画される「具体的介入策分野」の研究の2分野で構成して行った。「サーベイランス分野」では、各地域内での感染疫学状況を患者側および菌側の両面から的確に把握するための基礎の構築を目的とした。特に低蔓延下での対策上の必須的ツールである結核菌病原体サーベイランスを全国広域で実施するための基礎の確立を目標とした。「具体的介入策分野」の研究では、医療・対策両面の質に関する研究を行うと共に、各地域が最も対策に苦慮するいくつかのリスク集団や状況への介入に関する研究を行い、具体的な介入策の検討・提案・指針の提示を行う。これらを総合して地域の対策の簡易総合的評価方法の検討を行う。具体的な方法としては、文献的考察・アンケート調査を含む実地調査・システムの試作と試行による検証・症例の後方視的検討・数理モデル構築など研究目的に合わせた多彩な方法を組み合わせて用いた。
結果と考察
研究結果の概要は以下;Ⅰサーベイランス分野 1)疫学サーベイランス精度:わが国の結核サーベイランス情報収集項目と欧米諸国のそれとを比較検討し今後の我が国のシステム改訂時の貴重な資料を得た。2)薬剤耐性菌蔓延状況:衛生検査所から得られる耐性結核情報を解析し本邦の耐性結核菌の動向データを得た。3)遺伝子型分析:全国から収集された結核菌のVNTR情報を集約した広域分子疫学データベースモデルを構築し広域サーベイランスの基礎構築を行った。まだ大都市圏での分子疫学、ならびに病態解析での全ゲノム解析に有用性を示した。4)結核菌検査精度管理体制構築:薬剤耐性サーベイランス構築の基礎となる薬剤感受性試験の精度保証を実践し問題点を明らかにした。Ⅱ.具体的介入策分野 小児結核:コッホ現象事例の検討を行い問題点を明らかにした。また小児結核事例の検討を基に今後の小児結核医療体制構築に向けた基礎的検討を行った。6)ハイリスク者:文献レビューおよび複数のリスク集団の検討を行い、対策手引き等や介入策を例示した。7)慢性排菌:リネゾリドの使用による多剤耐性結核の治療成績向上の可能性が示された。8)施設内感染対策:高齢者の結核診断過程の詳細な分析を行い、これを基に施設内感染対策の要である高齢者結核の早期発見促進策を考案した。9)患者管理:治療完遂の確保のためのDOTS各タイプ別の治療成績を検討し副作用対策の重要性を示した。10)潜在性結核感染症治療等への介入手法:各自治体の接触者健診状況に大きな地域差があることが示され、接触者健診施行状況の評価手法の開発を行った。11)医療の質の維持:肺結核画像e-learningソフト開発のための素材集を作成した。12)対策の質の維持:地域の結核罹患構造の類型化と将来予測を行った。また保健所の患者支援における薬剤投与量および治療期間の重要性を示した。全体を総括するものとして、各共同研究者の他に社会学者や直接行政に関わる研究者等を加えた拡大検討班を構成し、近々予定されている「結核に関する特定感染症予防指針」改定作業のための資料として、広範な文献的考察を用いて、低蔓延状況下の結核対策に関する技術的観点からの考察と提言をまとめた。
結論
低蔓延を迎えた状況下での結核対策のあり方に関して多角的な視点からの有効な知見・具体的な方策への資料を得ることができた。今後はさらに、各地域で直接的に有効なツールの開発および具体的な提言や手引き等の開発改善と共にそれらの実地使用による効果検証が課題である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
2015-06-16

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201447001C

収支報告書

文献番号
201447001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,700,000円
(2)補助金確定額
25,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,104,033円
人件費・謝金 3,964,767円
旅費 5,002,218円
その他 1,698,982円
間接経費 5,930,000円
合計 25,700,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-22
更新日
-