G-CSFによる筋ジストロフィー治療方法の開発

文献情報

文献番号
201446030A
報告書区分
総括
研究課題名
G-CSFによる筋ジストロフィー治療方法の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
福田 恵一(慶應義塾大学 医学部  循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 湯浅 慎介(慶應義塾大学 医学部  循環器内科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋ジストロフィーは男子1/3500の割合で発症し、3歳頃に筋力低下で診断、10代で歩行不能、20代に呼吸不全等により死に至る重症遺伝性筋変性疾患である。筋ジストロフィーの中で最も多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーは細胞骨格タンパクであるジストロフィン変異による疾患である。同疾患は治療方法が確立されていず、進行性筋力低下により人工呼吸器が装着される極めて重篤な疾患である。我々は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体が発生途中および再生途中の筋芽細胞に特異的に発現し、G-CSFが筋肉の増殖を介して筋傷害の再生を強く促すことを見いだした(J Exp Med. 2011 Apr 11;208(4):715-27.)。同研究ではカルジオトキシンという毒素を注射して筋傷害を起こし、G-CSFの再生能力および筋力の回復を検討した。本研究はG-CSFという広く臨床で用いられており安全性の確保されている薬剤による、筋ジストロフィーに対する新規治療方法開発の試みである。。
研究方法
Mdxマウスはヒトデュシェンヌ型筋ジストロフィーと同様にジストロフィン遺伝子に変異を有し3~5週齢に筋肉の変性と再生が認められる。しかし、その後の筋力や生命予後にはほとんど影響がなく、表現形はヒトに比べて極めて軽微である。筋ジストロフィーにおけるG-CSFの役割を検討するために、G-CSF受容体欠損マウスとmdxマウスを交配してG-CSF受容体欠損mdxマウスを作製し検討した。ユートロフィンはジストロフィンの相同遺伝子として知られており、ジストロフィン、ユートロフィンの二重欠損マウスはヒト疾患と同様に重症筋ジストロフィーモデルになることが知られている。同様にG-CSFによる筋力回復および生命予後に対する検討を行うこととした。
結果と考察
G-CSF受容体ホモ欠損mdxマウスを作製して再生能の低下を確認する予定であったが、驚くべきことにG-CSF受容体ヘテロ欠損mdxマウスにおいて生後5週齢にかけて半数以上が死に至ることが確認された。
ジストロフィン、ユートロフィンの二重欠損マウスは半年ほどで全ての個体が死に至るが、G-CSFを投与するだけで(2回/週の腹腔内投与)、全ての個体が生存し、筋力も回復することが確認された。
結論
以上のことより、日常的に用いられているG-CSFが筋ジストロフィーに対して新規治療薬となる可能性が強く示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201446030C

収支報告書

文献番号
201446030Z