精神疾患患者に対する早期介入とその体制の確立のための研究

文献情報

文献番号
201446019A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患患者に対する早期介入とその体制の確立のための研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
水野 雅文(東邦大学 医学部 精神神経医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 道雄(富山大学大学院 医学薬学研究部 神経精神医学講座)
  • 松本 和紀(東北大学大学院 医学系研究科 予防精神医学寄附講座)
  • 下寺 信次(高知大学医学部 神経精神科学教室)
  • 岸本 年史(奈良県立医科大学 精神医学講座)
  • 川崎 康弘(金沢医科大学 精神神経科学)
  • 中込 和幸(独立行政法人国立精神神経医療研究センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,648,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神科領域における早期介入は、諸外国においてもこれまで統合失調症をモデルとして発展してきたが、臨床場面ではむしろ多くの精神疾患あるいは精神病の顕在発症以前の病態に対しても早期治療の重要性を認識し、実行できる体制の整備が必要である。
早期発見・早期治療を実現するには、(1)当事者や家族、さらに学校、産業現場など生活圏での気づき、(2) かかりつけ医、産業医、学校医などの地域医療の中での気づきと連携、(3) 精神科専門医による臨界期内での早期治療、の3階層における体制整備、知識の普及啓発、が重要である。
精神疾患罹患者を重症化させず、地域の中で社会包括しながら支える早期介入の重要性については、次第に認識され、概念は普及されつつある。しかし実臨床において多数遭遇するARMSを呈して受診した者に対する診断、治療技法は十分には検討されていない。ARMSに対する心理社会的介入を含めた早期治療に関する総合的なガイドラインが必要である。
本研究班は、地域特性や施設特性を十分に反映した複合的なガイドラインの作成を目指している。
研究方法
本研究のゴールであるガイドラインの策定にあたっては、これまでの諸研究成果から検討されることと、新たな試みにより補完されるべき情報に区分される。海外で高く評価されていても、本邦の医療制度内において実施不可能では意味がない。またわが国の研究者が重要と考えることであっても、必ずしも外国で知見が定まっているとは限らない。
そこで、検討内容の要点整理、FES追跡研究、ARMS-CBT介入研究、早期介入モデル作成のための諸研究を行う。
結果と考察
(1) 全体討議による要点整理
討論の結果は、本報告書Ⅴ章にある別刷りの形でまとめられ、すでに刊行された。
(2) FES研究について
DUPと予後、特に認知機能の関連等について論文を執筆し、現在投稿中である。研究結果の詳細については省略する。
(3) ARMS-CBT介入研究について
ARMS症例へのCBT介入研究のついての詳細は、本報告書内の東北大学分担班の報告にまとめるので参照されたい。
(4) その他早期介入モデル作成のための諸研究
 各分担班の地域において、早期精神病、主に初回エピソード統合失調症(first episode schizophrenia, FES)患者と精神病発症危険状態(at risk mental state, ARMS)患者を対象とした早期介入・支援サービスを実践するとともに、臨床的および生物学的研究を行った。また内外(ローマ、シンガポール、松本市)の先進的な早期介入モデルについて実地調査を行った。
結論
 初年度としての、本研究の進捗は順調であり、早期介入のガイドライン作成に向け必要な情報収集、新たなデータ構築が行われている。今後、これらを総括し、わが国の精神保健サービスの枠組みの中で実施可能なガイドラインを作成することが期待されている。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201446019C

収支報告書

文献番号
201446019Z