文献情報
文献番号
201444007A
報告書区分
総括
研究課題名
住民との協働による介護予防のまちづくりの効果検証のための地域コントロールトライアル
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大渕 修一(東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 藤原 佳典(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 平野 浩彦(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 河合 恒(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 荒木 厚(東京都健康長寿医療センター)
- 小山 照幸(東京都健康長寿医療センター)
- 杉江 正光(東京都健康長寿医療センター)
- 鈴木 隆雄(国立長寿医療研究センター研究所)
- 小島 基永(東京医療学院大学 保健医療学部)
- 中田 晴美(東京女子医科大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 長寿科学研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
14,177,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、地域住民との協働による介護予防推進と私的社会統制を強めない新たな互助のための地域介入モデルを構築し、その都市高齢者の要介護発生への抑制効果について検証することを目的とした地域コントロールトライアルを行う。超高齢社会への対応として、住民主体の活動を推進していくことが必要であるが、一方で、住民主体の活動は、「私的社会統制」を強める負の側面がある。そこで、本研究では、コーディネーターのかかわりによる私的社会統制を強めない具体的な地域介入モデルを示し、その効果を郵送調査や会場調査にて検証する。
研究方法
東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)所管地域(西巣鴨1~4丁目、巣鴨3~5丁目、北大塚1~2丁目)を対象地域とし、西側の地域(西巣鴨1~4丁目、北大塚2丁目)を先行(介入)地域、東側の地域(巣鴨3~5丁目、北大塚1丁目)を後行(観察)地域とした。
本研究計画は3カ年を研究期間とし、研究計画初年度となる平成26年度は、ベースライン調査として「豊島区シニア心と体の健康調査」、GPS調査を行い、介入前の地域在住高齢者の特性を把握した。また、本格的な地域介入の準備のために、先行地域において「まちづくり検討会議」を立ち上げ、サポーター講座として「健康長寿のまち・すがもサポーターの集い」を実施した。
豊島区シニア心と体の健康調査では、対象地域在住の65~84歳の高齢者全員から施設入所者を除いた6158名を調査対象者として抽出し(先行地域2950名、後行地域3208名)、健康度自己評価、現有病、生活機能、要介護度、社会活動状況、社会関係資本等に関する郵送調査と、郵送調査発送時に会場調査協力者を募集し、身体組成、生活問診、運動機能、口腔機能、認知機能等の詳細な調査を行う会場調査を実施した。GPS調査は、会場調査参加者にGPSによる日常活動範囲調査の協力を依頼し、先行地域・後行地域それぞれ約100名ずつ募集した。GPS調査の協力者には1週間、午前6時から午後6時までの1日12時間GPS装置を装着してもらい、15分ごとの緯度・経度を測定した。
地域介入については、地元大学、地元NPO、地域包括支援センター、区民ひろば等のコーディネーター候補による「まちづくり検討会議」を立ち上げ、地域介入のためのサポーター養成をどのように進めるべきか検討を行った上で、区の既存ボランティアと地域住民の希望者に対して、地域で進める健康づくりの重要性と今後の地域介入計画の説明、まちづくり検討会議メンバーによる活動紹介と意見交換という内容からなる「健康長寿のまち・すがもサポーターの集い」をサポーター講座として実施した。
本研究計画は3カ年を研究期間とし、研究計画初年度となる平成26年度は、ベースライン調査として「豊島区シニア心と体の健康調査」、GPS調査を行い、介入前の地域在住高齢者の特性を把握した。また、本格的な地域介入の準備のために、先行地域において「まちづくり検討会議」を立ち上げ、サポーター講座として「健康長寿のまち・すがもサポーターの集い」を実施した。
豊島区シニア心と体の健康調査では、対象地域在住の65~84歳の高齢者全員から施設入所者を除いた6158名を調査対象者として抽出し(先行地域2950名、後行地域3208名)、健康度自己評価、現有病、生活機能、要介護度、社会活動状況、社会関係資本等に関する郵送調査と、郵送調査発送時に会場調査協力者を募集し、身体組成、生活問診、運動機能、口腔機能、認知機能等の詳細な調査を行う会場調査を実施した。GPS調査は、会場調査参加者にGPSによる日常活動範囲調査の協力を依頼し、先行地域・後行地域それぞれ約100名ずつ募集した。GPS調査の協力者には1週間、午前6時から午後6時までの1日12時間GPS装置を装着してもらい、15分ごとの緯度・経度を測定した。
地域介入については、地元大学、地元NPO、地域包括支援センター、区民ひろば等のコーディネーター候補による「まちづくり検討会議」を立ち上げ、地域介入のためのサポーター養成をどのように進めるべきか検討を行った上で、区の既存ボランティアと地域住民の希望者に対して、地域で進める健康づくりの重要性と今後の地域介入計画の説明、まちづくり検討会議メンバーによる活動紹介と意見交換という内容からなる「健康長寿のまち・すがもサポーターの集い」をサポーター講座として実施した。
結果と考察
郵送調査の有効回答者は、2524名であった。郵送調査の回答率は、先行地域が40.8%、後行地域が41.2%と同じくらいであり、男女の構成比、前期後期高齢者の構成比に統計学的に有意な差はなかった。また、回答者と未回答者では、男女の構成比や年齢にそれほど大きな差はなく、郵送調査の回答者は地域を代表しているとみなすことができた。
会場調査の受診者は、549名であった。先行地域と後行地域では男女の構成比、前期後期高齢者の構成比に差はないものの、会場まで自分で来られる者が多く、郵送調査回答者と比較して幾分機能が高いことが考えられる。
先行地域と後行地域の比較では、先行地域の高齢者は、後行地域に比べて、社会参加・活動性、地域の連携・結束力がやや弱く、心理・精神面のQOLもやや低い傾向にあった。これらの点を踏まえながら、来年度以降実施予定の先行地域における地域介入においては、まずは、社会参加・地域活動への取り組みの底上げを図りながら、人と人とのつながりを強化した、地域活動プログラムを展開していくことが必要と考えられる。
サポーター講座には、地域住民、既存ボランティア、地元大学学生等109名が参加した。8割以上の参加者が地域介入計画について「理解できた」と回答し、58名が次年度に開催する主体的に地域活動を展開する人材の「リーダー養成講座」への参加意向を示したことから地域介入の基盤整備を行うことができたと考えられる。
会場調査の受診者は、549名であった。先行地域と後行地域では男女の構成比、前期後期高齢者の構成比に差はないものの、会場まで自分で来られる者が多く、郵送調査回答者と比較して幾分機能が高いことが考えられる。
先行地域と後行地域の比較では、先行地域の高齢者は、後行地域に比べて、社会参加・活動性、地域の連携・結束力がやや弱く、心理・精神面のQOLもやや低い傾向にあった。これらの点を踏まえながら、来年度以降実施予定の先行地域における地域介入においては、まずは、社会参加・地域活動への取り組みの底上げを図りながら、人と人とのつながりを強化した、地域活動プログラムを展開していくことが必要と考えられる。
サポーター講座には、地域住民、既存ボランティア、地元大学学生等109名が参加した。8割以上の参加者が地域介入計画について「理解できた」と回答し、58名が次年度に開催する主体的に地域活動を展開する人材の「リーダー養成講座」への参加意向を示したことから地域介入の基盤整備を行うことができたと考えられる。
結論
地域住民との協働による介護予防推進と私的社会統制を強めない新たな互助のための地域介入モデルの構築のために、介入前の特性をベースライン調査にて把握し、本格的な地域介入のための、介護予防人材・ネットワークの基盤整備を行った。今後は、介護予防リーダーを養成し、介護予防リーダーとコーディネーターが協働で地域活動を立ち上げ、地域介入を進め、その効果を追跡調査によって検証する。
公開日・更新日
公開日
2015-04-27
更新日
-