高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究

文献情報

文献番号
201444003A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
戸原 玄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系口腔老化制御学講座高齢者歯科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 山脇正永(京都府立医科大学総合医療・医学教育学講座)
  • 早坂信哉(大東文化大学スポーツ健康科学部健康科学科)
  • 川越正平(あおぞら診療所)
  • 吉野浩之(群馬大学教育学部障碍児教育学講座)
  • 植田耕一郎(日本大学歯学部摂食機能療法学講座摂食機能療法学)
  • 安細敏弘(九州歯科大学地域健康開発歯学分野口腔衛生学)
  • 渡邊 裕(独立行政法人国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部口腔感染制御研究室)
  • 野原幹司(大阪大学歯学部附属病院)
  • 千葉由美(横浜市立大学大学院医学研究科看護学専攻成人看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 長寿科学研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
14,100,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 野原幹司 大阪大学・歯学部附属病院・助教→大阪大学大学院・歯学研究科・准教授

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦では高齢者の摂食嚥下・栄養への対応は喫緊の課題である。リスクを有する者に対して多職種が
連携して支援に取り組んでいる地域はあるが、地域の人材等有効資源が繋がらない地域は多い。有効資源調査もいくつか行われているが全国調査は認められない。
本研究の目的は、高齢者の摂食嚥下・栄養に関する問題に対応できる地域資源を明らかにしてマッピングし、行政や病院、関連施設の啓発を行い、有効連携事例モデルを提示して、連携が十分でない地域に新たな連携を構築し実践させることである。
研究方法
医療施設等へのアンケート調査およびヒアリング調査
結果と考察
結果の詳細は下記委託業務成果報告(業務項目)にゆずるが、平成26 年度の調査結果から、有効な医療介護資源に関して900 件強の施設から回答を得た。また有効連携事例については10 地域の事例を収集、全国の病院および介護老人保健施設に対しての外部医療機関との連携状況の調査では1,125 件の回答が得られた。尚、病院および介護老人保健施設への調査は実施したが、介護老人福祉施設への調査は来年度に実施する。⑦の軽度嚥下障害患者への検診表についてはほぼ完成し、また嚥下機能のみならず簡易な咀嚼機能の評価方法についても検討を行った。
尚、行政・保健所に対する有効事例の存在および新規連携事例希望アンケート調査③については、有
効事例調査を優先し、それに基づいた調査票を作成したため、調査票による調査開始が遅れたことから、平成27 年度にかけて実施することとした。
概ね初年度の調査は目的としていた結果が得られた。ただし、一部調査の実施が遅れたものがあるた
めに、来年度早期に実施できなかった部分を開始することで計画していた目的を達成したい。
結論
初期段階としての医療資源調査および外部医療機関との連携状況の調査、さらには有効連携事例の収
集を行うことができた。本年度実施できなかった部分の早期の実施と、引き続く調査を今後行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201444003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
摂食嚥下障害への対応は多職種の関与とシームレスな対応が重要である。まず医療資源を明らかにし、2019年現在約1500件の全国の医療機関が登録されサイトにアップしたhttp://www.swallowing.link/。2016年度末に地図解析したところ、嚥下障害患者の実数は東京や大阪など人口が多い地区が多く、見える化した結果は同サイトにアップしている。嚥下食提供可能レストランも2019年現在52件登録されている。引き続き現在も登録件数を伸ばしている。
臨床的観点からの成果
摂食嚥下障害に対して有効な連携をとることができている病院やクリニック、訪問看護ステーション、高齢者施設および医師会・歯科医師会での事例を14件収集することができた。地域も東京(多摩立川・北区・江戸川区)、群馬(高崎)、宮城(石巻)、大阪(寝屋川)、山口(岩国)、福岡(直方市・福岡市)、和歌山(和歌山市)、埼玉(春日部市)、千葉(八千代市)など幅広い事例を紹介することができた。内容のブラッシュアップを行いガイドブックを作成することができた。
ガイドライン等の開発
上記の有効連携事例の原稿を再度ブラッシュアップし、ガイドラインではないが地域連携をとる際に参考となるガイドブックを作成して、医療資源マップのサイトhttp://www.swallowing.link/にアップした。
その他行政的観点からの成果
東京都江戸川区で本研究に関連した会議体を設けることができ、江戸川区地域の医療資源マップの作成に至った。また行政に対する全国的な調査から、地域における摂食嚥下・栄養の課題に関して都道府県調査では約9割、保健所調査では約半数が何らかの取り組みを行っていることがわかった。更に上記にも記した嚥下障害対応の需給を見える化した解析結果は2016年度末に各地域の行政、医師会、歯科医師会、さらに医学部、歯学部に送付した。また、マップの使用により200件以上の患者が医療とつながったことは確認できた。
その他のインパクト
2014年にPeg Doctors Network通信にて本研究内容の概要が紹介された。また、2015年2月にタイのコンケン大学にて本研究内容が紹介された。その他、研究代表者が日本各地での講演会にて計300回程度本研究内容を紹介した。シンポジウムは2015年日本摂食嚥下リハ学会、2016年インプラント学会、その他大手三社を含めて新聞記事30誌以上、テレビは10回程度、市民公開講座9回、また複数の関連学会や家族会のHPでの周知、数十の医療介護関連サイトでの情報公開がなされた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
12件
摂食嚥下関連医療資源マップの紹介ということで12件の原稿を執筆した。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
インプラント学会、嚥下リハ学会でシンポが開催された。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
江戸川区にて行政および医師会・歯科医師会などの連携により医療資源マップ作成に至った。
その他成果(普及・啓発活動)
300件
日本各地での講演会にて300回以上内容紹介。またタイでのセミナーにても本研究を紹介。マスコミにても報道多数。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
2023-05-01

収支報告書

文献番号
201444003Z