文献情報
文献番号
201439003A
報告書区分
総括
研究課題名
実践情報の解析による効果的な保健指導の開発と評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡山 明(合同会社生活習慣病予防研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 三浦 克之(滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門/アジア疫学研究センター)
- 神出 計(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻)
- 由田 克士(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座 公衆衛生学)
- 中村 幸志(北海道大学大学院 医学研究科 社会医学講座 公衆衛生学分野)
- 渡邉 至(国立循環器病研究センター 予防健診部)
- 奥田 奈賀子(人間総合科学大学 人間科学部 健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定保健指導データに特定健診結果を突合したデータセットを作成し、効果的な保健指導の要因を解析する。この解析結果をもとに看護・栄養・運動の各分野の専門家によるワークショップを経てモデルプログラムを作成し、これを用いた実証試験を行う。特定健診保健指導制度施行後7年が経過した現在、実際の特定保健指導データを集積し効果要因を分析する方法が可能であり、これをもとに、より効果的な保健指導方法を提言する必要がある。本研究は保健指導の効果要因を多数の特定健診および特定保健指導データを用いて解明する初めての試みである。指導前後の特定健診結果を使用すればより多くの因子で適切な効果分析が可能となるが、これらデータを連結可能匿名化する必要がある。
研究方法
原則として年間50例以上の特定保健指導を実施している医療保険者(市町村、健康保険組合、協会けんぽ)、および健康診断と保健指導を行っている特定保健指導機関を対象として、分析に必要なデータ収集の協力を依頼した。具体的には従来の研究活動で関わりのあった医療保険者に対して研究協力の依頼を行うと共に、厚生労働省健康局保健指導室から医療保険者への協力依頼書の交付を受けて人口2万人以上の市町村すべて(908件)、健康保険組合、協会けんぽに協力依頼を送付した。
3年間の特定健診および特定保健指導結果を多数の医療保険者から収集することを目的として、従来から研究班で用いていたソフトを改良して、データ収集用ソフトを開発した。主な変更点は、データを匿名化する際に一方向関数による乱数発生を用いたこと、被保険者台帳を入力しなくても健診結果から自動的に発生させる方式としたことである。
研究協力依頼書に協力可能との回答のあった医療保険者等に、全国向け説明会(1月16日、2月23日)および埼玉県、神奈川県、滋賀県、和歌山県で各国保連合会の協力を得て説明会を実施した。更に個別説明を希望する保険者に対しては研究事務局が対応した。保健指導の効果要因に関する詳細な検討を行うため、研究に参加する医療保険者を対象として平成27年2月27,28日にワークショップを開催した。
3年間の特定健診および特定保健指導結果を多数の医療保険者から収集することを目的として、従来から研究班で用いていたソフトを改良して、データ収集用ソフトを開発した。主な変更点は、データを匿名化する際に一方向関数による乱数発生を用いたこと、被保険者台帳を入力しなくても健診結果から自動的に発生させる方式としたことである。
研究協力依頼書に協力可能との回答のあった医療保険者等に、全国向け説明会(1月16日、2月23日)および埼玉県、神奈川県、滋賀県、和歌山県で各国保連合会の協力を得て説明会を実施した。更に個別説明を希望する保険者に対しては研究事務局が対応した。保健指導の効果要因に関する詳細な検討を行うため、研究に参加する医療保険者を対象として平成27年2月27,28日にワークショップを開催した。
結果と考察
研究参加の市町村保険者143件、組合保険者9件、協会けんぽ1支部、特定保健指導機関3件の協力を得ている。当初1万5千名の特定保健指導実施者の募集を目指していたが、これを大きく上回る可能性がある。現在契約手続きを継続しており、契約完了後速やかにデータ収集に移行する予定である。本研究では個人情報をすべて削除した上で、必要な情報を取り出せること、研究対象期間のデータを個人ごとに連結可能匿名化することが必要となる。本研究では必要とするデータ数が多く、協力保険者も多数となることから、簡単な操作で、データの取込加工が出来ること、多数の健診データを高速に取り込めるようプログラムを作成した。データセットに含まれる情報のうち研究上必要でない情報および個人が特定される可能性のある情報については削除または匿名化を行った。参加意志が確認された保険者等に対して本研究班で作成した、研究契約ひな形を送付した。各保険者での検討の上必要な事項を修正して本契約とした。研究データを再度確認する可能性があるためデータ保持期間を平成29年3月までとした。更に、データ授受の手順を確認するため保険者に説明を行い、必要な機材を確認した上で送付する手順を整えた。
今後、効果要因分析のため、ポイント数や面接回数などに加え、データに記録されない要素(指導間隔や形式、教材、支援者の研修、保険者及び対象者の特性)を各実施機関、保険者より調査票を用いて収集する予定である。保健指導プログラムは同じ機関であっても内容が異なる可能性があるので、一旦データを収集した上でプログラムの種類と人数を確認し、各施設へアンケートを行う。平成27年2月には運動・栄養・看護の専門家によるワークショップをおこない保健指導プログラムの効果要因を明らかにすると共に効果要因を要素別にまとめる試みを行った。これにより、保健指導の効果要因がプログラム内容ばかりでなく、実施体制や研修体制と密接に関連していることが確認された。一年後の効果、二年後の長期効果及びメタボリック症候群の要素(高血圧、糖尿病、脂質異常)への効果評価には、2年分の特定健診結果を使用する予定である。
今後、効果要因分析のため、ポイント数や面接回数などに加え、データに記録されない要素(指導間隔や形式、教材、支援者の研修、保険者及び対象者の特性)を各実施機関、保険者より調査票を用いて収集する予定である。保健指導プログラムは同じ機関であっても内容が異なる可能性があるので、一旦データを収集した上でプログラムの種類と人数を確認し、各施設へアンケートを行う。平成27年2月には運動・栄養・看護の専門家によるワークショップをおこない保健指導プログラムの効果要因を明らかにすると共に効果要因を要素別にまとめる試みを行った。これにより、保健指導の効果要因がプログラム内容ばかりでなく、実施体制や研修体制と密接に関連していることが確認された。一年後の効果、二年後の長期効果及びメタボリック症候群の要素(高血圧、糖尿病、脂質異常)への効果評価には、2年分の特定健診結果を使用する予定である。
結論
第二年度以降は保健指導モデルを用いた実証試験をおこなって、プログラムの実行可能性を評価する。最終的にはこれらの検討を通じ、各実施機関・保険者で効果的な要素・教材を知識提供や動機付け、実践支援などの段階に応じて容易にコーディネートできる「保健指導モジュール」の仕組みを提言する予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-16
更新日
-