文献情報
文献番号
201438123A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんにおける遺伝子変異・エピジェネティック異常と生活習慣などリスク要因との関連:前向きコホート研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
島津 太一(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部)
研究分担者(所属機関)
- 竹島 秀幸(国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野)
- 齊藤 昌宏(JA秋田厚生連平鹿総合病院病理診断科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,848,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究全体の目的は、前向きコホート研究において、既知の胃がんリスク・予防要因と胃がんとの関連性が、遺伝子突然変異・エピジェネティック異常による胃がんサブタイプで異なるか検討することである。
今年度の目的は、多目的コホート研究参加者において罹患が把握されている胃がんのホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)標本の一部を特定し、遺伝子突然変異・エピジェネティック解析が可能か検討することである。
今年度の目的は、多目的コホート研究参加者において罹患が把握されている胃がんのホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)標本の一部を特定し、遺伝子突然変異・エピジェネティック解析が可能か検討することである。
研究方法
多目的コホート研究実施地域のうち秋田県横手地域において、1990年の生活習慣アンケートに答えた40から59歳の研究参加者を対象とする。胃がん組織収集については、共同研究機関において胃がんのFFPE標本から未染スライド作成を行う。遺伝子突然変異・エピジェネティック異常の解析については、未染スライドから抽出したDNAにより、癌遺伝子または癌抑制遺伝子の突然変異の有無、CpGアイランドメチル化形質の有無などの解析が可能かどうか検討を行う。
結果と考察
秋田県横手地域における40から59歳のコホート研究対象者15,781人のうち、アンケートに回答し、かつ、がんの既往のない、11,707名が本研究の対象者であった。胃がん症例の把握を行い、胃がん組織収集の対象となる医療機関を特定した。胃がんの診断根拠が病理組織を用いたものであった514例のうち497例(97.0%)が、コホート研究対象地域内の平鹿総合病院と他の1医療機関において診断された症例であった。
本研究対象者における平鹿総合病院での胃がん症例のリストをもとに、2005年~2010年の48例の病理標本の腫瘍細胞域を確認し、充分量の腫瘍細胞と非腫瘍組織の含まれたガラススライドを作成した。
胃がん検体48症例のFFPEサンプルからDNAを抽出し、その品質評価及び一部の症例について突然変異解析を行った。その結果、FFPEサンプルから抽出したDNAの全てにおいて遺伝子突然変異解析が可能な量の二本鎖DNAが得られた。また、そのうち約80%においては、10%の突然変異が95%の確率で検出できる量の、PCRの鋳型となり得るDNAが含まれることが明らかになった。
今回検討した胃がん症例の病理標本においてはDNA保持が優れ、遺伝子突然変異解析・エピジェネティック異常解析が可能であると考えられた。当該地域においては、平鹿総合病院と、他の1医療機関でほぼすべてのコホート対象者の胃がん症例が診断されているため、もう一つの医療機関においても同様の検討が必要である。
本研究対象者における平鹿総合病院での胃がん症例のリストをもとに、2005年~2010年の48例の病理標本の腫瘍細胞域を確認し、充分量の腫瘍細胞と非腫瘍組織の含まれたガラススライドを作成した。
胃がん検体48症例のFFPEサンプルからDNAを抽出し、その品質評価及び一部の症例について突然変異解析を行った。その結果、FFPEサンプルから抽出したDNAの全てにおいて遺伝子突然変異解析が可能な量の二本鎖DNAが得られた。また、そのうち約80%においては、10%の突然変異が95%の確率で検出できる量の、PCRの鋳型となり得るDNAが含まれることが明らかになった。
今回検討した胃がん症例の病理標本においてはDNA保持が優れ、遺伝子突然変異解析・エピジェネティック異常解析が可能であると考えられた。当該地域においては、平鹿総合病院と、他の1医療機関でほぼすべてのコホート対象者の胃がん症例が診断されているため、もう一つの医療機関においても同様の検討が必要である。
結論
多目的コホート研究参加者において罹患が把握されている胃がんのFFPE標本の一部を特定し、遺伝子突然変異・エピジェネティック解析が可能なDNAが抽出可能であり、遺伝子突然変異解析まで進めることができた。
公開日・更新日
公開日
2015-09-15
更新日
-