網羅的ドライバー遺伝子変異検索に基づく耐性GISTの治療薬開発

文献情報

文献番号
201438088A
報告書区分
総括
研究課題名
網羅的ドライバー遺伝子変異検索に基づく耐性GISTの治療薬開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西田 俊朗(独立行政法人国立がん研究センター東病院胃外科)
研究分担者(所属機関)
  • 土井 俊彦(独立行政法人国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター先端医療科)
  • 土原 一哉(独立行政法人国立がん研究センター早期・探索臨床研究センタートランスレーショナルリサーチ分野)
  • 佐藤 暁洋(独立行政法人国立がん研究センター東病院臨床開発センター臨床試験支援室)
  • 野村 尚吾(独立行政法人国立がん研究センター東病院研究支援センター生物統計部)
  • 内藤 陽一(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 山田 康秀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 仲 哲治(独立行政法人医薬基盤研究所創薬基盤研究部)
  • 廣田 誠一(兵庫医科大学病院 病理部)
  • 今野 弘之(浜松医科大学外科学第二講座)
  • 小松 嘉人(北海道大学腫瘍センター臨床腫瘍学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
[目的]研究は、前臨床研究、臨床研究ネットワーク造り、臨床研究整備、KIT・PDGFRA遺伝子解析研究に分かれて行った。
前臨床研究に於いては、以下の問題点を事前に明らかにすべく、①.フォンレックリングハウゼン病タイプⅠ(Neurofibromatosis type I: NF1)に対する疫学調査と、②.NF1遺伝子に異常を持つ腫瘍へのMEK阻害剤の有用性を検討した。特に①に於いては、NF1に消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor: GIST)など幾つかの腫瘍が合併する頻度が高いが、その疫学的頻度を調査すると共に、NF1合併GIST(NF1-GIST)の臨床病理学的特徴と、GISTの標準治療薬であるイマチニブやスニチニブの有効性をretrospective cohort analysisで解析した。
研究方法
[方法]研究1:NF1患者のCTスクリーニング研究:30歳以上のインフォームドコンセントが得られた成人NF1患者に腹部造影CT検査をした。
研究2:NF1-GISTの疫学調査研究:散発性GIST中のNF1-GIST頻度をアンケートで明らかにした。
研究3:培養細胞を用いたNF1関連腫瘍に有効な阻害薬のin vitro開発研究:GIST-T1細胞株、MPNST細胞株( JCRB3015とsNF96.2)を用いて、NF1が機能しない腫瘍で腫瘍細胞増殖に対し抑制効果を持つ薬剤のin vitroでのスクリーニング解析と検討を行った。
研究4.アーカイブ組織を使ったKIT・PDGFRA遺伝子解析:研究参加病院からの手術または生検の各種検体を用い、HE 染色および免疫染色(KIT, CD34, DOG1, SDHB, pfetin, Ki-67等)を行い、同時にc-kit遺伝子のエクソン9, 11, 13, 17とPDGFRA遺伝子のエクソン12, 14, 18の変異解析を行った。
結果と考察
[結果]研究1:NF1患者のCTスクリーニング研究:成人NF1患者95名に造影腹部CTを施行し、GISTを6例に(6.3%; CI: 2.35-13.24が発見された。
研究2:NF1-GISTの疫学調査研究:1314例の初発GIST症例中に 23 の初発NF1-GIST (1.75%: CI=1.17-2.61%)手術症例が含まれていた。フランスのNetSARC データでは、1528 GISTs手術症例中に18 例のNF1-GIST 症例 (1.1%; CI=0.75-1.85%) を認め、初発GIST手術症例中のNF1-GIST症例の割合は1.1~1.4%と推計された。
研究3:培養細胞を用いたin vitroのNF1関連腫瘍に有効な阻害薬の開発:NF1-GISTではKITもPDGFRAも殆ど活性化を持たず、細胞内は主にRAS-MEK系が活性化していた。NF1機能が失活化した腫瘍で細胞増殖を抑制するのは、RAS関連阻害剤とMEK1とMEK2を同時に阻害する薬剤であることが示された。
研究4.アーカイブ組織を使ったKIT・PDGFRA遺伝子解析:これまで検索した手術または生検の各種検体においては、概ねGISTの病理診断と遺伝子解析が各施設で適切に行われていた。
結論
[結論]NF1の患者はGISTを発症しやすく、そのNF1-GISTは薬物治療が必要になった時、KIT阻害剤でありGISTの標準治療薬であるイマチニブは無効である。進行・再発NF1-GISTに対しては新規の薬剤開発が必要で、その増殖の抑制にはMEK1・MEK2阻害剤が有用と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438088C

収支報告書

文献番号
201438088Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,000,000円
(2)補助金確定額
28,843,415円
差引額 [(1)-(2)]
11,156,585円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 14,328,327円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 5,285,088円
間接経費 9,230,000円
合計 28,843,415円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-10-11
更新日
-