グレリン投与による高齢者食道癌手術の安全性向上に関するランダム化第2相試験

文献情報

文献番号
201438070A
報告書区分
総括
研究課題名
グレリン投与による高齢者食道癌手術の安全性向上に関するランダム化第2相試験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病研究センター研究所生化学 内分泌学)
  • 森 正樹(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
  • 瀧口 修司(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
  • 矢野 雅彦(大阪府立成人病センター消化器外科学)
  • 安田 卓司(近畿大学医学部外科学講座消化器外科学)
  • 大幸 宏幸(国立がん研究センター東病院 食道外科)
  • 大辻 英吾(京都府立医科大学消化器外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学医学部外科学第2講座)
  • 濱崎俊光(国立循環器病研究センター研究所先進医療治験推進部DM/統計室)
  • 北川 雄光(慶應義塾大学医学部外科学)
  • 白川 靖博(岡山大学病院消化管外科)
  • 渡邊 雅之(がん研究会有明病院消化器センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
グレリンは1999年に寒川らによって発見された胃から分泌されるホルモンで成長ホルモン分泌促進、食欲増進、消化管運動機能促進、抗炎症など多彩な作用を持つ。我々は食道癌術後のグレリン減少がSIRSと相関することを見出し、探索的研究にてグレリン投与により術後SIRS期間が短縮すること、肺炎が減少することを確認した。炎症反応抑制および成長ホルモン分泌促進作用による食道癌手術の侵襲抑制を目的とし、食道癌術中から5日間グレリンを投与したところ,SIRS期間が対照群6.7日に対し投与群では3.0日と有意に減少し、更に術後肺合併症が35パーセントから15パーセントへ減少した。グレリンは加齢とともに低下しこれまでの試験でも高齢者により高い効果が得られている。そこで今回は特に高齢者で問題となる食道癌術後の肺合併症減少をエンドポイントとして設定し、本グレリン製剤の薬事承認を目指した医師主導治験の実施を計画した。
研究方法
1研究デザイン・必要症例数・研究計画 多施設共同医師主導治験を予定、デザイン ペプチド研グレリンについての必要な非臨床データを準備し、かつ薬事承認の観点から出口戦略を立てるうえで、研究デザイン、エンドポイント、症例設定について検討する必要がある。PMDA等と現在調整中であり、最終的なデザインは未定だが、現在下記のように考えている。2非臨床試験追加パッケージ 現時点で以下の非臨床試験追加が必要と考えている。・理化学試験 TK試験(血漿中薬物濃度測定法バリデーション試験)・反復投与毒性試験 カニクイザルにおける2週間反復静脈内投与毒性試験3多施設共同二重盲検プラセボ比較ランダム化第2相試験 「評価項目」主要評価項目は術後2週間までにおけるClavien-Dindo分類grade3以上の肺合併症発生割合とする。副次的評価項目は、手術関連合併症発生割合、術後SIRS期間、術後最大CRP値・炎症性サイトカイン値、退院時体重および筋肉量減少率、術後・負の窒素平衡期間、および入院診療報酬点数とする。1非臨床試験・医師主導治験にむけた研究体制および研究計画 平成26-27年度には治験開始に必要な情報を重点的に集めることとし、28年度の治験開始を目指している。(倫理)本研究はPMDAによる薬事戦略相談を受けた上で治験申請を行い、ICH-GCP準拠の医師主導治験として実施する。また、ヘルシンキ宣言および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守し、参加各施設倫理審査委員会の承認を得て行う。
結果と考察
平成26年度においては、8月29日に第一回班会議を開催し、当初計画していた自主臨床研究ではなく、多施設共同医師主導治験として研究を進めていくべきであるとの結論を得た。これをもとに厚生労働省健康局がん対策・健康増進課へ研究計画変更について依頼し承認いただくとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構との事前面談を開始した。また、前開発企業、株式会社ペプチド研究所、株式会社新日本科学、大阪大学にて秘密保持契約を締結し企業の治験薬に関する情報を活用することが可能となった。11月19日に実施された第一回事前面談では、医師主導治験として本試験を実施することの妥当性と非臨床試験追加の必要性について相談し、企業治験として実施されたグレリン製剤と今回使用するペプチド研グレリン製剤の相違点を明確にした上で必要最小限の非臨床試験を追加し、医師主導治験の実施を計画するとの結論を得た。これを受け、2月2日に第二回事前面談を実施したうえで、5月1日に非臨床試験に関する対面助言を実施した。企業治験グレリン製剤とペプチド研グレリン製剤の成分比較試験結果を提示し、以下の試験を追加することについて提案し、受け入れ可能との回答を得た。1理化学試験2反復投与毒性試験 試験デザイン等、治験計画については、事前面談を別途並行して進める予定である。医師主導治験の開始へ向け、求められる非臨床試験を平成27年度までに実施完了するため、平成26年度より研究計画を変更し厚生労働省、PMDAとの調整を進めてきた。本研究においては、前開発企業、株式会社ペプチド研究所、株式会社新日本科学、大阪大学にて秘密保持契約を結ぶことで、企業治験薬剤の情報を活用することが可能となり、非臨床試験の一部を省略することができた。今後平成27年度においては非臨床試験を実施完了し治験部分についても事前面談を経て対面助言を実施し試験デザインを確定させる予定である。
結論
合成ヒトグレリン投与による食道癌術後肺合併症低減をめざした医師主導治験開始へ向け、非臨床試験を開始するとともに、PMDAとの事前面談・対面助言を実施した。平成27年度の本研究においては、平成28年度の治験開始へ向け、引き続き非臨床試験の実施と治験申請へ向けた手続きを進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438070C

収支報告書

文献番号
201438070Z