文献情報
文献番号
201438048A
報告書区分
総括
研究課題名
早期子宮頸がんに対する機能温存低侵襲手術の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
石川 光也(国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
- 笠松 高弘(東京都立墨東病院 産婦人科)
- 有本 貴英(東京大学医学部付属病院 女性外科)
- 戸板 孝文(琉球大学大学院医学研究科 放射線医学分野)
- 恩田 貴志(北里大学医学部 産婦人科)
- 牛嶋 公生(久留米大学医学部 産婦人科)
- 櫻木 範明(北海道大学)
- 高野 忠夫(東北大学病院臨床研究推進センター)
- 吉川 裕之(筑波大学医学医療系 産婦人科)
- 竹島 信宏(癌研究会有明病院 婦人科)
- 小西 郁生(京都大学医学研究科器官外科学婦人科学産科学講座)
- 野河 孝充(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 婦人科)
- 齋藤 俊章(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 婦人科)
- 小林 裕明(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
子宮頸癌の標準根治術である広汎子宮全摘術は根治性の優れた術式であるが、術後合併症にてQOLが著しく低下する。本研究班では機能温存低侵襲縮小手術を安全に開発することを主たる目的としている。最も特徴的な術後合併症は神経麻痺性膀胱機能障害(排尿障害)である。JCOG1101試験は、広汎子宮全摘術の大きな欠点である神経因性膀胱機能障害を排した新たな機能温存低侵襲縮小手術を開発することを目的としている。
研究方法
JCOG1101試験の対象はMRIで腫瘍径2cm以下と診断された子宮頸癌IB1期患者である。試験治療として準広汎全摘術を行い、術後病理診断にて再発危険因子を有する場合には、全骨盤腔に放射線照射を追加する。プロトコール治療終了後は再発まで無治療経過観察する。Primary endpointは全生存期間である。全適格例の全生存期間が、本研究に先立ち実施された観察研究(JCOG0806A)で得た標準治療(広汎全摘)群の5年生存割合に劣らないことが検証されれば、準広汎全摘をより有用な手術術式と結論する。標準治療の5年生存割合が95.8%と極めて良好であるため、ランダム化試験とするメリットは乏しく、非ランダム化単アームの試験で非劣性の検証を行うデザインとした。閾値5年生存割合を90.8%、有意水準を片側5%とし、検出力90%、登録期間3年、追跡期間5年、予定登録数を240例とした。
(倫理面への配慮)
臨床試験の安全性については中央モニタリングによる品質管理を行い、有害事象報告と第三者的審査を徹底する。登録期間中に全登録例の1割以上の再発が観察された場合、登録を一時中断し、早期中止および術式変更の必要性の検討を行うこととする。
(倫理面への配慮)
臨床試験の安全性については中央モニタリングによる品質管理を行い、有害事象報告と第三者的審査を徹底する。登録期間中に全登録例の1割以上の再発が観察された場合、登録を一時中断し、早期中止および術式変更の必要性の検討を行うこととする。
結果と考察
結果
本研究にて期待される効果:腫瘍径2cm以下の群に対して縮小手術である準広汎全摘が広汎全摘に比べ生存期間で劣らないことが検証されれば、排尿機能を温存した低侵襲な標準治療が確立し、これらの患者のQOLは著しく向上することが期待される。また、準広汎全摘は広汎全摘に比べ出血量、手術時間などの手術侵襲が小さく、患者の安全性向上につながることも期待される。広汎子宮全摘術の術後合併症として他にも、妊孕性喪失、性機能障害、リンパ浮腫、排便障害があるが、本研究を通して機能温存治療の開発が進めば、今後導入が予想される妊孕性温存手術やロボット手術にも反映されることが期待される。
考察
進捗上の問題点としては登録ペースが遅いことが挙げられた。参加施設にアンケート調査を行いその原因を検討した結果、登録前検査のうち最も重要なMRI検査の実施時期の許容期間が日常診療で実現可能な期間より短いことが判った。そこで、実施時期の許容期間を延長するプロトコール改訂を行ない、26年8月にJCOG効果・安全性評価委員会で承認された。26年10月には全参加施設の研究者での会議を行い、適格規準の再確認、問題点の洗い出し、Case Report Formの回収促進の指示等を行った。27年度には、参加施設の入れ替えを行うなど、研究推進に努めて行く予定である。
本研究にて期待される効果:腫瘍径2cm以下の群に対して縮小手術である準広汎全摘が広汎全摘に比べ生存期間で劣らないことが検証されれば、排尿機能を温存した低侵襲な標準治療が確立し、これらの患者のQOLは著しく向上することが期待される。また、準広汎全摘は広汎全摘に比べ出血量、手術時間などの手術侵襲が小さく、患者の安全性向上につながることも期待される。広汎子宮全摘術の術後合併症として他にも、妊孕性喪失、性機能障害、リンパ浮腫、排便障害があるが、本研究を通して機能温存治療の開発が進めば、今後導入が予想される妊孕性温存手術やロボット手術にも反映されることが期待される。
考察
進捗上の問題点としては登録ペースが遅いことが挙げられた。参加施設にアンケート調査を行いその原因を検討した結果、登録前検査のうち最も重要なMRI検査の実施時期の許容期間が日常診療で実現可能な期間より短いことが判った。そこで、実施時期の許容期間を延長するプロトコール改訂を行ない、26年8月にJCOG効果・安全性評価委員会で承認された。26年10月には全参加施設の研究者での会議を行い、適格規準の再確認、問題点の洗い出し、Case Report Formの回収促進の指示等を行った。27年度には、参加施設の入れ替えを行うなど、研究推進に努めて行く予定である。
結論
27年度以降は登録ペースのさらなる促進を図り、計画に沿って登録を進める。
公開日・更新日
公開日
2015-09-14
更新日
-