更なる低侵襲化を目指した強度変調陽子線照射システムの技術開発

文献情報

文献番号
201438029A
報告書区分
総括
研究課題名
更なる低侵襲化を目指した強度変調陽子線照射システムの技術開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
秋元 哲夫(国立がん研究センター東病院 先端医療開発センター 粒子線医学開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾禎治(広島大学大学院 医歯薬保健学 応用生命部門 研究員)
  • 河野良介(国立がん研究センター東病院 先端医療開発センター 粒子線医学開発部 )
  • 林 隆一(国立がん研究センター東病院 頭頸部外科)
  • 全田貞幹(国立がん研究センター東病院 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では粒子線治療の中でも化学療法併用効果が期待でき、局所進行癌への適応拡大が期待される陽子線治療を用いた強度変調陽子線治療法の実現に向けた以下の技術開発を行い、臨床応用への道筋をつけることを主目的とする。
研究方法
・ 高精度治療計画技術の開発
・ 強度変調陽子線照射技術の開発
・ CBCT・in-room CT技術の開発
・ 融合技術の開発
・ 臨床的有用性の評価と治療デザイン
結果と考察
1)陽子線画像誘導下システムの開発
1-1) 陽子線画像誘導下システムのためのネットワーク整備(同室CT、治療計画装置)
1-2)治療直前患者CTの高速画像表示プログラムの開発と実装
1-3) 三次元陽子線画像誘導下システム用の線量分布計算プログラムの整備
1-4)治療直前患者CTの画像照合プログラムの開発と実装
本研究では効率化を重視しオートレジストレーションを実装した上で、1mm以内の精度でマニュアルレジストレーションと一致することを確認した。
1-5)陽子線画像誘導下システムと線量分布計算プログラムとの連結
三次元陽子線画像誘導下システムを用いて算出した移動量に基づいて移動した患者CT画像内で線量分布を表示し、治療直前または治療時の患者位置での線量分布を評価する。肺癌に対する定位放射線治療症例にこのシステムを用いて、臨床での動作確認試験を実施した。
2)陽子線治療計画装置開発及び医学物理的研究開発に関する研究
2-1) ワブラー照射法に対する簡易モンテカルロ(SMC)法の開発
ワブラー照射法に対する組織不均質に対応した線量計算法の高精度化を目的として、ワブラー電磁石によりビームを横方向に広げるワブラー照射法にて形成される非対称側方分布を考慮し、入射ビームモデルを改良したSMC法を開発した。
2-2) 簡易モンテカルロ法の高速化:線量計算の高速化を目指し、並列演算可能なGPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)によるSMC法を開発した。
2-3) 簡易モンテカルロ法の線量計算精度検証:二重散乱体法に対するビームモデリングを実施し、入力データの確認や治療ビームの再現性を確認するなどのコミッショニングを行った。
2-4) 簡易モンテカルロ法による臨床解析
簡易モンテカルロ法の線量計算精度検証後の平成27年度後半に、簡易モンテカルロ法と従来の線量計算法について、DVH等臨床的指標に関する比較を行う。
3) 高精度治療計画装置の開発
3-1) 線量分布シミュレータのモデリングと精度検証
二重散乱体法における線量分布シミュレーションに必要な入力ビームデータを取得した。
4)ラインスキャニング照射法の臨床応用
ビーム位置やビームサイズ、スキャン速度などのラインスキャニングシステムのコミッショニングを実施し、性能を評価し、ラインスキャニング照射法を前立腺癌症例に適用する臨床試験を開始した。
結論
今後、臨床での実施を進めていき、その問題点や改良点を評価し、次のステップに進む予定である。平行して、IMPT治療計画に向け、ラインスキャニング治療計画法の開発も進めている。

公開日・更新日

公開日
2016-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438029C

収支報告書

文献番号
201438029Z