文献情報
文献番号
201438025A
報告書区分
総括
研究課題名
膜型C4.4Aを標的とした大腸がんに対する転移再発予測診断技術の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(国立大学法人大阪大学大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 森 正樹(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科)
- 浜窪隆雄(国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター)
- 津本浩平(国立大学法人東京大学大学院工学系研究科)
- 井上 豪(国立大学法人大阪大学大学院工学研究科)
- 向 洋平(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、大腸がんにおける血行性転移を事前予測し得る新規バイオマーカー「膜型C4.4A」を標的とした、我が国発の転移再発予測体外診断薬の実用化を目指すものである。具体的には、「独自構築したファージ抗体ライブラリ技術」と「大腸がんに対する豊富な臨床サンプル」を有効活用することで、膜型C4.4Aを特異検出可能なシーズ抗体を取得したうえで、抗体工学などを駆使し、高品質な診断用抗体をデザインする。
研究方法
当該年度は、体外診断薬となりうるモノクローナル抗体候補の取得を試みた。抗原としては、膜型C4.4Aを認識しうるGPIアンカー近傍のペプチドのBSA融合体を用いた。これに対して、研究代表者らが中心となって構築した130億種類の多様性を有する非免疫ファージ抗体ライブラリを添加し、抗原に結合するクローンの回収操作(パンニング)を3回繰り返した。各クローンの抗原への結合性は、ELISAによってスクリーニングし、陽性クローンの遺伝子配列を解析した。
結果と考察
これまでの当研究グループの知見から、GPIアンカー近傍のペプチドを免疫して得られたポリクローナル抗体を用いることで、膜型C4.4Aを認識し、再発と有意な相関が観察されている。そこで、当該研究事業では、GPIアンカー近傍の領域に着目してペプチドを合成し、これに対するモノクローナル抗体の取得を試みた。パンニングを3回繰り返すことで、抗原に結合性を有する抗体クローンを濃縮した。モノクローン化後、各クローンの結合性をスクリーニングした結果、BSAに比較して、BSAと合成ペプチドの融合体に強く結合したクローンが101個同定された。これら抗体遺伝子の配列を解析した結果、12種類の異なる配列からなるモノクローナル候補抗体を取得することができた。
結論
大腸がんにおける血行性転移を事前予測し得る新規バイオマーカー「膜型C4.4A」を標的とした、我が国発の転移再発予測体外診断薬の実用化を目指し、当該年度は、臨床検体から膜型C4.4Aを検出可能なモノクローナル抗体を探索し、12種類のモノクローナル候補抗体を取得することができた。今後は、これら抗体の組換蛋白質を作製し、詳細な結合特性を解析すると共に、実際の臨床検体での染色性を検討する予定である。また、実用化を見据え、抗体の結合力を向上させるべく、抗原と抗体の立体構造を解析するための蛋白質大量発現系の構築や、抗原-抗体相互作用様式のシミュレーションにも着手する予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
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