文献情報
文献番号
201435007A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋梗塞患者に対するエポエチンベータ投与による心機能改善効果に関する研究-II
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
南野 哲男(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 肥後 修一朗(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
- 中谷 大作(大阪大学附属病院未来医療開発部未来医療センター)
- 小室 一成(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)
- 澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学)
- 坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
- 鈴木 洋(昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門循環器内科学)
- 南野 徹(新潟大学大学院医歯学総合研究科・循環器内科)
- 安田 聡(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
- 明石 嘉浩(聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科循環器内科)
- 山本 紘司(大阪大学大学院医学系研究科臨床統計疫学寄附講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療技術実用化総合研究(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、心筋梗塞の急性期患者に対するエリスロポエチン(EPO)の慢性期心機能改善効果を多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験によって検証し、急性心筋梗塞に対する新たな薬物補充療法を開発することである。
研究方法
1.試験デザイン エポエチンベータ6000単位、12000単位およびプラセボを試験治療とし、中間解析をともなう多施設共同二重盲検無作為化並行群試験である。
2.試験組織 研究代表者、運営委員、独立効果安全性評価委員会、RI中央評価委員会にて構成される。被験者登録および薬剤割り付けはU-MIN。データセンターは大阪大学医学部附属病院未来医療データセンター。
3.試験実施機関:全国26 施設
4.必要症例数の設定 本試験に先立って実施された臨床試験の結果に基づき、標準偏差を推定し、これらの推定値を用いて12000単位とプラセボの差によるエフェクトサイズを推定した。最大の解析対象集団の症例数として193例程度を確保できるように、1群200例を目標症例数とした。すなわち、本試験の登録目標症例数は600例である。被験者保護と科学的妥当性を確保するため、途中段階で無効または有効による中止が可能となるように中間解析を198例および396例の症例が観察期間を完了した時点で実施する。
5.対象患者の選択
選択基準
1)初回発症の心筋梗塞患者 2)ST上昇型急性心筋梗塞で発症から12時間以内に経カテーテル的インターベンション治療による再灌流に成功した患者 3)登録前の心臓超音波検査もしくは左室造影において、左室駆出率50%未満の患者 4)年齢:20歳以上80歳以下 5)試験参加について文書による同意が得られた患者
除外基準(主要項目のみ)
1)梗塞責任病変以外に血行再建術を要する病変を有する患者 2)明らかな再灌流不良の症例 3)入院時にKillip分類のIII 又は IV以上、心原性ショックを合併した症例
6.投与方法 書面にてインフォームドコンセント取得後、Webシステムにより症例登録および割付を実施し、割り付けられた試験薬を投与する。経カテーテル的インターベンション治療成功後6時間以内に試験薬(0.5 mL) を9.5 mLの生理食塩水に混入したものを静脈内に1分間以上かけて単回投与する。
7.観察・検査スケジュール 入院後の採血検査(登録前、PCI後4日、7日、35日、6ヵ月)、心エコー検査、レントゲン検査などは通常診療行為の範囲内で実施する。
【核医学検査】梗塞発症4-7日目と6ヵ月後に核医学検査を施行し、主要評価項目に必要な指標を得る。
8.有効性の評価
【主要評価項目】慢性期左室駆出率の改善度(投与後4日~7日目と6ヵ月との差の平均値)
【副次評価項目】1)EPO投与より6ヵ月間の心筋シンチにおける心機能の各指標(左室拡張末期体積)、左室収縮末期体積)、左室拡張末期体積係数、左室収縮末期体積係数、局所壁運動評価、虚血および欠損サイズ(SRS、SDS、%Defect Size、取り込み率)2)生存率 3)心血管事故率(心臓死、脳卒中、非致死的心筋梗塞、心不全悪化による入院、不安定狭心症による入院、再血行再建、心不全症状の出現)4)6ヵ月後のNT-ProBNP値
【モニタリング・監査】ICH-GCP準拠に基づくモニタリング・監査を実施予定である。
2.試験組織 研究代表者、運営委員、独立効果安全性評価委員会、RI中央評価委員会にて構成される。被験者登録および薬剤割り付けはU-MIN。データセンターは大阪大学医学部附属病院未来医療データセンター。
3.試験実施機関:全国26 施設
4.必要症例数の設定 本試験に先立って実施された臨床試験の結果に基づき、標準偏差を推定し、これらの推定値を用いて12000単位とプラセボの差によるエフェクトサイズを推定した。最大の解析対象集団の症例数として193例程度を確保できるように、1群200例を目標症例数とした。すなわち、本試験の登録目標症例数は600例である。被験者保護と科学的妥当性を確保するため、途中段階で無効または有効による中止が可能となるように中間解析を198例および396例の症例が観察期間を完了した時点で実施する。
5.対象患者の選択
選択基準
1)初回発症の心筋梗塞患者 2)ST上昇型急性心筋梗塞で発症から12時間以内に経カテーテル的インターベンション治療による再灌流に成功した患者 3)登録前の心臓超音波検査もしくは左室造影において、左室駆出率50%未満の患者 4)年齢:20歳以上80歳以下 5)試験参加について文書による同意が得られた患者
除外基準(主要項目のみ)
1)梗塞責任病変以外に血行再建術を要する病変を有する患者 2)明らかな再灌流不良の症例 3)入院時にKillip分類のIII 又は IV以上、心原性ショックを合併した症例
6.投与方法 書面にてインフォームドコンセント取得後、Webシステムにより症例登録および割付を実施し、割り付けられた試験薬を投与する。経カテーテル的インターベンション治療成功後6時間以内に試験薬(0.5 mL) を9.5 mLの生理食塩水に混入したものを静脈内に1分間以上かけて単回投与する。
7.観察・検査スケジュール 入院後の採血検査(登録前、PCI後4日、7日、35日、6ヵ月)、心エコー検査、レントゲン検査などは通常診療行為の範囲内で実施する。
【核医学検査】梗塞発症4-7日目と6ヵ月後に核医学検査を施行し、主要評価項目に必要な指標を得る。
8.有効性の評価
【主要評価項目】慢性期左室駆出率の改善度(投与後4日~7日目と6ヵ月との差の平均値)
【副次評価項目】1)EPO投与より6ヵ月間の心筋シンチにおける心機能の各指標(左室拡張末期体積)、左室収縮末期体積)、左室拡張末期体積係数、左室収縮末期体積係数、局所壁運動評価、虚血および欠損サイズ(SRS、SDS、%Defect Size、取り込み率)2)生存率 3)心血管事故率(心臓死、脳卒中、非致死的心筋梗塞、心不全悪化による入院、不安定狭心症による入院、再血行再建、心不全症状の出現)4)6ヵ月後のNT-ProBNP値
【モニタリング・監査】ICH-GCP準拠に基づくモニタリング・監査を実施予定である。
結果と考察
試験参加者の高いモチベーションと臨床試験に関する専門知識により、本試験は実施されている。しかし、多施設臨床研究での問題点も明らかになった。全施設のRI撮像条件の統一を徹底するには多くの時間と労力を要する事、薬剤部・CRCの対応が勤務時間帯に限られるため緊急の症例登録に対応する体制が整っていない場合が多いことなどである。課題を解決しながら、患者登録を続け、平成27年2月9日、有効中止・無効中止を含む中間解析に必要な198症例に達した。以後、慢性期患者観察を実施しつつ、来年度以降、統計解析を実施する。
結論
今年度は、全国26施設と連携を取り合い、「臨床研究に関する倫理指針」を遵守し、有害事象への対応や補償などの患者保護を最優先にしながら、症例登録の推進活動を実施した。その結果、中間解析に必要な198症例の登録を行う事ができた。また、本研究について広く周知するため、市民公開講座を東京と大阪で開催した。データマネジメント業務は、大阪大学医学部附属病院未来医療開発部データセンターが行っており、中立かつ専門的なデータマネジメント業務を実施できた。本研究の安全性および倫理性を担保する目的で、特に脳心血管イベントの誘発あるいは再発に十分な注意を払うために、血栓止血学の専門家を含む複数の外部委員を招聘し、独立効果安全性評価委員会を設置し必要と思われる有害事象発生時には独立効果安全性評価委員会の開催を行った。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
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