文献情報
文献番号
201434022A
報告書区分
総括
研究課題名
アモルファスメタル応用のポータブル心磁計開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中山 晋介(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 西脇 公俊(名古屋大学・大学院医学系研究科、麻酔科学・集中治療)
- 宮崎 秀樹(フジデノロ・技術開発部、エレクトロニクス)
- 田口 喜崇(フジデノロ・技術開発部、微細加工)
- 加藤 進輔(フジデノロ・技術開発部、生体工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
29,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生体磁界は微弱のため高感度の磁気計測器が必要とされた。そのため、超伝導量子干渉デバイス(SQIUD)や光励起原子磁気計測器(OPAM)に代表される大型計測機器がこれまで使用されてきた。
そこで申請者グループは、小規模な医療施設、研究室や在宅において、生体活動に伴うベクトル磁界などの高度な物理量を計測するために、アモルファスメタルを感磁部として含有する磁気センサの応用を提案する。本研究では特に、心臓活動に由来する生体磁界計測が可能なポータブル機器の開発を目的とする。
そこで申請者グループは、小規模な医療施設、研究室や在宅において、生体活動に伴うベクトル磁界などの高度な物理量を計測するために、アモルファスメタルを感磁部として含有する磁気センサの応用を提案する。本研究では特に、心臓活動に由来する生体磁界計測が可能なポータブル機器の開発を目的とする。
研究方法
アモルファスメタル製磁気センサは、SQUIDやOPAMと比べ感度は低いが、地磁気中でも検出素子が飽和しないので、磁気シールドルームを必要としない。また、室温で作動するため冷却コンテナなども必要なく、コンパクトな構成で使用できる。
26年度は、アモルファスメタル製磁気検出素子として、数種類の磁気直線性磁気インピーダンス(MI)素子と軸近傍磁化整列(IPA)素子を試作し、そのトランスデューサコイル検出器としてFPGAコントロール高速ADコンバータを搭載したデジタル計測システムを試作した。一方、アモルファスメタル製磁気検出素子が生体計測用として適するか感度チェックのために、アモルファスメタルワイヤの励起とコイル起電力のサンプルホールドタイミングを可変コントロールできる評価用システムを作成した。
26年度は、アモルファスメタル製磁気検出素子として、数種類の磁気直線性磁気インピーダンス(MI)素子と軸近傍磁化整列(IPA)素子を試作し、そのトランスデューサコイル検出器としてFPGAコントロール高速ADコンバータを搭載したデジタル計測システムを試作した。一方、アモルファスメタル製磁気検出素子が生体計測用として適するか感度チェックのために、アモルファスメタルワイヤの励起とコイル起電力のサンプルホールドタイミングを可変コントロールできる評価用システムを作成した。
結果と考察
磁気直線性MI素子の感度特性を知るために、検出コイル径と巻き数、及びアモルファスワイヤの比透磁率を変えた素子の試作を行った。コイル巻き数とコイル径を適度に調整することで、50-70 μV/nTの出力を得た。また、比透磁率が3分の2程度のアモルファスワイヤを使用した場合は、地磁気を越える外部磁界でもセンサレスポンスの飽和は起こらなかった。一方、マイクロマニピュレータとインクジェットを使用して、IPA素子も試作した。一本のアモルファスワイヤを励起するために、100 μmの近傍に配置する励起導線の本数を1, 2, 4本と変えたところ、4本の導線で励起した場合は1本に比べ約2倍のコイル起電力が得られた。これはシミュレーション結果と一致した。
試作されたアモルファスメタル製磁気検出素子の特性を、励起検出用パルスタイミング可変の評価計測システムを用いて調べた。励起パルス電流(振幅100 mA, 幅100-300 ns)を適切な間隔(1-3 μs)で繰り返し与えれば、サンプルホールドタイミングを適切(60-150 ns)に設定することで、いろいろな素子の感度の最適化を行えることが分かった。現在のアモルファスメタル製素子では、常時100 μV/nT程度の変換効率で生体磁界を検出できることが分かった。計測時において、生体試料に特別な反応が誘起されることはなかった。
試作されたアモルファスメタル製磁気検出素子の特性を、励起検出用パルスタイミング可変の評価計測システムを用いて調べた。励起パルス電流(振幅100 mA, 幅100-300 ns)を適切な間隔(1-3 μs)で繰り返し与えれば、サンプルホールドタイミングを適切(60-150 ns)に設定することで、いろいろな素子の感度の最適化を行えることが分かった。現在のアモルファスメタル製素子では、常時100 μV/nT程度の変換効率で生体磁界を検出できることが分かった。計測時において、生体試料に特別な反応が誘起されることはなかった。
結論
26年度は、いろいろなアモルファスメタル製磁気検出素子を試作し、その感度特性を調べることができた。また、アモルファスメタル励起とコイル起電力検出タイミングの適切な設定によりセンサ感度を向上できることも確認できた。今後の開発において、アモルファスメタルと励起用導線の微細な配置を進め、検出システムに高速ADコンバータを組み込むことで、さらに高感度且つ安定的な磁界計測が可能と考えられる。26年度に分かったアモルファスメタル製検出素子とデジタル検出回路特性を踏まえ、次年度は信号積算により磁界を簡便に計測する機器(ポータブル心磁図など)の製作を行う。
公開日・更新日
公開日
2015-06-16
更新日
-