文献情報
文献番号
201434017A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療に応用可能な簡易型眼底観察装置の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 視覚研究部)
研究分担者(所属機関)
- 大島進(株式会社トーメーコーポレーション)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
社会の高齢化に伴い、失明の恐れのある眼科疾患(糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、緑内障等)の管理はますます重要性を増している。これらの診断・治療には専門機関における眼科的検査が不可欠である。
なかでも眼底検査は最重要な検査であるが、現行の眼底検査法には熟練を要し、在宅の現場において眼科医以外が行うことは困難である。本研究では、在宅医療の現場において、誰もが簡単に眼底観察をすることができる簡便な眼底観察装置の新規開発・応用を目指す。これにより、遠隔診断による質の高い診断や必要に応じた治療も可能となり、在宅医療を受ける高齢者のQuality of Lifeを向上させることができる。
従来までの一般的な機器の操作方法は、患者眼前で対物レンズを保持し、さらにもう片手で光源を保持し、両者の角度、距離を様々な位置に変えて眼底観察を行うというものである。これは世界的にも一般的な眼底観察法であるが、検査には熟練を要し眼科医以外が行うことは不可能である。
そこで我々は、各構成を一つに収納し、片手で保持、微調整ができる機器の開発を計画した。これによって操作性は格段に向上し、眼科的訓練を受けていない者でも眼底観察が可能となる。また、本機器にカメラ部を装着することにより眼底カメラとして機能させることができ、在宅医療用、遠隔医療用の検査機器として使用することが可能となる。
眼底観察装置は日々進歩しており、様々な機能を持つ装置が各医療機器メーカーから提供されているが、眼底を広範囲にかつ容易に観察できる装置は存在しない。また、これまでにも手持型眼底カメラ、およびスマートフォンを利用した眼底観察法等が開発されてきたが、操作に熟練を要する、あるいは診断に必要な画像解像度が得られないなどの理由により、実際の在宅医療現場では応用されていなかった。
本機器は、投光部、観察部、レンズからなる従来の眼底観察機器を一体化し、片手で保持したまま眼底を容易に観察できる。また、本機器に眼底カメラ機能を持たせることにより在宅医療のほか遠隔医療への応用も可能になる。
なかでも眼底検査は最重要な検査であるが、現行の眼底検査法には熟練を要し、在宅の現場において眼科医以外が行うことは困難である。本研究では、在宅医療の現場において、誰もが簡単に眼底観察をすることができる簡便な眼底観察装置の新規開発・応用を目指す。これにより、遠隔診断による質の高い診断や必要に応じた治療も可能となり、在宅医療を受ける高齢者のQuality of Lifeを向上させることができる。
従来までの一般的な機器の操作方法は、患者眼前で対物レンズを保持し、さらにもう片手で光源を保持し、両者の角度、距離を様々な位置に変えて眼底観察を行うというものである。これは世界的にも一般的な眼底観察法であるが、検査には熟練を要し眼科医以外が行うことは不可能である。
そこで我々は、各構成を一つに収納し、片手で保持、微調整ができる機器の開発を計画した。これによって操作性は格段に向上し、眼科的訓練を受けていない者でも眼底観察が可能となる。また、本機器にカメラ部を装着することにより眼底カメラとして機能させることができ、在宅医療用、遠隔医療用の検査機器として使用することが可能となる。
眼底観察装置は日々進歩しており、様々な機能を持つ装置が各医療機器メーカーから提供されているが、眼底を広範囲にかつ容易に観察できる装置は存在しない。また、これまでにも手持型眼底カメラ、およびスマートフォンを利用した眼底観察法等が開発されてきたが、操作に熟練を要する、あるいは診断に必要な画像解像度が得られないなどの理由により、実際の在宅医療現場では応用されていなかった。
本機器は、投光部、観察部、レンズからなる従来の眼底観察機器を一体化し、片手で保持したまま眼底を容易に観察できる。また、本機器に眼底カメラ機能を持たせることにより在宅医療のほか遠隔医療への応用も可能になる。
研究方法
1)眼底観察のシミュレーション、および光学系デザイン、パーツ構成(対物レンズ、倒像鏡)について(トーメーにて)。
・機器構成: 対物レンズ、光源、ハーフミラー、光源周辺回路を検討する。
・筐体デザイン: 片手で保持、操作ができることとアタッチメント装着のためのデザインを検討する。
・光源の選定: 従来からある倒像鏡の光源特性を評価し、本機器用光源に反映させる。
・光学部材の選定: 不要な反射を防止するためのコーティングと最適な光軸を検討する。
・上記を踏まえ、一次試作のデザイン、組み立てを行う。
2)在宅医療の現場での眼科計測機器の利便性について知見を得るために、新規に開発された小型手持ち網膜電図を導入し、患者および正常者での計測を試みた。これにより、小型機器を現場で用いる際の機械構成、適正な利用状況を検討した。
・機器構成: 対物レンズ、光源、ハーフミラー、光源周辺回路を検討する。
・筐体デザイン: 片手で保持、操作ができることとアタッチメント装着のためのデザインを検討する。
・光源の選定: 従来からある倒像鏡の光源特性を評価し、本機器用光源に反映させる。
・光学部材の選定: 不要な反射を防止するためのコーティングと最適な光軸を検討する。
・上記を踏まえ、一次試作のデザイン、組み立てを行う。
2)在宅医療の現場での眼科計測機器の利便性について知見を得るために、新規に開発された小型手持ち網膜電図を導入し、患者および正常者での計測を試みた。これにより、小型機器を現場で用いる際の機械構成、適正な利用状況を検討した。
結果と考察
従来の倒像検眼鏡では、眼底を観察する際に検者の熟練が必要である。
今回の研究により、明瞭な眼底像を得るための各構成要素の位置関係がある程度、特定できたことにより、簡易型眼底観察装置が実現出来る可能性が出て来た。
また簡易型眼底観察装置に求められる要素として、現場で手軽に扱えるためのコンパクトさが挙げられる。この点を重視した際に、光源配置の3案から一番良いと考えられるのが倒像レンズ側面に光源を配置する方法である。この方法はメリットが多い代わりに構成要素の配置の許容範囲が狭くなる為、その点についてはより正確な位置関係を把握する必要がある。
今回の研究により、明瞭な眼底像を得るための各構成要素の位置関係がある程度、特定できたことにより、簡易型眼底観察装置が実現出来る可能性が出て来た。
また簡易型眼底観察装置に求められる要素として、現場で手軽に扱えるためのコンパクトさが挙げられる。この点を重視した際に、光源配置の3案から一番良いと考えられるのが倒像レンズ側面に光源を配置する方法である。この方法はメリットが多い代わりに構成要素の配置の許容範囲が狭くなる為、その点についてはより正確な位置関係を把握する必要がある。
結論
トーメー社における検討により、明瞭な眼底像を得るための各構成要素の位置関係がある程度、特定できた。これにより、簡易型眼底観察装置が実現出来る可能性が出て来た。
また簡易型眼底観察装置に求められる要素として、現場で手軽に扱えるためのコンパクトさが重要なものとして挙げられた。
これらをもとに1次試作機のデザイン、パーツ収集を開始した。
在宅医療における網膜検査においては、高齢者、とくに身体の動きが不自由な状況を想定する必要がある。今回用いた、簡易型網膜電図は、手持ち小型機である点、眼底にフラッシュ光を照射する点、および網膜の計測を行う点において、本研究の開発目的と良く一致している。今回の計測においては、通常ERG検査が困難な8歳小児でも安定した記録が可能であった。本来なら、固視移動、頭部ブレが最も懸念される状況であったが、①測定を座位ではなく仰臥位で行うこと、②眼瞼部、および前額部と本体の固定を確実に行い、手ぶれを防ぐこと、によってこれを克服できたものと思われる。
レチバルの計測法、および筐体構成は、本研究の眼底カメラ構成に大きく参考になると考えられた。
また簡易型眼底観察装置に求められる要素として、現場で手軽に扱えるためのコンパクトさが重要なものとして挙げられた。
これらをもとに1次試作機のデザイン、パーツ収集を開始した。
在宅医療における網膜検査においては、高齢者、とくに身体の動きが不自由な状況を想定する必要がある。今回用いた、簡易型網膜電図は、手持ち小型機である点、眼底にフラッシュ光を照射する点、および網膜の計測を行う点において、本研究の開発目的と良く一致している。今回の計測においては、通常ERG検査が困難な8歳小児でも安定した記録が可能であった。本来なら、固視移動、頭部ブレが最も懸念される状況であったが、①測定を座位ではなく仰臥位で行うこと、②眼瞼部、および前額部と本体の固定を確実に行い、手ぶれを防ぐこと、によってこれを克服できたものと思われる。
レチバルの計測法、および筐体構成は、本研究の眼底カメラ構成に大きく参考になると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2016-01-28
更新日
-