文献情報
文献番号
201434003A
報告書区分
総括
研究課題名
生体内分解性素材を用いた国産治療デバイスの開発-経カテーテル的心房中隔欠損孔閉鎖デバイスの開発-
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
黒部 裕嗣(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 心臓血管外科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 平田 陽一郎(東京大学医学部附属病院 小児科)
- 中山 泰介(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 心臓血管外科学分野)
- 木下 肇(徳島大学病院 心臓血管外科)
- 北川 哲也(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 心臓血管外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
46,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心房隔欠損症は、外科治療を要する小児先天性心疾患の中でも頻度の高い疾患の一つである。近年、患児負担の軽減や手術創が小さいといった美容的観点から低侵襲手術が普及しており、経カテーテル的心房中隔欠損孔閉鎖術用デバイスにより、米国では既に年間6,000-10,000例近くが施行され、我が国では施設限定があるものの、今後本デバイスを用いた施行件数はさらに増加すると考えられる。本デバイスは骨格が金属、その中に両房室間シャントを遮断するためにePTFEが填め込んだ非生体分解性素材から構成されているため、生涯にわたり体内(房室間孔)に残存する。また対象の多くが小児・若年であり、生涯体内に残存することで、その予後や安全性・心臓形態に与える影響に関しては、未知な点が多い。
今回、生体分解性素材を用いて経カテーテル的心房中隔欠損孔閉鎖用デバイスを作製し、その安全性・耐久性を確認する。
今回、生体分解性素材を用いて経カテーテル的心房中隔欠損孔閉鎖用デバイスを作製し、その安全性・耐久性を確認する。
研究方法
1.デバイス開発および大動物移植実験
安全性と機能評価実験のため大動物を使用し、直視下に開胸し右心房壁に開発中デバイスを装着し、安全性やエコーなどによる機能評価、組織変化についての評価を行う。
順調に本デバイスの安全性が期待できると判断に至った場合、実際に開胸下または経カテーテル的にASD孔を作製し、そこに開発予定のデリバリー用カテーテルと本デバイスを挿入し、操作性・機能性・安全性について評価を予定する。臨床研究実施に向けたデーター採取を予定している。本試験にあたっては、ASD孔作製やその手術に人工心肺を必要とする操作が・手技が必須であり、コスト的にも国内より有利な海外施設での実施を予定する。
2.画像追跡・組織評価
大動物移植後のデバイス変化を、主にエコーにて評価を予定する。Sacrifice を行ったあと移植部の組織および必要臓器を採取し、
(1)移植デバイスの分解程度
(2)自己組織の浸潤程度
(3)脳梗塞(肺梗塞)
(4)その他合併症
の有無等の機能・安全性評価を行い、臨床治験に向けたデーター収集を行う。また問題点があれば、随時改良を行い、追試を行う。
3.オーダーメードデバイスの開発
ASD 孔の形状や大きさは患児・患者によって様々であることが知られ、個々の形状に合ったデバイスを選択することが、術後の合併症リスクを低減する上でメリットがあるのではないかと考えられる。
今回使用するPGA (Poly-glycosic acid)は、金属に比べて比較的加工しやすい物性特製を有しており、普及しつつある3Dプリンターを活用にすることにより、個々の形状に合ったデバイス作製が出来るのではないかと考え研究を進めている。
安全性と機能評価実験のため大動物を使用し、直視下に開胸し右心房壁に開発中デバイスを装着し、安全性やエコーなどによる機能評価、組織変化についての評価を行う。
順調に本デバイスの安全性が期待できると判断に至った場合、実際に開胸下または経カテーテル的にASD孔を作製し、そこに開発予定のデリバリー用カテーテルと本デバイスを挿入し、操作性・機能性・安全性について評価を予定する。臨床研究実施に向けたデーター採取を予定している。本試験にあたっては、ASD孔作製やその手術に人工心肺を必要とする操作が・手技が必須であり、コスト的にも国内より有利な海外施設での実施を予定する。
2.画像追跡・組織評価
大動物移植後のデバイス変化を、主にエコーにて評価を予定する。Sacrifice を行ったあと移植部の組織および必要臓器を採取し、
(1)移植デバイスの分解程度
(2)自己組織の浸潤程度
(3)脳梗塞(肺梗塞)
(4)その他合併症
の有無等の機能・安全性評価を行い、臨床治験に向けたデーター収集を行う。また問題点があれば、随時改良を行い、追試を行う。
3.オーダーメードデバイスの開発
ASD 孔の形状や大きさは患児・患者によって様々であることが知られ、個々の形状に合ったデバイスを選択することが、術後の合併症リスクを低減する上でメリットがあるのではないかと考えられる。
今回使用するPGA (Poly-glycosic acid)は、金属に比べて比較的加工しやすい物性特製を有しており、普及しつつある3Dプリンターを活用にすることにより、個々の形状に合ったデバイス作製が出来るのではないかと考え研究を進めている。
結果と考察
1.デバイス開発および大動物移植実験
デバイス開発ではおおむね動物実験に耐えうるレベルにまで改良が進み、12月から大動物移植実験をまず心房壁を利用して施行できるに至った。
今後の課題としては、8-9Frシースに収納し、Re-lease時に形状を崩さないよう維持させることを重点に、改良を進めている。
平行して、それらデバイスを用いて、大動物実験をオハイオ州立大学と国内大動物実験施設で施行している。本年度は、デバイス評価のために13個心房壁への移植と、2個の皮下への埋没を行い、その安全性・組織変化評価のために試験を行い、現在解析中である。
一方でデリバリーカテーテルの開発が急務で、2015年度早期での実施を目指し、開発継続中である。
2.画像評価・組織評価に関して
今回移植した大動物に、移植後、死亡した症例は認めなかった。
経胸壁エコーを用いた画像評価を移植後2ヶ月毎に予定し実施した。今回、右心房壁を用いての移植実験のため、右房腔の状態と三尖弁逆流の評価を行ったが、デバイス移植後も有害事象は認めなかった。また肺高血圧所見も認めて居らず、血栓等による肺塞栓症状も認めなかった。以上のことより、本デバイスによるマクロ的な有害事象は、現時点では認めることは無かった。
また、組織に関しては、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、12ヶ月でのSacrificeを予定し、その安全性、周囲組織との適合性について組織染色を行い評価した(一部は次年度に繰り越し実施継続中)。結果は既に2ヶ月後にはデバイス表面に良好な内膜形成を認めており、血栓等の付着所見も認めなかった。
デバイス開発ではおおむね動物実験に耐えうるレベルにまで改良が進み、12月から大動物移植実験をまず心房壁を利用して施行できるに至った。
今後の課題としては、8-9Frシースに収納し、Re-lease時に形状を崩さないよう維持させることを重点に、改良を進めている。
平行して、それらデバイスを用いて、大動物実験をオハイオ州立大学と国内大動物実験施設で施行している。本年度は、デバイス評価のために13個心房壁への移植と、2個の皮下への埋没を行い、その安全性・組織変化評価のために試験を行い、現在解析中である。
一方でデリバリーカテーテルの開発が急務で、2015年度早期での実施を目指し、開発継続中である。
2.画像評価・組織評価に関して
今回移植した大動物に、移植後、死亡した症例は認めなかった。
経胸壁エコーを用いた画像評価を移植後2ヶ月毎に予定し実施した。今回、右心房壁を用いての移植実験のため、右房腔の状態と三尖弁逆流の評価を行ったが、デバイス移植後も有害事象は認めなかった。また肺高血圧所見も認めて居らず、血栓等による肺塞栓症状も認めなかった。以上のことより、本デバイスによるマクロ的な有害事象は、現時点では認めることは無かった。
また、組織に関しては、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、12ヶ月でのSacrificeを予定し、その安全性、周囲組織との適合性について組織染色を行い評価した(一部は次年度に繰り越し実施継続中)。結果は既に2ヶ月後にはデバイス表面に良好な内膜形成を認めており、血栓等の付着所見も認めなかった。
結論
移植デバイスの開発・改良に関しては一定の成果が期待できる状況にある。また、その安全性についても、in vitro大動物実験を見る限り問題ないと思われる。
一方でデリバリーカテーテルの開発が当初目論見より遅れており、次年度大動物実験まで持って行けるように、開発を急ぐ予定である。
平行して、認証取得に向けて、PMDAとの薬事戦略相談を次年度は施行していく予定である。
一方でデリバリーカテーテルの開発が当初目論見より遅れており、次年度大動物実験まで持って行けるように、開発を急ぐ予定である。
平行して、認証取得に向けて、PMDAとの薬事戦略相談を次年度は施行していく予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-07
更新日
-