文献情報
文献番号
201432011A
報告書区分
総括
研究課題名
セル・バンク等を構築する幹細胞等由来製品のウイルス否定試験における評価技術要件に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
- 松山 晃文(独立行政法人 医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 難治性疾患治療開発・支援室)
- 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
幹細胞等を用いる再生医療製品は生きている細胞をその本質としており、ウイルスの不活化工程などを採用することができず、ウイルス検査や安全な原料や原材料の使用に重点が置く必要がある。特に同種細胞を用いる場合や自己由来幹細胞でも脳内への投与などのより高度な安全性を担保しなければならない製品では、インビトロウイルス試験の役割が大きい。特に多数の患者に投与されるような同種細胞製品の場合には、ICH Q5Aに沿ったウイルス検査の実施が望ましい。本研究では、最適化した細胞とウイルスランコントロールを広く使用できるようにすることにより、幹細胞等を用いた再生医療の推進を図ることを1つの目的とする。
また再生医療製品に用いる血清や抗体、増殖因子などの生物由来原料については、ウイルス等の感染因子の汚染リスクが存在するが、細胞ごとに使用する原材料が異なるにもかかわらず、必ずしもウイルス安全性が明確になっているものが入手可能というわけではない。そこで共通して用いることができるウイルスクリアランス工程評価を先導的に実施する。また、ウイルス不活化工程が明確でない場合に用いることのできるUV法などの評価を行う。
また再生医療製品に用いる血清や抗体、増殖因子などの生物由来原料については、ウイルス等の感染因子の汚染リスクが存在するが、細胞ごとに使用する原材料が異なるにもかかわらず、必ずしもウイルス安全性が明確になっているものが入手可能というわけではない。そこで共通して用いることができるウイルスクリアランス工程評価を先導的に実施する。また、ウイルス不活化工程が明確でない場合に用いることのできるUV法などの評価を行う。
研究方法
インビトロウイルス試験の汎用されるVero細胞とMRC-5細胞を取り上げ、インビトロウイルス試験の最適化を行った。特にVero細胞に関しては日本細胞バンクに保存されている樹立からそれほど継代されていない細胞を入手し、さらにクローニングを行った。クローにイグした細胞を用いてHSV-1、Poliovirus、Sindbis virusを感染させ、最も効率よく増幅するクローンを選択した。
一方、インビトロウイルス試験において混入してくる可能性あるウイルスをより濃い率的に検出するためにその試験条件の最適化を行った。細胞培養条件では複数のグロースファクターや増殖因子の影響を検討した。
原材料のウイルス安全性に関しては汎用されているブタトリプシンについて原材料としての安全性評価法について調査すると共に、これまでブタ由来原料を用いた場合に混入が懸念されていたブタサーコウイルスのNAT検出法について検討を行った。このためにブタサーコウイルスの遺伝子が保持されている細胞株を試験におけるランコントロールとして使用するために解析を行った。
一方、インビトロウイルス試験において混入してくる可能性あるウイルスをより濃い率的に検出するためにその試験条件の最適化を行った。細胞培養条件では複数のグロースファクターや増殖因子の影響を検討した。
原材料のウイルス安全性に関しては汎用されているブタトリプシンについて原材料としての安全性評価法について調査すると共に、これまでブタ由来原料を用いた場合に混入が懸念されていたブタサーコウイルスのNAT検出法について検討を行った。このためにブタサーコウイルスの遺伝子が保持されている細胞株を試験におけるランコントロールとして使用するために解析を行った。
結果と考察
Vero細胞の樹立後、継代数の少ないJCRB NIHS0111株をクローニングし、ウイルス感受性の高い細胞株を選択した。クローニングしたJCRB NIHS0111株由来細胞を用いてVero細胞に指向性があるPoliovirus、Sindbis virus、HSV-1に対する感受性について解析してみたところ、ウイルスごとに感受性に差異があるものの複数のウイルスに共通して感受性のある細胞が見出された。この中で2つのクローンを選択して、増殖能などを含めて評価を行い、クローン2を最終的に選択した。
インビトロウイルス試験で、培養条件に影響する因子の検討を行い、Vero細胞をピルビン酸やインスリン/トラスフェリン/セレニウムを添加した場合にウイルスの増幅性が異なることが明らかになり、最適なウイルス増幅条件はウイルスの種類によって異なるが明らかになった。
再生医療/細胞治療では接着細胞の培養にブタトリプシンが汎用されている。このためにブタに検出されるウイルスに対する安全性確保が重要となる。EMAはバイオ医薬品に利用されるブタトリプシンについてガイドラインを発出している。ブタトリプシンなどブタ由来原材料のウイルス安全性に関してはブタサーコウイルス(PCV)の考慮する必要があることから、PCVの検査のための陽性コントロールとしてCCL33細胞の評価を行った。CCL33細胞はPCV抗原を発現している細胞であり、PCVゲノムが細胞染色体に組込まれていると想定されている。CCL33細胞をPCVのNAT検出の陽性コントロールとするために2つのプライマーセットの検出能を検討したところ、PCVD1/D3のプライマーセットが有用であることが示された。
幹細胞の培養工程や加工で用いられる添加剤等の原材料のウイルス安全性に関連して、ウイルスクリアランスが期待できる工程として陰イオン交換クロマトグラフィー工程のウイルスクリアランス能を解析することで、共通して使えるLRFを明らかにすることができると考える。
インビトロウイルス試験で、培養条件に影響する因子の検討を行い、Vero細胞をピルビン酸やインスリン/トラスフェリン/セレニウムを添加した場合にウイルスの増幅性が異なることが明らかになり、最適なウイルス増幅条件はウイルスの種類によって異なるが明らかになった。
再生医療/細胞治療では接着細胞の培養にブタトリプシンが汎用されている。このためにブタに検出されるウイルスに対する安全性確保が重要となる。EMAはバイオ医薬品に利用されるブタトリプシンについてガイドラインを発出している。ブタトリプシンなどブタ由来原材料のウイルス安全性に関してはブタサーコウイルス(PCV)の考慮する必要があることから、PCVの検査のための陽性コントロールとしてCCL33細胞の評価を行った。CCL33細胞はPCV抗原を発現している細胞であり、PCVゲノムが細胞染色体に組込まれていると想定されている。CCL33細胞をPCVのNAT検出の陽性コントロールとするために2つのプライマーセットの検出能を検討したところ、PCVD1/D3のプライマーセットが有用であることが示された。
幹細胞の培養工程や加工で用いられる添加剤等の原材料のウイルス安全性に関連して、ウイルスクリアランスが期待できる工程として陰イオン交換クロマトグラフィー工程のウイルスクリアランス能を解析することで、共通して使えるLRFを明らかにすることができると考える。
結論
幹細胞等を用いる再生医療製品のウイルス安全性に関して、インビトロ試験の最適化を行った。また、細胞の加工に用いる原材料のウイルス安全性に関してブタサーコウイルスの安全性に関する検討を行った。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-