文献情報
文献番号
201429027A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時に向けた公衆衛生情報基盤の構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-健危-指定-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
金谷 泰宏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 奥田 博子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 石峯 康浩(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
- 吉田 穂波(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
- 鶴和 美穂(国立災害医療センター 臨床研究部)
- 渡 路子(国立精神・神経医療研究センター/精神保健研究所災害時こころの情報支援センター)
- 笠岡(坪山) 宜代(国立健康・栄養研究所栄養疫学研究部)
- 北川 明(防衛医科大学校)
- 原田 奈穂子(防衛医科大学校)
- 坪川 トモ子(新潟青陵大学 看護福祉心理学部 看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、災害時公衆衛生システムにより被災地域の公衆衛生情報とDMAT、DPAT等の支援チームが有する情報との互換性を検討するとともに、収集された情報を評価・分析するためのツールの開発を進める。また、保健師向けの機能の強化の一環として、「大規模災害における保健師の活動マニュアル」のシステムへの取り込みを進めるとともに端末操作ならびに教育訓練プログラムの開発を行う。
研究方法
(1)災害時における公衆衛生情報基盤の構築
クラウド技術と顧客管理(CRM)システムを採用した災害時公衆衛生システムを用い、調査報告様式を参考に調査項目を抽出し、アセスメントの目的に応じた項目の整理を行う。更に、保健部門が災害時に活用すべき項目について、保健関係者と検証し検討、整理を行う。また、栄養管理に関する項目も検証する。
(2)災害時における保健活動の高度化
前年度検討した研修プログラム案をベースに目標や方法の一部を修正し、シミュレーション演習プログラムを策定した。グループワーク演習時の反応、協議結果内容の分析、事後意見交換から演習プログラムの効果について検証を行う。
(3)災害時における要援護者情報の把握
①妊婦、乳幼児対策に関する情報の収集
ワーキング・グループにて母子救護マニュアル等災害時に必要となる様々なツールを開発し、各研修で検証、改善を行う。
②災害時における精神保健医療情報の収集
DMHISS(災害精神保健医療情報支援システム)で得られる項目について、各フェーズで把握すべき情報項目の抽出を行う。
(4)自衛隊衛生部門と保健行政の連携
避難所に対する救護活動を実施する自衛隊の衛生部隊と保健行政との相互連携について防衛省・自衛隊衛生部局関係者に対するヒアリング行い、災害時に向けた平時からの連携の在り方について課題の抽出を行う。また、DMAT隊員に対する聞き取り調査を行い、防衛省・自衛隊と共有すべき情報について検討するる。
(5)被災者支援に向けたアセスメント手法の構築
東日本大震災の発災当時における避難所支援の課題について、国際的な人道支援の観点から発災直後から復興期に至るまでの期間においてアセスメントに求められる項目とシステム調査項目との整合性の検証を行う。
(6)国事業への反映
本研究の成果については、国の委託を受けて国立保健医療科学院が実施する健康危機管理研修、災害時公衆衛生情報支援システムへの反映を行う。
クラウド技術と顧客管理(CRM)システムを採用した災害時公衆衛生システムを用い、調査報告様式を参考に調査項目を抽出し、アセスメントの目的に応じた項目の整理を行う。更に、保健部門が災害時に活用すべき項目について、保健関係者と検証し検討、整理を行う。また、栄養管理に関する項目も検証する。
(2)災害時における保健活動の高度化
前年度検討した研修プログラム案をベースに目標や方法の一部を修正し、シミュレーション演習プログラムを策定した。グループワーク演習時の反応、協議結果内容の分析、事後意見交換から演習プログラムの効果について検証を行う。
(3)災害時における要援護者情報の把握
①妊婦、乳幼児対策に関する情報の収集
ワーキング・グループにて母子救護マニュアル等災害時に必要となる様々なツールを開発し、各研修で検証、改善を行う。
②災害時における精神保健医療情報の収集
DMHISS(災害精神保健医療情報支援システム)で得られる項目について、各フェーズで把握すべき情報項目の抽出を行う。
(4)自衛隊衛生部門と保健行政の連携
避難所に対する救護活動を実施する自衛隊の衛生部隊と保健行政との相互連携について防衛省・自衛隊衛生部局関係者に対するヒアリング行い、災害時に向けた平時からの連携の在り方について課題の抽出を行う。また、DMAT隊員に対する聞き取り調査を行い、防衛省・自衛隊と共有すべき情報について検討するる。
(5)被災者支援に向けたアセスメント手法の構築
東日本大震災の発災当時における避難所支援の課題について、国際的な人道支援の観点から発災直後から復興期に至るまでの期間においてアセスメントに求められる項目とシステム調査項目との整合性の検証を行う。
(6)国事業への反映
本研究の成果については、国の委託を受けて国立保健医療科学院が実施する健康危機管理研修、災害時公衆衛生情報支援システムへの反映を行う。
結果と考察
(1)災害時公衆衛生システムより登録された項目を自動的にCSV形式で災害派遣システムと相互に交換できる構造とした。また、被災都道府県からの派遣ニーズに合致した職員を最適かつ迅速にマッチングできるシステムの構築を行い、新H-CRISISに組み込む段階まで進めることができた。
(2)災害時には自治体内の保健活動の中枢として役割が担えるとともに、平常時においても災害に備えた体制整備の推進者となりうることを目標とする実践演習を含めた保健師のリーダー養成研修プログラムを検討した。
(3)①災害時に母子を扱う制度設計がなされていない為、平時より関係者が次世代に関する連携を作り、人間関係を構築する必要性が明らかになった。
②DMHISSで得られる項目としては、チーム名、班名、所属、派遣期間等が挙げられ、チーム全体の活動から個々の相談対応レベルまでの活動記録が集約可能であった。
(4)有識者と意見交換をし、方向性について議論を行った。また、有事における情報収集・共有の重要性に関する方針確認を行った。
(5)東日本大震災における避難所支援の課題について協議を重ね、項目の精緻化を図った。また、災害医療支援者のアセスメント能力の向上を目指し、国際基準を活用した研修プログラムを開催し実用性との整合性検証を行った。実践を伴う基盤構築を目標に、保健医療関係者や保健医療系学生に対し収集時の困難な状況やその対応策について情報収集した。
(2)災害時には自治体内の保健活動の中枢として役割が担えるとともに、平常時においても災害に備えた体制整備の推進者となりうることを目標とする実践演習を含めた保健師のリーダー養成研修プログラムを検討した。
(3)①災害時に母子を扱う制度設計がなされていない為、平時より関係者が次世代に関する連携を作り、人間関係を構築する必要性が明らかになった。
②DMHISSで得られる項目としては、チーム名、班名、所属、派遣期間等が挙げられ、チーム全体の活動から個々の相談対応レベルまでの活動記録が集約可能であった。
(4)有識者と意見交換をし、方向性について議論を行った。また、有事における情報収集・共有の重要性に関する方針確認を行った。
(5)東日本大震災における避難所支援の課題について協議を重ね、項目の精緻化を図った。また、災害医療支援者のアセスメント能力の向上を目指し、国際基準を活用した研修プログラムを開催し実用性との整合性検証を行った。実践を伴う基盤構築を目標に、保健医療関係者や保健医療系学生に対し収集時の困難な状況やその対応策について情報収集した。
結論
大規模災害時に保健、医療、福祉に関する情報収集の重要性が認識されてきたが、避難所活動、救護活動から得られる情報を保健サイドのみで収集することは、人的、技術的にも限界がある。この解決には保健行政と医療者側の役割分担と連携、各々をつなぐ情報ネットワークの構築が不可欠である。災害の規模が広域に及ぶ場合、DMATからの情報提供とシステム間で情報交換を可能とし、EMISと災害時保健医療クラウドシステム間で調査項目の属性の共通化が不可欠である。本研究にて調査項目の属性を整理した次の段階として、調査結果に基づき、地域アセスメントに関するアルゴリズムの開発とこれを用いた研修システムの開発が求められる。
公開日・更新日
公開日
2015-10-22
更新日
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