アカントアメーバ角膜炎制御にむけたコンタクトレンズケアの実態調査

文献情報

文献番号
201427046A
報告書区分
総括
研究課題名
アカントアメーバ角膜炎制御にむけたコンタクトレンズケアの実態調査
課題番号
H25-医薬-指定-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 裕一(愛媛大学 医学系研究科視機能外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 洋(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部眼科学分野)
  • 白石 敦(愛媛大学 医学系研究科視機能外科学分野 )
  • 井上 智之(愛媛大学 医学系研究科 視機能外科学分野)
  • 鈴木 崇(愛媛大学 医学系研究科 視機能外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コンタクトレンズ(CL)は高度医療機器であり、使用方法を誤ると合併症を引き起こし、眼部に障害を与える可能性がある。我々はアカントアメーバにかかわるレンズケアの重要性について検討した中において、レンズケア用品の製品の抗アメーバ効力の低下に加えて、コンタクトレンズのケアが不十分なことが発症に寄与していることを示した。その調査の中で、視力矯正目的でなく、美容目的でカラーCL装用者が存在することが明らかになった。
 カラーCL装用者は若年者を中心に増加傾向にあるといわれているが、その実態については装用者人口、ケア状態などほとんどが不明な状態である。カラーCL装用によるアカントアメーバ角膜炎を含む眼障害を制御するためには、確実な情報収集が不可欠となる。本研究では、アカントアメーバ角膜炎の発症とカラーCL眼障害に焦点を絞り、解決策、対応策を検討することとした。
研究方法
1. アカントアメーバ角膜炎の定点調査
全国の医療機関から人口、地域性など考慮して、アカントアメーバ角膜炎患者が紹介されることの多い基幹病院を調査定点として選択し、アカントアメーバ角膜炎の発生状況、臨床所見、レンズの種類やケア状況に関する調査を行う。調査結果よりアカントアメーバ角膜炎発症の危険因子を検討する
2. カラーCLの基礎学的検討
医療機関で販売している視力矯正目的のカラーCLにくわえて、インターネットや量販店で販売されている海外製のカラーCLに対して、走査型電子顕微鏡で表面構造を観察する。本年度は菌とカラーCLの接着率についてさらに検討を進め、カラーCLの角膜への影響を調査するために、ウサギにカラーCLもしくは従来型CLを装用し、装用前後で角膜厚・角膜体積・前眼部所見などを比較する。
3. カラーCL障害の定点調査
松山市内の眼科診療所を調査定点とし、今年度は一年間に診療したカラーCL装用に伴う眼障害について、その臨床所見、発症背景、カラーCL購入先、ケア状況、治療への反応性について解析し、その発症数、発症状況を確認する。
4. カラーCL疫学調査
愛媛県内の高校、大学、購入者背景、カラーCLの購入先、装用状況、ケア状況について、愛媛県の高校、大学、専門学校の協力の元、若年者を対象に、アンケート調査を行う。調査内容としては、カラーCLの購入方法、カラーCLに対するケア状況、カラーCL装用に至る経緯、カラーCLに関する情報入手方法、カラーCL装用に伴う眼部自覚症状、カラーCL装用による美容的効果について調査をし、カラーCLの現状を確認する。
結果と考察
1. アカントアメーバ角膜炎の定点調査
アカントアメーバ角膜炎症例数の激減により、検討するのに十分な症例数が得られないことが判明した。そのため、アカントアメーバ角膜炎のみならず、CL装用者の重篤な角膜感染症である緑膿菌角膜炎を加えて、さらに十分な症例数を得るために、検討期間を平成24年から27年の間の症例をレトロスペクティブに検討することとした。
2. カラーCLの基礎学的検討
各種カラーCLの表面構造を走査型電子顕微鏡で確認したところ、いくつかのカラーCLにおいて、CL表面に色素塗布による凹凸が確認された。さらに、カラーCLと黄色ブドウ球菌を一定期間培養し、カラーCL表面に付着している菌量を測定したところ、いくつかのカラーCLで付着細菌数の増加が認められた。また、カラーCLをウサギに装用し、角膜障害の有無を確認したところ、いくつかのカラーCLにおいて角膜障害を認めた。カラーCLの中には表面に凹凸のあるものが存在し、そのことが細菌汚染の助長、さらには機械的な角膜障害を起こす可能性が考えられた。
3. カラーCL障害の定点調査
平成25年度に引き続き、松山市におけるカラーCL障害の定点調査を計画していたが、日本コンタクトレンズ学会施行のカラーCL障害調査の時期と重なっていることもあり、障害症例の重複も考慮し、検討時期の変更、定点施設の変更を行う予定である。
4. カラーCL疫学調査
平成26年度は、平成25年度のアンケート内容に加えて、カラーCLにおける意識調査も行った。現在、アンケートを集計解析中である。
結論
カラーCLの実態調査によって、カラーCLの装用率やカラーCL眼障害の実態が明らかになり、有益な成果が得られたものと考えられる。また。基礎学的検討によって、カラーCLの危険性の一部が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201427046Z