抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集を目的とした国立病院機構職員を対象とするB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性及び皮下投与法と筋肉内投与法の比較に関する研究

文献情報

文献番号
201427022A
報告書区分
総括
研究課題名
抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集を目的とした国立病院機構職員を対象とするB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性及び皮下投与法と筋肉内投与法の比較に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-017
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター)
  • 山下 晴弘(独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター)
  • 林 亨(独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター)
  • 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター)
  • 酒井 浩徳(独立行政法人国立病院機構 別府医療センター)
  • 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構 南和歌山医療センター)
  • 長沼 篤(独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター)
  • 高橋 宏尚(独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院)
  • 上司 裕史(独立行政法人国立病院機構 東京病院)
  • 西田 一雄(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 松崎 浩史(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 内田 茂治(日本赤十字社 血液事業本部中央血液研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、現在その殆どを海外に依存している抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)製造用原料血漿を国内献血者から収集する方策を確立させるために、国立病院機構(NHO)職員を対象として、B型肝炎ワクチン追加接種の有効性と安全性を明らかにするとともに、皮下投与法と筋肉内投与法の投与法による差異についても明らかにすることを目的とする。
研究方法
 国立病院機構に勤務する医療従事者のうち、現在もしくは過去にHBs抗体を保有する事が確認されている者(感作者)で、かつ、本研究を理解しB型肝炎ワクチンの追加免疫に同意する者を対象にHBワクチン10μgを皮下投与群と筋肉内投与群に分けて投与をおこない、投与1ヶ月後のHBs抗体価を測定するとともに、HBワクチン投与に伴う有害事象の発生頻度を検討した。
結果と考察
 2回目のHBワクチン投与は、2014年3月末までに、1,139名に対して投与を終了した。皮下投与群は648名、筋肉内投与群は491名であった。なお、投与法は1回目投与時とは異なる投与法(1回目筋肉内投与の場合には2回目投与は皮下投与に、1回目皮下投与の場合には2回目投与は筋肉内投与に)変更しておこなった。
 HBワクチン投与1ヶ月のHBs抗体価(皮下投与群/筋肉内投与群)は、HBs抗体価で10000mIU/mLを示した者の頻度は、(10.2%/17.4%:P<.01)で、いずれも皮下投与群に比して筋肉内投与群で高いHBs抗体価が獲得された。
 有害事象全体の発生頻度を皮下投与群と筋肉内投与群で比較した。全身性反応は、皮下投与群で3.6%、筋肉内投与群で4.5%で両群間に差は見られなかったが、局所性反応は皮下投与群で32.2%、筋肉内投与群で19.6%で、前者で有意に高い発生頻度を示した。有害事象の程度は、いずれも軽微なもので重篤な事象は報告されなかった。
 HBワクチン投与後にHBs抗体価10000mlU以上が得られる因子は、2回目投与後においては、①初回接種後HBsAg>6815mlU/mlであること、②筋肉内投与であること、③初回接種前HBsAb>100mlU/mlであること、であった。
 HBワクチンの2回目投与においても、有効性、安全性の観点からは、皮下投与法よりも筋肉内投与が優っていると考えられ、HBワクチンの投与法としては、皮下投与法よりも筋肉内投与を推奨すべきと考えられた。
結論
 HBワクチンの投与法については、有効性、安全性の観点からは、皮下投与法よりも筋肉内投与を推奨すべきと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-01-22
更新日
-

文献情報

文献番号
201427022B
報告書区分
総合
研究課題名
抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集を目的とした国立病院機構職員を対象とするB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性及び皮下投与法と筋肉内投与法の比較に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-017
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター)
  • 山下 晴弘(独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター)
  • 林 亨(独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター)
  • 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター)
  • 酒井 浩徳(独立行政法人国立病院機構 別府医療センター)
  • 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構 南和歌山医療センター)
  • 長沼 篤(独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター)
  • 高橋 宏尚(独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院)
  • 上司 裕史(独立行政法人国立病院機構 東京病院)
  • 西田 一雄(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 松崎 浩史(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 内田 茂治(日本赤十字社 血液事業本部中央血液研究所)
  • 高木 均(独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センター)
  • 平嶋 昇(独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院)
  • 平田 啓一(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター)
  • 矢倉 道泰(独立行政法人国立病院機構 東京病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、現在その殆どを海外に依存している抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)製造用原料血漿を国内献血者から収集する方策を確立させるために、国立病院機構(NHO)職員を対象として、B型肝炎ワクチン追加接種の有効性と安全性を明らかにするとともに、皮下投与法と筋肉内投与法の投与法による差異についても明らかにすることを目的とする。
研究方法
 国立病院機構に勤務する医療従事者のうち、現在もしくは過去にHBs抗体を保有する事が確認されている者(感作者)で、かつ、本研究を理解しB型肝炎ワクチンの追加免疫に同意する者を対象にHBワクチン10μgを皮下投与群と筋肉内投与群に分けて投与をおこない、投与1ヶ月後のHBs抗体価を測定するとともに、HBワクチン投与に伴う有害事象の発生頻度を検討した。
結果と考察
 HBワクチンは1年空けて2回投与をおこない、投与法は1回目投与時とは異なる投与法(1回目筋肉内投与の場合には2回目投与は皮下投与に、1回目皮下投与の場合には2回目投与は筋肉内投与に)変更しておこなった。
 有害事象全体の発生頻度については、1回目投与、2回目投与ともに、全身性反応は皮下投与群と筋肉内投与群で両群間に差は見られなかったが、局所性反応は皮下投与群では筋肉内投与群よりも有意に高い発生頻度を示した。報告された有害事象の程度は、いずれも軽微なもので重篤な事象はみられなかった。
 HBワクチン投与後にHBs抗体価10000mlU以上の抗体価が得られるか否かに関しても、1回目投与、2回目投与ともに、皮下投与群に比して筋肉内投与群で有意に反応は良好であった。
 HBワクチン投与後にHBs抗体価10000mlU以上が得られる因子は、1回目投与後においては、①接種前HBsAb (CL4800)>100mlU/mLであること、②HBcAb陰性であること、③女性であること、④40才以下であること、⑤筋肉内投与であること、であった。
 2回目投与後においては、①初回接種後HBsAg>6815mlU/mlであること、②筋肉内投与であること、③初回接種前HBsAb>100mlU/mlであること、であった。
 HBワクチン投与後にHBs抗体価10000mlU以上累積達成率は、1回目接種前1,385名(0.3%)、1回目接種後1,384名(24.0%)、2回目接種前1,244名(24.1%)、2回目接種後1,121名(28.4%)であった。
 献血行動調査に関しては、1回目1,248名中81名(6.49%)、2回目952名中75名(7.88%)であった。
 HBワクチンの投与を2回おこなった結果、1回目投与、2回目投与ともに、有効性、安全性の観点からは、皮下投与法よりも筋肉内投与が優っていると考えられ、HBワクチンの投与法としては、皮下投与法よりも筋肉内投与を推奨すべきと考えられた。
結論
 HBワクチンの投与法については、有効性、安全性の観点からは、皮下投与法よりも筋肉内投与を推奨すべきと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201427022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 現在その殆どを海外に依存している抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)製造用原料血漿の国内自給体制を確立する為に、HBワクチン既投与者を対象として、HBワクチンの追加投与をおこない、投与前後のHBs抗体価を評価することで、HBIG原料血漿収集の国内自給を目指した能動的血漿収集法の基礎的検討データを作成した。
臨床的観点からの成果
 有害事象全体の発生頻度については、1回目投与、2回目投与ともに、全身性反応は皮下投与群と筋肉内投与群で両群間に差は見られなかったが、局所性反応は皮下投与群では筋肉内投与群よりも有意に高い発生頻度を示した。報告された有害事象の程度は、いずれも軽微なもので重篤な事象はみられなかった。
 HBワクチン投与後にHBs抗体価10000mlU以上の抗体価が得られるか否かに関しても、1回目投与、2回目投与ともに、皮下投与群に比して筋肉内投与群で有意に反応は良好であった。
ガイドライン等の開発
 特に無し。
その他行政的観点からの成果
 本研究班の成果を元に、日本赤十字社が委託を受けた、厚生労働省の委託事業である「平成26年度特殊製剤国内自給向上対策事業」(特殊免疫グロブリン製剤である抗HBs人免疫グロブリン(HBIG))が開始となった。
その他のインパクト
学会発表
1) 八橋 弘.<シンポジウム>HBIG製剤の国内自給を目指したHBワクチンプロジェックト.第36回日本血液事業学会総会.仙台 2012.10.17-19.
2) 八橋 弘,西田一雄.<シンポジウム> HBIG原料血漿確保のためのワクチン接種の有効性と安全性.第62回日本輸血・細胞治療学会総会.奈良 2014.5.15-17.

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
八橋 弘
抗体を用いた医療-血清療法から抗体医薬まで,免疫グロブリン製剤,抗HBs人免疫グロブリン製剤(hepatitis B immunoglobulin:HBIG)
臨床と微生物 , 39 (5) , 415-420  (2012)
原著論文2
八橋 弘
【家庭医のためのワクチン・プラクティス】知っておきたい任意接種ワクチンB型肝炎ワクチン(解説/特集)
JIM , 22 (9) , 664-664  (2012)
原著論文3
八橋 弘,長岡進矢
臨床医からの質問に答える,B型肝炎ワクチンの抗体獲得率と,抗体が獲得できない者への対応を教えてください
検査と技術 , 42 (1) , 60-63  (2014)

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
2021-05-28

収支報告書

文献番号
201427022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,500,000円
(2)補助金確定額
12,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,626,002円
人件費・謝金 0円
旅費 1,175,316円
その他 698,704円
間接経費 2,000,000円
合計 12,500,022円

備考

備考
預金利息が22円ついた為

公開日・更新日

公開日
2021-05-13
更新日
-