文献情報
文献番号
201426027A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の食中毒菌等の遺伝特性及び制御に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-食品-一般-014
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大西 貴弘(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
- 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌部)
- 小西 良子(麻布大学・生命・環境科学部)
- 堀川 和美(福岡県保健環境研究所 病理細菌課)
- 黒木 俊郎(神奈川県衛生研究所 企画情報部)
- 斉藤 志保子(秋田県健康環境センター 保健衛生部)
- 久米田 裕子(大阪府立公衆衛生研究所 細菌課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食中毒事例の早期原因食品究明のためには、平常時における各自治体が行う食品中の食中毒菌のサーベイランスを充実しその情報を効率的、有効的に活用することが重要である。そのために分子疫学解析マーカーを確立し、タイピング手法に役立てることが必要である。そこで、地方衛生研究所でも実施可能な簡便でかつ、各検査機関間で結果の比較を行いやすいタイピング手法を確立する。さらに食中毒の制御の観点から、輸入品等の病原微生物検査に適用されるサンプリングプランについて国際的慣行との調和を考える必要がある。そこで本研究ではコーデックス規格等の国際標準と我が国の汚染実態を考慮したサンプリングプランも合わせて検討する。
研究方法
<サルモネラに関する研究>
本研究では血清型別の一助としてfljB遺伝子とhin遺伝子を対象としたmultilocus sequence typing (MLST) の有用性について検討した。
<黄色ブドウ球菌に関する研究>
黄色ブドウ球菌食中毒15事例由来51株、有症苦情・他病原食中毒10事例由来24株の黄色ブドウ球菌についてPOT法、MLVA法、PFGE法により遺伝子型別を実施した。また、ブドウ球菌エンテロトキシン(SAE)のsea~sei遺伝子の保有状況についてPCR法により調査した。
<ウエルシュ菌に関する研究>
簡便でかつ短時間で結果が得られ信頼性の高いウェルシュ菌のタイピング手法を開発する。そのために23のハウスキーピング遺伝子および病原遺伝子の有無をPCRで判定する方法を検討した。
<カンピロバクターに関する研究>
Campylobater jejuniにおける特定の遺伝子の有無をPCR法により検出することにより型別を行うcomparative genomic fingerprinting法(CGW法)がサーベイランスに有用であるか検討を行い、従来のPFGE法と結果を比較した。
<サンプリングプランに関する研究>
病原微生物検査に適したサンプリングプランに関しては、米国や諸外国と比べて我が国のそれは大きく異なる。そこで、サンプリングプランによる検出頻度とその妥当性について諸外国の情報を収集し比較検討を行うとともに、サンプリングプランの実験室レベルでの検証モデリングを作成した。
本研究では血清型別の一助としてfljB遺伝子とhin遺伝子を対象としたmultilocus sequence typing (MLST) の有用性について検討した。
<黄色ブドウ球菌に関する研究>
黄色ブドウ球菌食中毒15事例由来51株、有症苦情・他病原食中毒10事例由来24株の黄色ブドウ球菌についてPOT法、MLVA法、PFGE法により遺伝子型別を実施した。また、ブドウ球菌エンテロトキシン(SAE)のsea~sei遺伝子の保有状況についてPCR法により調査した。
<ウエルシュ菌に関する研究>
簡便でかつ短時間で結果が得られ信頼性の高いウェルシュ菌のタイピング手法を開発する。そのために23のハウスキーピング遺伝子および病原遺伝子の有無をPCRで判定する方法を検討した。
<カンピロバクターに関する研究>
Campylobater jejuniにおける特定の遺伝子の有無をPCR法により検出することにより型別を行うcomparative genomic fingerprinting法(CGW法)がサーベイランスに有用であるか検討を行い、従来のPFGE法と結果を比較した。
<サンプリングプランに関する研究>
病原微生物検査に適したサンプリングプランに関しては、米国や諸外国と比べて我が国のそれは大きく異なる。そこで、サンプリングプランによる検出頻度とその妥当性について諸外国の情報を収集し比較検討を行うとともに、サンプリングプランの実験室レベルでの検証モデリングを作成した。
結果と考察
<サルモネラに関する研究>
本研究ではSalmonella. I 4:i:-株についてfliAB intergenic sequenceおよびfljB遺伝子を標的としたPCR 、さらにH相変換にかかわるhin遺伝子のPCR法について検討したところ、今回確立したPCR法はサルモネラの汚染実態の傾向を把握するうえで、有用であると考えられた。
<黄色ブドウ球菌に関する研究>
食中毒事例等由来株におけるPOT型別、MLVA型別はPFGE型別と同程度の解析力であった。POT法、MLVA法は迅速で簡便な方法であり、各自治体において実施可能なタイピング方法であると考えられた。
<ウエルシュ菌に関する研究>
食中毒由来7株、食品由来18株を用いた。その結果、23の遺伝子の内、株間で変化が認められたのは9遺伝子であった。本方法はウェルシュ菌株のタイピングを行うのに十分な解像度を持っていると考えられた。
<カンピロバクターに関する研究>
市販鶏肉から分離されたCampylobacterについてCGF40を実施した結果、CGF40法はカンピロバクターのタイピングに有用であることが明らかになった。
<サンプリングプランに関する研究>
サンプリング数が増えた場合の検出方法として、プレエンリッチメント法およびプール法の妥当性を、食品にサルモネラ属菌を接種して検討したところ、プール法とプレエンリッチメント法に相違は認められなかった。夾雑菌の影響を大きく受けると考えられるプール法では平板上の発育菌数少なかったため、実際の食品に応用した場合はプレエンリッチメント法の法が適していると推察された。
本研究ではSalmonella. I 4:i:-株についてfliAB intergenic sequenceおよびfljB遺伝子を標的としたPCR 、さらにH相変換にかかわるhin遺伝子のPCR法について検討したところ、今回確立したPCR法はサルモネラの汚染実態の傾向を把握するうえで、有用であると考えられた。
<黄色ブドウ球菌に関する研究>
食中毒事例等由来株におけるPOT型別、MLVA型別はPFGE型別と同程度の解析力であった。POT法、MLVA法は迅速で簡便な方法であり、各自治体において実施可能なタイピング方法であると考えられた。
<ウエルシュ菌に関する研究>
食中毒由来7株、食品由来18株を用いた。その結果、23の遺伝子の内、株間で変化が認められたのは9遺伝子であった。本方法はウェルシュ菌株のタイピングを行うのに十分な解像度を持っていると考えられた。
<カンピロバクターに関する研究>
市販鶏肉から分離されたCampylobacterについてCGF40を実施した結果、CGF40法はカンピロバクターのタイピングに有用であることが明らかになった。
<サンプリングプランに関する研究>
サンプリング数が増えた場合の検出方法として、プレエンリッチメント法およびプール法の妥当性を、食品にサルモネラ属菌を接種して検討したところ、プール法とプレエンリッチメント法に相違は認められなかった。夾雑菌の影響を大きく受けると考えられるプール法では平板上の発育菌数少なかったため、実際の食品に応用した場合はプレエンリッチメント法の法が適していると推察された。
結論
PCRの結果によってタイピングを行う今回の手法は、十分な解像度を有するにもかかわらず、一般的な手技として普及しているPCRを行うだけ済む。そのため新しい技術を新たに習得する必要もほとんどなく、また必要な機器もサーマルサイクラーだけである。また結果をデジタルデータとして表すことが出来るため、他機関同士あるいは過去のデータとの比較が難しいというPFGE法の欠点を克服することが出来る。
食中毒微生物検査のサンプリングプランに関しては、本年度の結果から、n数が少ない場合におけるプレエンリッチメント法とプール法の有用性を確認することが出来た。今後さらに多くの食品においてこれらの方法が有効であるかどうか確認を行っていく予定である。
食中毒微生物検査のサンプリングプランに関しては、本年度の結果から、n数が少ない場合におけるプレエンリッチメント法とプール法の有用性を確認することが出来た。今後さらに多くの食品においてこれらの方法が有効であるかどうか確認を行っていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
-