被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201424053A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-医療-指定-040
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(国立研究開発法人国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院)
  • 小川 朝生(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院)
  • 森田 達也(聖隷味方原病院)
  • 内富 庸介(岡山大学大学院)
  • 明智 龍男(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
  • 佐々木 治一郎(北里大学医学部)
  • 林 直子(聖路加国際大学)
  • 福井 小紀子(日本赤十字看護大学大学院)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 宮下 光令(東北大学大学院)
  • 井上 真一郎(岡山大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
87,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替 内富庸介(平成26年4月1日~平成26年12月30日)→井上真一郎(平成26年12月31日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれによって生じた津波は大規模災害をもたらし、地域医療にも大きな影響を与えた。本研究の目的は、今回の東日本大震災の被災地へのがん在宅緩和医療に関する直接的な支援と今後の大災害時のがん在宅緩和医療における課題を整理して取り組むことである。
研究方法
1)被災地におけるあらたな地域緩和医療ネットワークの構築
 岩手県の釜石二次医療圏で地域緩和医療ネットワークの立ち上げの支援を継続的に行い、プロセスを記述した。
2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療の課題と対策
東北地方の医療従事者を対象としたインタビュー調査、文献検索・検討、在宅緩和ケアに係る多職種の議論など行い、課題・対策の整理を行った。
3-1)被災地に応用できるがん在宅緩和医療に関する医療・福祉職のための教育プログラムの開発
研修会を開催し、受講前後に質問紙により知識・自信を評価した。
3-2)被災地に応用できるがん患者のための支援プログラムの開発
クリティカルパスとICTを利用した症状モニタリング・看護師による支援プログラムの実施可能性を検討した。
3-3)在宅ターミナルケア継続の促進・阻害要因に関する研究
がん終末期患者を担当した看護師を対象に、質問紙調査を行い、意思決定支援・退院支援に関して特徴的なケースを選出し、これらの対象に対して、インタビュー調査を実施した。
結果と考察
【結果】
1)被災地におけるあらたな地域緩和医療ネットワークの構築
平成26年8月26日に県立釜石病院は地域がん診療連携拠点病院の指定を受けることが出来た。
2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療の課題と対策
「大規模災害に対する備えーがん治療・在宅医療・緩和ケアを受けている患者さんとご家族へ」、「現場力を上げるために東日本大震災の体験を知る-在宅医療・がん治療・緩和ケア」を作成し、がん情報サービスホームページに掲載した。
3-1)被災地に応用できるがん在宅緩和医療に関する医療・福祉職のための教育プログラムの開発
せん妄研修会を開催し、せん妄への対応の自信と知識を問うテストを行い、有意な結果を得た。精神心理的苦痛を有する患者のケア向上に資する研修会を開催し、がん患者へのケアに関する自信は統計学的に有意に改善した。訪問看護師教育プログラムの講義を行った。実践の「コミュニケーション」と困難感の「症状緩和」の項目のみに統計学的に有意差に改善した。介護職員に対するがん患者の看取りに関する教育プログラムに関して、介護職を対象にインタビュー調査とアンケート調査・分析を行った。【入居者本人や家族との関係】、【入居者本人や家族との関係】、【他職種や職員との連携】、【管理者の姿勢】、【管理者の姿勢】というカテゴリーが抽出された。
3-2)被災地に応用できるがん患者のための支援プログラムの開発
高齢がん患者に対する外来診療を支援する予防的コーディネーションプログラムに関する研究では、完遂率は92%であり、実施可能性を確認した。
3-3)在宅ターミナルケア継続の促進・阻害要因に関する研究~在宅看取りの実現に寄与する経時的支援パターンの明確化および患者・家族支援のあり方
後期高齢者である場合、入院形態が緊急である場合、主介護者の性別が女性である場合、また同居している場合が要因として抽出された。退院支援看護師が退院時に特に支援が必要と判断した項目として、「病状による退院後の身体(ADL)への支障の説明やイメージ化」や「退院後の病状の悪化・急変に関する不安への対応・説明」が、自宅での看取りにつながりやすいことが明らかになった。
【考察】
被災地の直接支援に関しては、支援を継続することにより岩手県で唯一地域がん診療連携拠点病院のない釜石二次医療圏において、県立釜石病院が地域がん診療連携拠点病院の指定を受けることが出来たが、拠点病院の指定を維持していくためには継続的な支援が必要である。大規模災害時にがん在宅緩和医療において生じた課題に関して作成した冊子は問い合わせも多く、現場で求められている資料であった。がん在宅緩和医療推進のための医療・福祉従事者の教育プログラム、患者の支援プログラムが実施され有用性、実施可能性が確認された。意思決定支援・退院支援ににおいて、「病状による退院後の身体(ADL)への支障の説明やイメージ化」や「退院後の病状の悪化・急変に関する不安への対応・説明」の重要性が明らかになった。

結論
被災地の直接支援により県立釜石病院が地域がん診療連携拠点病院の指定を受けた。大規模災害時備えるがん在宅緩和医療に関する冊子を作成した。がん在宅緩和医療推進のための医療・福祉従事者の教育プログラムを作成した。退院支援における重要な要素を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201424053C

収支報告書

文献番号
201424053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
100,000,000円
(2)補助金確定額
99,488,000円
差引額 [(1)-(2)]
512,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,242,378円
人件費・謝金 37,460,449円
旅費 4,477,194円
その他 35,308,466円
間接経費 13,000,000円
合計 99,488,487円

備考

備考
返金があった分担者が3名と自己資金を入れた分担者がおり、返金額は1000円単位となったため
差異が生じた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-