処方箋の電子化に伴う情報連携・情報利活用・プライバシー保護のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
201424052A
報告書区分
総括
研究課題名
処方箋の電子化に伴う情報連携・情報利活用・プライバシー保護のあり方に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-医療-指定-039
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆一(東京大学 大学院医学系研究科医療経営政策学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 範雄(東京大学法学部)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学)
  • 中島 直樹(九州大学病院)
  • 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
11,171,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
処方箋の電子化は政策目標だが、処方箋の電子化で医科から薬科への処方情報以外の臨床情報の伝達や医科に伝達すべき調剤情報や患者等へのお薬手帳など様々な周辺の情報が電子化され適切に運用されることで、服薬だけではなく在宅における疾病管理や療養状況、市販薬を含むSelf-Medicationも含めて合理的な医療・介護が推進され、また処方、調剤、服薬の情報が横断的に分析されることで、エビデンスに基づく医療・薬事・介護行政が推進されなければならない。また遠隔医療との関連も十分に検討される必要がある。本研究は処方箋の電子化が真に意義となるための、様々な要素を系統的に検討し、政策の推進に資することを目的としている。本研究では、広い意味での処方箋の電子化に関わるプライバシー保護のあり方を明らかにするとともに、サステイナビリティのある基盤として成長するための、IT基盤としてのあり方を明確にし必要な制度整備の要件を明確に提言する。
研究方法
本研究は次の3つに分けて実施し、最終的には処方箋の電子化だけではなく今後の医療情報施策に資する提言をまとめることとする。1.電子処方箋と調剤情報の処方医療機関への送付ならびに調剤に必要な情報を電子化処方箋が調剤される薬局に送付するいわゆる医薬連携のあり方の調査研究。主に山本、土屋、中島が実施する。2.調剤情報を患者等に送付し、服薬の確認等に利用し、また、自ら管理する医療情報としてPersonal Health Recordとしてのお薬手帳の電子版の普及と利用に関する問題点の調査と健全な発展に資すると予想される簡易で、震災時やスマートホンなどの障害時に有用なバックアップシステムの実証的構築と評価。主に山本、田中、土屋が実施する。3.処方・調剤・服薬情報の利活用を例として、電子処方箋関連システム構築の際のプライバシー影響評価の要点を含む医療・介護情報の利活用とプライバシー保護の問題点の調査と進行中の個人情報保護法制の改正にそった、厚生労働政策提言をまとめる。樋口が主体で研究班全体で実施する。
結果と考察
1.医薬連携のあり方の調査研究は、これまでの実験的実証事業の精査は終了し、調剤結果の戻しと医科から薬科への情報提供のあり方を明らかにでき、調剤結果の戻しに関しては一定の結果に収束することがわかった。しかし、医科から薬科への情報提供に関しては、先行的に処方箋に臨床情報の一部を提供している事例の調査で、処方した医薬品によって提供項目を選択する例と、すべての処方箋に一定の検査結果を提供する例が存在することがわかった。2.Personal Health Recordとしてのお薬手帳の電子版の普及と利用の問題点の調査、震災時やスマートホンなどの障害時に有用なバックアップシステムの必要性、有用性、実現可能性については、お薬手帳自体は薬局等がビジネスの一環として実施するものであるが、情報の再利用を可能とする実施の障害となる点を調査し、最低限のコストで運用可能なバックアップシステムが国の責任として整備する必要性を示して仕様を机上で検討した。こうした医療健康情報の安全保障に関わるシステムはお薬手帳だけではなく、糖尿病手帳等にも応用可能で、今後の発展が期待された。3.電子処方箋関連システム構築の際のプライバシー影響評価の要点を含む医療・介護情報の利活用とプライバシー保護の問題点の調査と、個人情報保護法制の改正への厚生労働政策の提言に関しては、EU、APEC、米国等のプライバシー対策を調査し、特に米国の情報開示の動向を詳細に調査した。わが国でもOpen Dataの流れの中で行政機関等の保持する情報の開示は進む方向にあるが、レセプトやDPCなど限定的である。その意味では米国の動向は先行し、プライバシーリスク評価の手法や米国医師会などの意見衝突など、今後も十分な調査を行い、わが国の情報開示のあり方の議論に反映させる必要性がわかった。
結論
本研究によって、処方箋を電子化する国民視点での意義が明確になり、有意義となるため必要な施策が時期・内容の明確化が期待される。また、データ指向社会において、プライバシーを侵害する怖れなく公益目的や創薬等への処方・調剤・服薬情報の利活用が確保されれば実効性の高いエビデンスに基づく政策立案や、現在検討が続けられ、2014年夏に大綱が作成、2016年初頭の通常国会に提出が計画される個人情報保護法制の改正に寄与し、パーソナルデータの利活用のモデルになることが期待される。さらに大規模災害時に最低限の診療情報の継続に処方・調剤・服薬情報の利活用が有用なのは論を待たないが、数十年、数百年に一度の災害にどのように合理的に備えるかも現状では十分に検討されているとは言いがたく本研究の成果により、東南海地震や関東直下型地震への対策への具体的に寄与が期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201424052Z