アウトリーチ(訪問)型看護管理能力支援モデルの開発

文献情報

文献番号
201424044A
報告書区分
総括
研究課題名
アウトリーチ(訪問)型看護管理能力支援モデルの開発
課題番号
H26-医療-指定-031
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
手島 恵(千葉大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,232,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
中小規模病院の看護管理者の人材育成能力における課題を明らかにし、支援の仕組みを検討することを目的とした。
研究方法
1.文献検討、2.好事例施設の看護管理者のインタビュー調査、3.全国の中小規模病院の病院長、事務部門責任者、看護部門責任者を対象とした調査を実施した。これらの結果から、4.中小規模病院の看護管理者の人材育成能力を支援する仕組みを検討した。
結果と考察
 中小規模病院は、組織構造からトップの影響を受けることが文献検討から明らかになった。そのため、看護管理者に加え、病院長、事務部門責任者を調査の対象にした。より実際の状況にあった調査を実施するため、好事例病院の看護管理者3名に協力を得てインタビュー調査を実施した。その内容を分析し、共通する特徴を明らかにした。そして、これらの内容を調査票作成の際に反映させた。
 看護管理者の能力は、米国で開発されたChase Nurse Manager Competeincies Instrument:CNMCI(Chase2010) を許可を得て翻訳し使用した。全国の300床未満の中小規模病院6,985施設から層化無作為抽出した500施設を対象に調査票を送付した。
 結果、調査票の回収数は40都道府県の96病院(回収率19.2%)であった。三者の回答は、病院長46名、事務部門責任者67名、看護部門責任者67名で三者の回答がそろったのは25施設であった。因子分析の結果、「問題解決技法の活用」「経営知識の活用」「エンパワメントの推進」「人間関係の調整」「人材の育成」「臨床実践の垂範」「業務の管理」「ポジティブ志向」の8因子が得られた。
 記述データの分析結果から、回答者の多くは、人材不足により看護管理者が管理業務に専念できない状況にあり、研修を受ける時間の確保困難、多様な背景をもつ中途採用者の管理に難渋しており、人材不足に対応するため、広告費用や派遣業者に支払う費用が経営を圧迫し、看護職員の研修費が削減されている現状が述べられていた。また、多くが都市部で開催される研修に、物理的、経済的に派遣できない現状や、看護管理者が相談できる窓口を求めていることが明らかになった。
 これらの結果から、中小規模病院の看護管理者の人材育成能力向上のための支援モデルを検討した。支援モデルは、効果的に行うために、3つの型、すなわち、1.好事例の公開により自己の組織に好事例の取組みを活用、2.調査結果に基づき作成された教材を活用して自立して能力を開発、3.自己学習教材を活用した上で訪問支援を受けて課題解決、である。
結論
 ①好事例の分析から人材育成の好循環の鍵となる要素が明らかになった。②中小規模病院における看護管理者の看護管理能力について、看護部門責任者ならびに病院長、事務部門責任者が重要と考える人材育成能力にかかわる要素が明らかになった。③①②の成果から、看護管理能力向上のための支援モデルを検討した。
 これらをふまえ、好事例の内容や、抽出された鍵となる看護管理の基盤となる考え方を広く公開することにより、多くの中小規模病院の看護管理者が参考にして、自己の組織変革に取組むことができるようにする。
 結果から、研修への派遣は物理的、経済的に難しい状況にあることが明らかになったので、看護管理能力、人材育成能力の向上をはかるための自己学習教材を開発し、web上に公開するなどの工夫によって、自己学習ができるような方法をとる。さらに、組織固有の課題支援が必要な場合には、訪問して支援を行う。これらについて研究をすすめることで、好循環組織の取組みを水平展開することになる。

公開日・更新日

公開日
2015-07-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201424044Z